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■事業の内容

本年度実施した「運輸関係プロジェクトの予備調査」は、世界の発展途上国のうちアジア・大洋州地域4件、中近東・アフリカ地域1件の計5件で、日数は82日、人数は14人であり、その調査項目は、現地調査、経済調査、関係機関との調整及び資料収集等で次により行った。
(1) タイ国陸運局業務開発計画予備調査
[1] 調査国  タイ国
[2] 調査員  ○ 本村 雄一郎  当協会嘱託
吉江 泰一     〃
森田 欣也     〃
山本 宏      〃
古井 恒      〃
[3] 調査日数  平成元年5月28日〜6月11日(15日間)
[4] 調査結果の概要
 タイ国の首都であるバンコク市は人口約600万人を有し、またモータリゼーションの影響で都市交通による公害問題が発生しており、車輛登録業務、車輛検査業務、運転免許業務の不備が、その起因となっていることが判明した。
 その結果、タイ国側から日本政府に技術協力を要請する事項についてその具体化を図るため、車輛登録業務等各業務の実施について技術的な助言を行うこと等、タイ国の運輸交通問題の解決に大きな布石となった。
[5] 報告書の作成  部数   150部
配布先  会員、関係官庁、国内関係機関、相手国政府及び在外公館等その他
(2) フィリピン国ビサイヤ海水路測量及び海図整備計画予備調査
[1] 調査国   フィリピン国
[2] 調査員   ○ 野田 家宏  当協会嘱託
今吉 文吉    〃
[3] 調査日数  平成元年8月15日〜8月26日(12日間)
[4] 調査結果の概要
 本調査により、フィリピン政府は現在同国の経済の活性化に対応するため内航船のRO-R0化を図り、そのためのバースの整備を要望していることが判明した。
 また一方、ビサイヤ海の水路測量及び海図整備計画については、海上交通安全マスタープランを作成し、これに対応する諸施策を行うには水路測量、海図整備が不可欠であることが明らかになり、フィリピン国の運輸ストラクチャー形成に大きな前進となった。
[5] 報告書の作成  部数   150部
配布先  会員、関係官庁、国内関係機関、相手国政府及び在外公館等その他
(3) ベトナム社会主義共和国港湾等運輸施設整備計画予備調査
[1] 調査国   ベトナム国
[2] 調査員   ○ 岡田 靖夫  当協会嘱託
小田 親     〃
大久保 清邦   〃
[3] 調査日数  平成元年7月4日〜7月20日(17日間)
[4] 調査結果の概要
 本調査により、ハイフォン、サイゴン両港及びその周辺部における港湾能力向上のための開発計画は極めて重要かつ緊急を要するプロジェクトであること、また、そのための資金導入については、外国民間資金の投資で実現できないかどうか検討する道が開かれたこと、また日本側が港湾に関する専門家を派遣する方法も検討し、このプロジェクトの実現を図ることも得策と考えられることが判明し、その結果、ベトナム国の港湾施設の整備に大きな前進となった。
[5] 報告書の作成  部数   150部
配布先  会員、関係官庁、国内関係機関、相手国政府及び在外公館等その他
(4) ソロモン諸島国ヘンダーソン空港整備計画及びパプア・ニューギニア国ラバウル・トクア新空港建設計画予備調査
[1] 調査国   ソロモン諸島国及びパプア・ニューギニア国
[2] 調査員   ○ 森田 祥太  当協会嘱託
和田 仁三    〃
[3] 調査日数  平成元年11月21日〜12月10日(20日間)
[4] 調査結果の概要
 ヘンダーソン空港整備計画については、その空港のターミナルビルは旅客量に比して狭く機能的でないため、B-737型機の到着時には、ロビーの混雑は特にひどく、新しい旅客ターミナルビルが必要であること、その他滑走路、誘導路、エプロン、航行援助施設、管制塔等は既にオーストラリア、クウェート、ドイツの援助で整備済であることが判明した。
 その結果、日本の政府ベースによる技術協力を進めることによってこれを達成することを助言し、これが当該国の空港の整備に大きな布石となった。
 パプアニューギニア国ラバウル・トクア空港建設計画については、現ラクナイ空港は火山の噴火の恐れのある所に位置すること等により、新たにトクア空港を改良することが得策であることが判明した。F/Sについては既に日本政府に要請済であるのでその促進を図る必要がある旨を助言した。その結果、当該国の空港ストラクチャーの形成に大きな前進となった。
[5] 報告書の作成  部数   150部
配布先  会員、関係官庁、国内関係機関、相手国政府及び在外公館等その他
(5) ジンバブエ国ハラレ国際空港整備計画予備調査
[1] 調査国   ジンバブエ国
[2] 調査員   ○ 高橋 康彦  当協会嘱託
澤 龍太郎    〃
[3] 調査日数  平成元年6月7日〜6月24日(18日間)
[4] 調査結果の概要
 本調査により、ハラレ国際空港の整備について次のことが判明した。
a. ターミナルビルのスペースが狭いため、旅客処理に手間がかかっているので拡張の必要がある。
b. Cargo設備も処理量が増大しているので拡張の必要がある。
c. ハンガーについても、B-767用のスペースと設備が必要である。
d. レーダー設備については現在一部故障しているので緊急に更新の必要がある。
e. 更にエプロンの増設が必要である。
 その結果、日本として対応するためには、政府ベースによる調査団を派遣することにより、このプロジェクトの実現に努めることが適切である旨の助言を行ったが、この結果、当該国の空港整備の形成に大きな布石となった。
[5] 報告書の作成  部数   150部
配布先  会員、関係官庁、国内関係機関、相手国政府及び在外公館等その他
■事業の成果

近年、開発途上国の我が国に対する経済・技術協力の要請には、港湾・鉄道・空港・観光等の運輸関連施設の建設整備・改良案件が多く、本年度もこれらの開発途上国からの要請に応じて、将来実現可能性の高い良質な運輸関係プロジェクトの予備調査を実施したことにより、開発途上国の将来の運輸関係インフラストラクチャーの整備について、国土開発、社会開発の面で多大の貢献をするものと思われる。





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