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■事業の内容

(1) ターミナル整備の検討
 ターミナルに求められる機能を海上交通要素と空間構成要素に分け、ターミナル導入機能の考え方を整理するとともに、それぞれの要素ごとに求められる機能の要件をまとめた。
(2) 適合船舶の概略設計
 適合船舶のタイプを港内高速輸送タイプ、河川・港内輸送タイプ、港内大量輸送タイプの3タイプに分け、それぞれ適合船舶に求められる要件を整理し、概略設計を行った。
(3) 航行安全システムの検討
 実船試乗実験、航行シュミレーション、操船シミュレーター実験から、高速船を導入した場合の東京湾における航行環境を評価した。
(4) 安全性確保のための技術的課題の検討
 航行安全の要因として自然環境要因、航行環境要因、船舶特性要因について整理し、高速艇が湾内を航行する場合の安全対策として、高速船の運航に関する基本的な考え方をとりまとめ、高速船の装備・乗組員等に関する安全対策として情報授受、航行支援システムの観点からの具体的な対策をまとめ、その効果を評価した。
(5) 船舶の要求性能のとりまとめ
 港内高速輸送タイプ、河川・港内輸送タイプ、港内大量輸送タイプの船舶について、要求性能をとりまとめた。
(6) 海上交通ネットワーク整備のありかた
 ターミナル整備のあり方を検討するため、羽田空港を取り上げ、具体的なケーススタディを行ない、航路事業の協調経営と単独経営の場合を比較するとともに、ネットワーク全体の経営採算性をまとめた。
(7) 課題の摘出
 東京臨海部海上交通ネットワーク実現化へ向けて課題を抽出、整理するとともに、同ネットワーク実現へ向けての提言をとりまとめた。
(8) 報告書の作成
部数   200部
配布先  関係官庁、造船関係者、委員等
(9) 委員会の開催
委員会   3回
作業部会  6回
■事業の成果

昨今、東京臨海部は多心型都市構造への転換を図るべく副都心の一つとして位置付けられ、業務、住居、文化等の複合的な都市機能を有し、かつ、ウォーターフロントを生かした未来型の情報都市を整備する計画が示されている。この開発整備においては、それを支える交通基盤及び公共交通機関の整備が必要不可欠であるが、その中でも、海上交通ネットワークの形成は、当地域に相応しいウォーターフロントの特性を生かした新しい交通体系として、特にその整備の必要性が認識されているところである。
 このため本事業は、24時間都市化への対応及び輻輳海域での安全運行を前提とした、東京臨海部副都心の海上交通ネットワークの実現へ向けての検討を行うため、利用者の意向調査に基づいた需要予測、ターミナル整備のあり方、適合船舶の概略設計、操船シミュレータ実験に基づいた航行安全システムの検討、採算性の詳細な検討を行い、東京臨海部の海上交通に適した船舶の要求性能と安全性について総合的にとりまとめた。
 これにより、東京臨海部海上交通路用船舶に係る技術開発の促進及び同船舶の安全の確保をはじめ、各種造船技術の振興ならびに我が国造船業の活性化に大きく貢献した。





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