日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 総記 > 一般論文・講演集 > 成果物情報

「水深測量における動揺補正システムの研究開発」の報告書

 事業名 水深測量における動揺補正システムの研究開発
 団体名 日本水路協会  


■事業の内容

小型船で水深測量を行う際に、波浪の影響による船の動揺を自動的に補正することで、測深精度の向上と測量作業の能率向上を図るために、船の動揺検知を行う上で有望視されているヒービングセンサーを活用した動揺補正装置を既存の音響測深機を組み合わせて、動揺補正システムの研究開発を次のように行った。
(1) 動揺補正の目標性能
 動揺補正を行わない時の測深値に対して動揺補正を行った時の測深値の変動が、波浪の周期が2〜10秒の動揺について10%以内に、10〜20秒の動揺については20%以内に補正できるものとした。
 目標性能  ・ 送受波器の垂直動揺  1〜2メートル
・ 動揺周期       2〜20秒
(2) 付加装置の設計及び製作
 小型船の上下動によって、ヒービングセンサーから得られた加速度信号を2回積分し、音響測深機の送受波器の位置に相当する電気信号に変換して、この信号に基づき、音響測深機の発信位置を送受波器の上下動に相当する位置に制御することによって記録紙からもまた、直接にデジタル化も可能とする装置を次の仕様により設計及び製作した。
[1] 信号周波数  0.5〜0.05Hz
[2] 入力電圧   Max  5V
[3] 積分定数   20秒
[4] 出力電圧   1m/1V
(3) 実証実験
 設計値に対して所期の性能を発揮することができるかを確認するため、次の室内試験と海上実験を行った。
[1] 室内試験
a. 電気特性試験
 動揺補正装置の電気特性を確認するため、音響測深機と動揺補正装置を接続し、入力信号としてシンセサイザ発振器を用いて動揺1〜2メートル、周期2〜20秒に相当する疑似信号による試験を行った。
b. 動揺特性試験
 ヒービングセンサーを振動台に乗せ、動揺量±25cm、周期2〜20秒で動揺させて、センサーの出力信号を2ペン式レコーダに記録させるとともに音響測深記録紙上に発振線深度の変化として記録させ、応答特性を確認した。
 この試験結果により、送受波器の垂直動揺が0〜2m、動揺補正の周期2〜20秒、加速度0.5〜1.5Gをパラメータとして測深値の垂直動揺に変動が、補正を行わない値2〜10秒周期の動揺については10%以下、10秒を越えて20秒までは20%以下であることが確認された。
[2] 海上実験
 製作された付加装置と既存のヒービングセンサー、音響測深機、デジタル深度集積装置を接続し、小型船に搭載して西ノ宮沖、和歌山沖、御坊沖と波浪特性の異なる海域において、実際の風浪、うねりによって生じた小型船の動揺量に対する補正効果を得るためと船速、波向に対する航走方向の変化別影響を得るための海上実験を次のように行った。
a. 内水面海域試験
 波浪の波高、周期ともに比較的に値が低い内水面海域(西ノ宮沖)において、船速3、5、7ノットで各1往復の走行試験と舵角を10、20、30度で右及び左の旋回試験及び急発進、急停船による影響試験を行った。
b. 外洋海域試験
 波浪の波高、周期ともに値が高い外洋域(和歌山沖、御坊沖)において船速3、5、7ノットで波向に対する航走方向を0、45、90、135度として往復航走試験と性能試験及び10、20、30度の旋回試験を行った。
(4) 整理、解析
 実証実験の結果、補正精度と応答精度は所期の目標精度が得られたが、小型である実用機としての問題点と解決方法は、次のとおりであることが判明した。
[1] 問題点
a. 長周期から中周期までの動揺は、目標どおりの補正効果が得られたが、短周期の動揺については補正効果が十分でない。
b. 波浪中の衝撃を受けた時にオーバーシュートの補正信号が発生する。
c. 旋回時における旋回加速度の影響を受けてオーバーシュートの補正信号が発生する。
d. 補正回路の近傍で無線機が電波を発射した場合、異常な補正信号を発生する。
[2] 改良、解決方法
 aについては、室内試験をヒービングセンサーと送受波器を同時に上下動できるように改良し、動揺補正精度及び応答特性の確認を行った。
 その結果、補正特性は良好であるが、位相特性が少し遅れ過ぎており、高い周波数の動揺で補正効果が少ない結果となっていた。
 この解決方法として補正回路定数を変更し修正を行う。
 bについては、ヒービングセンサーの緩衝台を更に周波数特性の良いものに変更することによって、垂直、水平方向の衝撃にも同時に効果あるものとなった。
 cについては、現状の方法ではジャイロの特性上どうしても避けることのできない問題であることが判明した。しかし、旋回時においてジャイロの姿勢制御を行っているコントロール回路を切り放すことによって、旋回の影響を取り除けることが判明したので、スイッチにより旋回時にこの回路を切り放すよう改良した。
 dについては、補正回路の中に高利得のオペアンプがあり、この回路に電源ラインから電波を誘導し、アンプに悪影響を与えていることが判明したので電源ラインにノイズフィルターを挿入することで解決した。
■事業の成果

本年度の研究開発で各種の試験を行った結果、目標性能を満たしていることが判明したとともにいくつかの問題点が抽出でき、この問題点も解決した。
 本システムの実用化については、多素子音響測深機を使用する場合ヒービングセンサーを1台とする時、計算で複数の振動子を補正する付加装置の設計・製作。旋回操船と同時にジャイロの姿勢制御回路を切断、旋回終了時に復帰する回路の設計・製作等の課題が残された。
 しかし、ヒービングセンサーを使った動揺補正システムの実用化の目途はついたといえる。





サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
6,320位
(31,548成果物中)

成果物アクセス数
434

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2019年11月9日

関連する他の成果物

1.「水路業務における人工知能利用に関する研究」の報告書
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から