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■事業の内容

(1) 精密距離測定装置の改造
[1] 前年度試作した音波送信機について
a 音波受信機からの制御信号により作動するよう改造した。
b 前年度の実験データを解析し、送信波形コード化の形式を5次4波4回を5次4波1回繰返しに修正した。
[2] 音波受信機
 下記仕様の音波受信機を設計・試作した。
a 受信周波数        30〜50kHz
b 受信アンプゲイン     最大ゲイン100dB
陸上PCからコマンドによりカ0〜-21dBまで8段階可変(プリセットにより最大ゲインは60〜1OOdBに設定できる)
c A/Dコンバーター分解能  12bit
d サンプリングレート    500ksps
e 記録メモリ容量      250kワード(1ワード=12bit)
f 波形記録時間      トガリ信号受信より0〜0.5、0.25〜0.75、0.5〜1.0secのいずれか(陸上PCよりコマンドで選択)
g 陸上CPU通信設定     RS-232C、8bit、Pなし、1stop、9600baud
h 通信内容        起動、受信アンプゲイン設定、計測、波形読出し、スリープ
i 電源           +9V 動作時  max,2.8A
スタンバイ時 max.50mA
+6V 送信機に送波要求を送るとき10mA消費
[3] 受信処理器
 記憶液算処理ボート中(トランスピュータ)とパーソナルコンピュータPC-9801RAで構成される受信処理器を設計・試作した。
 音波送信機との関係及び処理の流れは次のとおりである。
a 通信ソフトにより受信機の受信波形データをPCへファイルする。
b 信号処理ソフトにより参照データと受信波形データの相関を求め、相関データファイルを作成する。
c 相関データ中のピーク時間とパラメータファイルにある音速データにより距離を算出しディスプレイに表示する。
d 表示ソフトにより相関データをディスプレイプリンターへ出力する。
(2) 地殻上下変動観測装置の改造
[1] 前年度試作した周波数測定部を下記の仕様に改造した。
a シリアル1/0     1ch(RS232C)
b パラレル1/0     8bit・2ch
c RON容量       8KB
d STACH RAN      2KB(バッテリバックアップ)
e DATA RAN      64KB(バッテリバックアップ)
f カレンダータイマ内蔵  (バッテリバックアップ)
g リレー        2ch(接続内量10A)
 また、測定制御の機能は次のとおりである。
a カレンダータイマの内容読出し、内容更新機能
b データRAMの内容読出し、内容初期化機能
c 計測モードの選択と指定計測モードへの移行
モード1:連続計測モード
モード2:アイドル時間+2分間間隔計測モード(非常時以外は電源OFF)
モード3:アイドル時間+1時間間隔計測モード(非常時以外は電源OFF)
(計測終了毎に、計測値をシリアル出力)
d 計測解除コマンドを入力するまで連続測定する機能
[2] 圧力検出部をステンレスベローズからナイロンベローズに改造し、測定精度の向上を図った。
[3] 圧力検出部の改造に伴い、実験に使用できるよう収納容器と架台を改造した。
(3) 基礎実験
下記により精密距離測定装置の基礎実験を実施した。
期間:平成3年1月23日〜24日
場所:愛知県半田市衣浦港港内
水深:約14m
距離:200m及び850m
回数:合計20回
結果 200mにおいて距離計測値 5〜27cm
800mにおいて距離計測値 1.2〜19cm
考察 東京港に比べて、航行船舶も少なく、海水もかなり澄んでいたが、雑音、多種反射の影響が認められる。
距離計測値はバラついているが、相関処理を更に工夫すれば、精度の向上は期待できる。
地殻上下変動観測装置
 工場内において、周波数測定部の性能確認試験及び圧力検出部の耐圧試験を行った。
 周波数測定性能は、入力周波数と測定周波数は1kHz〜300kHzにおいて、誤差は1Hzであり、良好な結果を得た。
 耐圧試験では、予備的試験で0〜14kgf/cm2で行い、昇圧過程で2次曲線、降圧過程で直線性のよい結果が得られたが、2回実施したところヒステリシス傾向が認められた。
 なお、この後、周波数変化量が一気に大となり、水晶的圧力センサーが壊した。

■事業の成果

昨年度に引続き事業を進め、下記の結果を得た。
(1) 精密距離測定装置
 前年度試作した音波送信機について改造し、本年度音波受信機、受信処理ボードの試作を行い、浅海域の水深14m、距離200〜850mにおいて、測定精度1.2〜27cmを得た。
(2) 地殻上下変動観測装置
 前年度試作した圧力検出部、周波数測定都について改造し、試験装置により圧力測定特性改善及び周波数測定精度の向上を確認した。
 測定中過度の圧力がかかり、水晶式センサーを破壊する事故が生じたが、急ぎ部品手配等対策を取っている。
 今年度の結果を踏まえ、次年度以降、更に処理内容の改良、自動計測機能の追加、電源部、深海用の耐圧容器、架台及びケーブル等の整備を行うことで、実海域での試験が可能なシステムの完成を図れる見通しを得た。





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