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■事業の内容

(1) 船舶運航に伴なう大気汚染防止技術の現状及び開発動向調査
 燃料処理技術、排気処理技術等、船舶運航に伴なう大気汚染防止技術の現状、及び代替燃料、代替機関等の技術開発動向につきアンケート調査を実施した。その状況は次のとおりである。
 舶用機器メーカー、公害防止機器メーカー、日本舶用機関学会会員等の191の団体、個人に対してアンケート調査を行い84件の回答を得た。その結果、船舶への実用化が可能あるいは期待される対策技術として、窒素酸化物の低減技術と燃費対策技術について多くの回答が得られた。
(2) 船舶運航に伴なう大気汚染物質の発生量調査
 船舶の燃料消費量、運航量、排ガス性状(大気汚染物質濃度)、燃料性状等の資料を収集、整理し、船舶からの大気汚染物質の排出係数を設定した。さらに、これらの調査結果に基づき、船舶からの大気汚染物質の排出総量の推定方法を検討し、船舶からの大気汚染物質排出総量を推定した。
(3) 沿岸域用排ガス拡散モデルの検証
[1] 沿岸域用拡散モデルの作成
 既存の拡散モデルを改良して海上での一般的な拡散状況を良く表現できる沿岸域用排ガス拡散モデルを作成した。
[2] 船舶排ガス沿岸域分布状況調査
 沿岸海上(東京湾)での船舶排ガスの拡散挙動等について、ライダー(レーザーレーダー)等を用いた夏季および冬季調査を行なった。
[3] 沿岸域用拡散モデルの検証
 沿岸域用拡散モデルについて,船舶排ガス沿岸域分布状況調査データを用い検証したところ、良い整合性が認められた。
(4) 委員会の開催
委員会       3回
排出低減作業部会  3回
拡散評価作業部会  4回
■事業の成果

地球規模の環境問題についてはアルシュサミット以降重要な課題となり、各国がその対策に取り組むよう求められている。海上交通についても研究開発を鋭意進めるべき時期に来ており、船舶運航に起因する大気環境への影響についての総合的な調査研究の必要性が認識されているところである。
 本事業では、船舶運航に伴なう大気汚染防止技術の現状及び開発動向に関するアンケート調査より、燃料処理技術、排気処理技術、代替燃料、代替機関等の現状技術及び開発動向に関する回答を得た。船舶運航に伴なう大気汚染物質の発生量調査結果に基づき、船舶からの大気汚染物質の排出総量を推定し、全排出量に対する寄与率を推定した。また、船舶排ガスの挙動に関する調査結果から拡散幅の測定値を解析し、拡散モデルとの整合性についても検討し、良い整合性を得た。これらにより、沿岸域における船舶排ガスの拡散状況、分布状況等を把握でき、また将来の技術開発課題を抽出したことは、造船技術の振興及び我が国造船業の発展に大きく貢献した。





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