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■事業の内容

(1) 海洋開発関連の国際会議・展示会への出席
[1] OTC'89調査について
a. 派遣した職員の氏名
潜水技術部  主幹   伊藤信夫
研究員  畠山清
b. OTC'89の概要
(a) 期間     1989年5月1日(月)〜5月4日(木)
(b) 場所     ヒューストン(アストロホール)
(c) 共催     MTS(Marine Technology Society)他米国の12の海洋開発関連学・協会
(d) 会議・展示会の参加者数
約25,000名
(e) 論文発表会  54のセッション、約268件の論文が発表された。
そのうち日本からの論文発表は5論文あった。
(f) 展示会    約1200社
c. 海洋開発関連機関の調査内容
(a) Brown & Corporation
 米国最大の海洋土木建設会社である。主にメキシコ湾を中心に石油関係に施設を始めとして、軍港、ダム、空港、橋梁等の建設をおこなっている。今回の訪問では海底大型貯気タンクと大口径パイプラインの建設に関してその技術的な可能性について協議した。
(b) Electric Power Research Ins.
 EPRIは、米国の電力業界最大の研究所で、エネルギー政策に関する試験研究を行っている。
 ここでは、地中にエネルギーを貯蔵する技術について説明を聞いた。
(c) U.S. Navy Facility Command
 Navy Ocean Engineering Office海洋工学に関する研究を行っている米海軍の研究施設であり、特に海中作業機器の開発を手がけている。
 ここでは、ダイバーが海底で行う検査作業のためのツールの研究等を行っており、コンクリート被覆されているパイプラインの非破壊検査機やダイバーの位置表示とともに海底面図を描く装置等の紹介があった。
(d) U.S. Navy Experimental Diving Unit
 NEDUは、米海軍の実験潜水について研究を行っている機関で、無人機のテスト用の大口径ウエットチェンバーを有して、有人・無人のテストを行っている。
 ここでは、潜水実験の際の機械と人間の協調性について指摘を受けた。
(e) AEC' CAES Plant
 CAES手法(地中エネルギー貯蔵技術)による全米初の電力エネルギー貯蔵プラントの建設の現場を見学した。
[2] OCEANS'89調査について
a. 派遣した職員の氏名
情報室      室長  須崎祐吉
協力団体連絡室  室長  金子浩一
b. OCEANS'89の概要
(a) 期間     1989年9月16日(土)〜9月30日(土)
(b) 場所     シアトル(コンベンションセンター)
(c) 共催     MTS(Marine Technology Society),IEE(Oceanic Engineering Society of the Institute of Electrical and Electronics Engineers)
(d) 会議・展示会の参加者数
不明
(e) 論文発表会  約100セッション 約400件の論文発表
(f) 展示会    180社
c. 海洋開発関連機関の調査内容
(a) NOAA-PMC(Pacific Marine Center)
 NOAAは、米商務省に属し、National Weather Service, National Ocean Service等5つの部門より成っている。PMCは、National Ocean Serviceの1部門であって、米国西岸太平洋海域でのNOAAの活動の拠点となっている。今回の視察では、PMCの海動内容、NOAA海洋調査船の活動状況について説明を受けた。
(b) NOAA PMEL(Pacific Marine Environmental Research Laborato)
 PMELは、大気と海洋、海洋環境、海洋生物等に関する研究を行っているNOAAの一機関である。今回は、研究所の概要の説明を受け、研究活動及び施設等について紹介を受けた。
(c) NOAA Diving Center
 潜水技術の教育及び技術開発を行っており、活動内容、教育施設及びその状況について見学した。
(d) Biosonics, Inc.
 音響的手法を用いた漁業資源の調査、観測機器を製作する民間企業である技術的な開発は、ワシントン大学との協力の基に進めているとのことであり工場施設等の見学を行い、会社の概要についての説明を受けた。
(e) Bedford Institute of Oceanography
 本研究所は、カナダ国立の海洋研究所で、主にカナダ東岸の大西洋及びカナダ東部、北極海の海洋環境と資源に関する様々な研究を行っている。今回の視察では、研究所の概要の説明を受けた後、生物部門、海洋物理部門、地質部門、海底地形部門の担当者より説明を受けた。
(f) WHOI(Woods Hole Oceanographic Institution)
 WHOIは、米国海洋学における中心的な研究所の一つであり、今回の視察では、WHOIが現在取り組んでいる海洋資源の探査手法の開発及び地中海における無人機の調査の実施状況等の説明を受けた。その後、4000m級有人潜水船アルビン及び母船アトランティス<2>を見学した。
(g) HIG(Hawaii Institute of Geophysics)
 HIGは、ハワイ大学の地球物理学研究所であり、現在取り組んでいるロイヒと海底火山の観測体制、観測機器の開発状況等について紹介された。
(h) HURL(Hawaii Undersea Research Laboratory)
 本研究所は、NOAAのUndersea Research Programの基でハワイ大学と共同で創設された。今回の訪問では、2000m級潜水調査船パイセス<5>によるハワイ周辺の調査状況、さらには、海面下10数mのバージを用いての潜水船の着水揚収について説明を受けた。
(2) 海外の研究者・技術者の招聘
[1] 招聘研究者氏名
ミシガン大学電気電子計算機科学部教授
同大学宇宙テラヘルツ工学研究センター理事Prof. Fawwaz T. Ulaby(ウラビー)
[2] 招聘中における検討結果
a. 招聘期間中に、当センター本部において特別講演「テラヘルツ帯による地球上層大気観測」が行われた。内外から地球科学に関心のある人々が多数聴講した。そして、我が国ではまだ全く手つかずの次期技術である「テラヘルツ工学」に関する研究開発の最先端の様子に大いに啓発された。
b. 当センターで開発中の航空機搭載型多周波マイクロ波放射計、及び将来利用する米国の航空機に関し、貴重な助言があった。併せて、海洋、大気、雪氷圏の観測に関する助言と、将来これに協力する旨の提案があった。
c. 国際シンポジウム「イメージングセンサー及びレーダー中のクラッター及び音の除去に関するシンポジウム」において、次期観測技術の一つであるマイクロ波ポラリメトリーに関する特別招待講演が行われ、多くの日本人参加者に大いなる啓発を行った。
d. 特に雪及び氷を対象とするマイクロ波ラジオメトリー並びにスキャッタロメトリー観測法につき助言を受けた。(於:海洋科学技術センター)
e. 米国の衛星、航空機等による地球観測技術の開発計画につき情報を頂いた。
(3) 国際協力の推進-ウッズホール海洋研究所との研究課題別の研究協力実施方法等の打合せ
 ウッズホール海洋研究所との研究課題別の協力実施方法等の打合せ
[1] 派遣した職員の氏名
理事            間山隆
海洋開発研究部  副主幹  佐々木保徳
[2] 出張目的
 ウッズホール海洋研究所を訪問し、1988年10月に締結した協力協定及び1990年1月に取り交わした協力課題の追加に関する覚書に基づく各協力課題毎の研究協力の実施方法等について打合せを行う。
[3] 打合せの成果
・ 研究課題毎に双方のコンタクトパースンを明確にした。
・ 双方の所有している調査船の運航スケジュールに関する情報交換を行った。
・ 北極域における自動観測ステーションを用いた海洋調査、無人無索潜水艇の開発、曳航体を用いた海底地質調査等の新しい研究協力課題についての作業の進め方を打合わせた。
■事業の成果

平成元年度においては、[1]OTC'89会議・展示会及び米国の海洋開発関連機関、[2]OCEANS'89会議・展示会、米国の海洋開発関連機関の調査等を実施し、最新の技術動向を調査した。
 その結果、当初予期した以上の技術情報、資料の収集を行うことができ、特に、現在当センターが進めている6,500m潜水調査船の研究開発等、先端的研究開発事業の推進にとって、極めて重要なデータや情報が得られた。
 また、海外からの研究者・技術者の招へいについては米国ミシガン大学から、海洋観測技術部門から、高分解能多周波マイクロ波放射計の開発・同放射計のデータ解析法の専門家を招き、現在わが国で関心の高い海洋観測技術の開発研究のための大規模な海洋観測技術について意見交換を行い、指導、助言を受け、さらに、国際協力の推進については、米国の主要な海洋研究所の1つであるWHOI(ウッズホール海洋研究所)と当センターの協力関係を推進するため、協力課題の具体的な提案及び研究評価を行ったことは、わが国の海洋科学技術の進展に寄与するところ大なるものがある。





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