
■事業の内容
(1) 知識工学手法による局地気象予測システムの開発 [1] 研究対象 局地気象予測を行うためには、気象予報官の持つ経験をもとにしたノウハウが重要である。しかしながら、これらのノウハウを系統的にまとめたものはまだない。そこで人間の持つ知識をコンピュータで実現する強力な手段である知識工学手法を用いて、豪雪に焦点をあて局地気象予測法を気象予報官のノウハウからルール化する研究開発を行った。 また、コンピュータグラフィックスの手法を用いて格子点データとしての気象物理量を視覚的に三次元・四次元に表現する手法の研究開発を行った。 [2] 研究方法 a. 降雪現象の理論的な面の調査を行い一般化された基本ルールを作成した。 b. 気象予報官から予測に関する気象データの取扱いや判断基準をヒアリングし知識・ルールの形にまとめた。 c. 関連する数値予報データや衛星データの画像解析結果を整理してデータベース化し、システム構築の一部分として作成した。 d. 米国のボストン・サンフランシスコを中心に関連する機関、会社で海外調査を行い気象予測におけるAI技術や予測結果の視覚表示方法について多くの知見を得るとともに資料収集を行った。また、文献調査によってもAIシステム構築知識を習得し、両調査を活用して検討するシステムの概念を検討した。 [3] 研究内容 上記[2]で収集したデータを専門家モデルとして構築するための基本設計を行い、プログラミング可能な知識ルールデータベースとして整理し、エキスパートシステムの基本設計を行った。 また、グラフィックスについては格子点データの視覚表現方法を検討し、基本プログラムを作成し事例について表示サンプルを作成した。 [4] 報告書の作成 本研究の成果を報告書にまとめ、関係官庁をはじめ関連機関に配布した。 (A4判 200部) (2) 複雑地形における三次元の気流数値シミュレーションモデルの実用化研究 [1] 研究対象 水平スケールが数十kmから数百kmの範囲に適用できるような複雑地形における三次元の気流数値シミュレーションモデルの実用化に関する研究を行った。本年度は2年計画の研究の初年度に当たり、主としてプログラムの開発を行った。 [2] 研究方法 大気境界層内の複雑地形上の気流や大気汚染物質の挙動を解析するための気流数値シミュレーションモデルを開発するために、文献及び資料を収集して、モデルに採用すべき入力条件、計算方法等について調査した。その結果から、まず簡単なモデルのプログラムを作成し、ついでモデルの構築を行うとともに、プログラムの開発を行った。開発したモデルを実地形として茨城県筑波山周辺に適用し、モデルの適用性の検討を行った。また、計算コストの低廉化のために机上型高性能科学技術計算機による運用プログラムを開発した。 [3] 研究内容 a. 文献及び観測資料収集 b. 入力条件の設定法に関する研究 c. 数値モデルと計算手法の研究 d. 三次元気流数値シミュレーションプログラムの開発 e. マイクロコンピュータ利用化の研究 [4] 報告書の作成 本研究の成果を報告書にまとめ、関係官庁、地方自治体、大学、電力会社等に配布した。(A4判 250部) (3) 津波推算モデルの実用化研究 -実用津波推算モデルの開発- [1] 研究対象 海湾の津波挙動の解明に利用できる実用的津波推算モデルの開発に関する研究を行った。 [2] 研究方法 a. 津波推算モデルの開発 b. 津波推算モデルの検証 c. 1944年東南海道地震津波及び1946年南海道地震津波に関する文献、データの収集整理 d. 津波推算モデルの適用(1944年東南海道地震津波及び1946年南海道地震津波) [3] 研究内容 津波の発生から伝播、遡上までを推算するモデルを開発した。いくつかの基礎的な実験をとおしてモデルを検証し、さらに1944年東南海道地震津波及び1946年南海道地震津波の推算に適用して実用性を確かめた。 [4] 報告書の作成 本研究の成果をとりまとめて報告書を作成し、関係官庁及び民間港湾関係機関、報道関係機関に配布した。(A4判 200部)
■事業の成果
局地災害は各種の産業に大きな打撃を与えるが、とくに人命に係わる場合はその影響は深刻である。しかし、局地災害防止は地域の発展に非常に重要な事項であるにもかかわらず未解決の部分が多い。 本研究は多くの局地災害のうち、豪雪を知識工学手法により予測するシステムの開発、複雑な地形に影響される気流によって生ずる災害解明のための気流シミュレーションモデルの開発、沿岸における津波被害を予測する津波推算モデルの開発を行うものである。 これら局地防災の予測は海・陸運・海洋利用、農・漁業等国の重要施策に関連した海難防止、国土防災、自然環境保全、産業振興に多大に貢献するものである。これらの成果を活用することにより国の気象業務の及ばないところを補完するという公益事業の一層の増進が図られると思われる。
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