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■事業の内容

(1) 排出油防除訓練
[1] 事前打合せ
 次の各地区において海上保安部、契約防災措置実施者及び海上災害防止センター等により訓練内容の検討、方案作成及び訓練海域調査等を実施した。
那覇地区
衣浦地区
新潟地区
尾道地区
小松島地区
[2] 講習会、洋上訓練及び研究会
 次の内容により海上防災訓練を実施した。
a. 那覇地区海上防災訓練
(a) 講習会
イ. 日時・場所  平成2年9月6日 13:30〜15:30
平安座自治会館2階
ロ. 内容
「事故事例とその教訓」
第十一管区海上保安本部 救難課長
「流出油事故について」
海上保安庁 海上防災課 防災係長
「排出油防除措置について」
海上災害防止センター 防災訓練所教官
「質疑応答」
(b) 洋上訓練
イ. 日時・場所  9月21日 10:30〜11:35
与那城村伊計島灯台から244度4500メートルの地点を中心とする半径1,500メートルの円内海域(金武湾)
ロ. 目的
 金武湾において、タンカーが乗揚げタンクに亀裂が発生し、大量の重油が流出し、船内火災が発生したことを想定し、迅速、的確に災害を防除し、関係者が一体となって流出油の防除、消火作業、人命救助等の対策訓練を実施し、もって海上防災技術の練度の向上と有事即応体制の確立を図ることを目的とする。
ハ. 訓練項目
・ 情報の伝達訓練
・ 流出油の防除訓練
・ 火災消火訓練
・ 人命救助訓練
ニ. 参加勢力
・ 船艇         22隻
・ 航空機        1機
・ 人員        200名
・オイルフェンス  1,000m
(c) 研究会
イ. 日時・場所  9月21日 13:30〜15:30
平安座自治会館2階
ロ. 内容    中城海上保安署長講評
訓練時の問題点の検討
b. 衣浦地区海上防災訓練
(a) 講習会
イ. 日時・場所  9月12日 13:30〜15:30
衣浦港湾会館ホール
ロ. 内容
「衣浦地区における油の動向について」
衣浦海上保安署長
「事故事例とその教訓」
名古屋海上保安部 警備救難課長
「海上災害防止センターの業務について」
海上災害防止センター 機材部
「防災資機材について」
海上災害防止センター 防災部
「質疑応答」
(b) 洋上訓練
イ. 日時・場所  9月13日 10:00〜11:00
衣浦港中央埠頭沖合
ロ. 目的
 衣浦港中央埠頭西6号岸壁沖合海域において、大型船が衝突し燃料油が流出。船舶火災が発生したことを想定し、迅速、的確に災害を防除し、拡大を防除するため関係者が一体となって対策訓練を実施し、もって海上防災技術の練度の向上と有事即応体制の確立を図ることを目的とする。
ハ. 訓練項目
・ 情報の伝達訓練
・ オイルフェンス展張訓練
・ 油防除及び油回収作業訓練
・ 消火訓練
ニ. 参加勢力
・ 船艇         16隻
・ 人員        100名
・ オイルフェンス  1,000m
(c) 研究会
イ. 日時・場所  9月13日 13:30〜15:00
半田港運(株)会議室
ロ. 内容    衣浦海上保安署長講評
訓練の問題点検討
c. 新潟地区海上防災訓練
(a) 講習会
イ. 日時・場所  10月16日 15:00〜17:00
木材会館
ロ. 内容
「マリタイム・ガーデニア号事故について」
海上保安庁警備救難部海上防災課
「海上災害事例について」
新潟海上保安部 警備救難課長
「海上災害防止センター業務説明」
海上災害防止センター 防災部長
「質疑応答」
(b) 洋上訓練
イ. 日時・場所  10月17日 14:00〜17:00
新潟港東区西防波堤先端付近
ロ. 目的
 防災関係機関及び民間団体が効果的な協力体制のもとに、新潟港において発生することが予想される海上災害に対する訓練を実施し、もって大量流出油の防除等防災活動の円滑な推進に資することを目的とする。
ハ. 訓練項目
・ 情報の伝達訓練
・ 流出油の防除訓練
・ 流出油回収
・ 火災消火訓練
・ 人命救助訓練
ニ. 参加勢力
・ 船艇         37隻
・ 航空機        3機
・ 人員        253名
・ オイルフェンス  2,340m
(c) 研究会
イ. 日時・場所  10月18日 09:30〜11:00
木材会館
ロ. 内容    新潟海上保安部長講評
訓練の反省及び将来に関する検討
d. 尾道地区海上防災訓練
(a) 講習会
イ. 日時・場所  11月14日 14:00〜16:00
尾道港湾労働者福祉センター
ロ. 内容
「海上防災について」
新潟海上保安部 警備救難課長
「海上災害防止センター業務説明」
海上災害防止センター 防災部長
「防災資機材の取り扱いについて」
海上災害防止センター 業務課職員
「質疑応答」
(b) 洋上訓練
イ. 日時・場所  11月14日 10:00〜11:30
千年港(株)カムテックス荷役岸壁付近海域
ロ. 目的
 千年港において、タンカー等による海上災害が発生した場合を想定し、防災関係機関及び関係企業が協力して、総合的な防災活動を演練し、もって海上防災体制の充実強化並びに防災知識の高揚を図ることを目的とする。
ハ. 訓練項目
・ 情報の伝達訓練
・ オイルフェンス展張訓練
・ 油防除及び油回収作業訓練
・ 人命救助訓練
・ 消火訓練
ニ. 参加勢力
・ 船艇         20隻
・ 航空機        1機
・ オイルフェンス  1,000m
(c) 研究会
イ. 日時・場所  11月15日 13:00〜14:00
境ケ浜マリンパーククラブハウス
ロ. 内容     尾道海上保安部長講評
訓練の反省、将来に関する討議
e. 小松島地区海上防災訓練
(a) 講習会
イ. 日時・場所  11月30日 10:00〜12:00
小松島海上保安部
ロ. 内容
「センター業務説明」
海上災害防止センター
「防災資機材の取り扱いについて」
海上災害防止センター 業務課職員
「マリタイム・ガーデニア号排出油事故処理について」
海上災害防止センター 業務課職員
「事故事例と教訓」
小松島海上保安部 警備救難課長
「質疑応答」
(b) 洋上訓練
イ. 日時・場所  11月29日 13:00〜13:50
橘港 日本電工(株)1,000トンバース沖
ロ. 目的
 小松島地区において、排出油防除措置を実施する場合に必要な諸作業の手法等を演練し、作業能力の向上、官民協力体制の強化を図ることを目的とする。
ハ. 訓練項目
・ 情報の伝達訓練
・ オイルフェンス展張訓練
・ 排出油の処理
・ 人命救助訓練
・ 消火訓練
ニ. 参加勢力
・ 船艇        15隻
・ 人員       150名
・ オイルフェンス  540m
(c) 研究会
イ. 日時・場所  11月30日 13:00〜14:00
小松島海上保安部
ロ. 内容     小松島海上保安部長講評
訓練の反省・将来に関する討議
(2) 総合海上防災訓練(水島地区)
[1] 事前打合せ
 水島地区において海上保安部、契約防災措置実施者及び海上災害防止センター等により訓練内容の検討、方案作成及び訓練海域調査等を実施した。
[2] 講習会、洋上訓練及び研究会
 次の内容により総合海上防災を実施した。
a. 水島地区総合海上防災訓練
(a) 講習会
イ. 日時・場所  11月6日 13:00〜17:00
山九(株)岡山支店体育館
ロ. 内容
「我国の海上防災業務の現状について」
海上保安庁 警備救難部 海上防災課 専門官
「最近の事故事例について」
水島海上保安部 警備救難課長
「有害液体物質等の防除について」
海上災害防止センター研修所 主任教官 小倉 秀
「海上災害防止センターの紹介」
海上災害防止センター防災部業務課 鏡 信春
「質疑応答」
(b) 洋上訓練
イ. 日時・場所  11月8日 10:00〜11:30
水島港内、旭化成工業(株)C7桟橋西側海域
ロ. 目的
 ケミカルタンカーから有害液体物質が流出し海上災害が発生した場合を想定し、これら災害を局限するため官民一体となって防除に必要な専門的知識及び技術等を習得するとともに、的確な応急諸作業を演練し、もって海上防災能力の充実強化を図ることを目的とする。
ハ. 訓練項目
・ 情報伝達及び初動訓練
・ 流出有害液体物質の防除訓練
・ ガス濃度調査
・ 危険区域の設定
・ オイルフェンス展張訓練
・ ゲル化剤散布
・ ゲル化したスチレンモノマーの回収
・ 放水による蒸発促進
・ 人命救助訓練
・ 船舶火災消火訓練
・ 放水操練
ニ. 参加勢力
・ 船艇         29隻
・ 人員        250名
・ オイルフェンス   950m
・ バイコマシーパック  1台
・ ライフゼム      10式
(c) 研究会
イ. 日時・場所  11月8日 14:00〜16:00
山九(株)岡山支店体育館
ロ. 内容    第六管区海上保安本部長講評
訓練の反省、将来に関する討議
■事業の成果

本事業は、海上災害防止センターが船舶所有者からの委託等を受け、排出油防除等の諸作業を実施するに際し、当該各地の契約防災措置実施老及び関係者が同作業を迅速、適切に処理することができるよう、同契約防災措置実施者等に対し、排出油防除に必要な知識、技術を習得させると共に、同作業の実施方法等を演練することにより、防災能力の向上、官民協力体制の強化及び防災意識の高揚を図ることを目的として、那覇、衣浦、新潟、水島、尾道、小松島の6地区において海上防災講習会、実地訓練、研究会を実施したことにより、次に掲げる各成果を得ることができた。
(1) 海上防災講習会
 当該各地区の契約防災措置実施者、地方公共団体各機関、防災関係事業者、石油化学関連企業体、港湾関係事業者等地元関係者の多数の出席を得て、「事故事例と教訓」、「防除資機材の性能及び取扱い要領」、「排出油防除作業実施要領」、「海上災害防止センター業務概要」等の講義説明、及び排出油防除に関するスライド・ビデオの放映等を実施した。
 各講習会の開催により、排出油防除に関する知識及び防災能力の向上、防災意識の高揚を図ることができた。
(2) 実地訓練
 当該各地区において、関係海上保安機関、関係地方公共団体、及び地域大量流出油災害対策協議会等との合同により、海上保安庁の巡視船艇、航空機、地方公共団体各機関の船艇、車両、契約防災措置実施者及び防災関係事業者の船艇等大規模な勢力が参加し、実地訓練を実施した。
 その内容については、各地域の特殊性に対応させ、実態に即した総合的な海上防災訓練とし、排出油防除に必要な技術の習得、防災能力の向上を図るとともに、各地域における官民協力体制の強化及び防災意識の高揚を図ることができた。
(3) 研究会
 実地訓練等の結果を踏まえ疑問点、問題点、改善策等について熱心に討議が行われた。
 各地区とも実際の事故発生にあたり、的確な防除活動を実施するためには、地域の特殊性(地形・気象・海象等)を考慮した対応が必要であり、特に発災時における防災組織体制の早期確立(対策本部の設置等)、連絡系統の確保、日常における防災資機材の充実及び取り扱い訓練の必要性等、定期的な防災訓練の実施等についての積極的な討議が行われると共に、排出油防除に関する専門的知識の必要性等が認識され、地域防災に対する防災意識の高揚を図ることができた。
 以上、民間防災組織の中核的存在である当センターが主体となり、発災時に必要とされる官民一体となった総合的防災体制に即した排出油防除に関する防災訓練を実施したことにより、関係各機関との協力体制がより一層強化され、地域防災の発展に貢献することができた。





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