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■事業の内容

(1) 高度情報化の進展した地域における防災体制に関する調査研究
[1] 研究内容
 特定の地域において集約的に高度な通信・情報処理、資源管理、防災システムを備えた、例えばいわゆるインテリジェントシティの形成が各地で進み、管理システムの一元化、省力化、情報の集中化に伴い、災害に対して新たな危険性が生じる可能性がある。このような地域における防災体制について、その問題点、今後の災害対策、防災体制のあり方について調査研究を行う。
[2] 研究方法
 本研究は、消防行政関係職員、学識経験者及び関連会社からなる「高度情報化の進展した地域における防災体制に関する調査研究委員会及び幹事会」を設置してすすめた。
[3] 報告書の作成及び配布
 研究委員会及び幹事会において、その結果として報告書をまとめ、A4版により400部を作成して、都道府県及び市町村等へ配布した。
(2) 消防力配置計画のシステム化に関する調査研究
[1] 研究内容
 市町村の消防本部における消防署所ならびに消防ポンプ車、救急車等の各種消防車輌を現在の市街地において効率的に運用できるように配置するための方法について、オペレーションズリサーチ等の手法を用い、モデル地域を定めてケーススタディを行うこと等により実用的なシステムとして開発するための調査研究を行う。
[2] 研究方法
 本研究は、消防機関関係者、学識経験者からなる「消防力配置計画のシステム化に関する調査研究委員会」を設置してすすめた。
[3] 報告書の作成及び配布
 研究委員会において、その成果として報告書をまとめ、A4版により300部を作成して都道府県及び消防本部等へ配布した。
■事業の成果

高度情報化の進展した地域における防災体制に関する調査研究では、近年における高度情報化の進展に伴い、今後複雑化することが予想される災害形態に対し適切な防災体制確立のため調査研究を実施したところである。たとえば、昭和59年11月に発生した世田谷ケーブル火災による社会混乱は、高度情報化社会にあって新たな危険性を危惧するあらわれとしてみることができ、このような情勢を踏まえ、各防災行政機関における高度情報化の進展した地域に対する防災対策について的確な対応策の策定が望まれ、早急に科学的な検討が必要とされている。このため、高度情報の進展した地域の中からいくつかのモデル地域を選定し、予想される災害危険要因を調査し、人命の安全を図るとともに地域の機能維持という観点に立った防災体制の今後のあり方について検討することによって、防災体制の充実に寄与するものと思われる。
 また消防力配置計画のシステム化に関する調査研究においては、限られた消防力を最大限に活用するための配置を決定するためのシステム工学的な手法を確立した。すなわち、複雑・多様な市街地を有する都市の消防機関においても、現有の消防力の再配置や消防力を増強するときの配置などを科学的かつ効率的に検討することによって、消防力の充実・強化に寄与するものと思われる。





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