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■事業の内容

(1) 「高齢化社会における世帯構造の地域差に関する調査研究」
[1] 調査研究の内容
 本調査研究は、人口高齢化と世帯形成との関係に地域差が生じる原因を、人口高齢化と世帯形成過程の比較分析によって解明した。また、人口高齢化と世帯構造の特徴的な地域の高齢化の実態を調査し、高齢化問題の本質を明らかにし、総括研究として高齢化社会対策に必要な基礎資料を得た。
[2] 調査研究の範囲と特徴
: 人口高齢化が進展しているが、核家族化が進展していない地域-山形県
: 人口高齢化が著しく進展しており、核家族化も進展している地域-鹿児島県
: 人口高齢化は進展しているが、核家族化は比較的緩やかな地域-大阪府・愛知県
[3] 調査研究方法
○ 国勢調査、厚生行政基礎調査等の調査結果を集計分析して全国及び地域別の概要と地域差の概観を把握した。
○ 現地調査
 上記の統計分析結果をもとに、九州地方-鹿児島県、中部地方-愛知県、東北地方-山形県について、集計結果の分析をふまえて現地調査を実施した。
[4] 調査事項
○ 人口高齢化に関する事項-人口構成の全国的時系列推移
人口年齢別構成の地域別推移(都道府県別・市町村別)
○ 世帯員に関する事項-配偶関係、死亡、移動、居住形態、扶養、同居・別居形態
[5] 収集分析資料(データ)
○ 全国統計-家族類型別世帯数(年次推移)・世帯人員数
高齢者世帯数・年齢別普通世帯数
○ 都道府県別統計-家族類型別世帯数(年次推移)・世帯人員(年次推移)・高齢者世帯数
○ 地域別統計-年齢5歳階級別人口・家族類型別世帯数
高齢者世帯数(鹿児島県・大阪府・山形県)
[6] 報告書の作成
○ 規格 :B5判 101ぺージ
○ 部数 :1,000部
○ 配布先:地方自治体行政官・専門家・関係機関・関係省庁
(2) 「人口高齢化に関する日中共同研究-上海市高齢化社会調査」
[1] 調査内容
 本調査は、中国・上海市の人口高齢化と高齢化社会生活の実態を調査し、東京都社会福祉基礎調査結果との比較分析を行った。
[2] 調査項目
○ 人口関係:世帯・家族構成・寿命・独居老人の実態等
○ 生活関係:生活費:社会保障・就労・生きがい等
○ 社会関係:社会教育活動・保健医療等
[3] 現地調査地域-上海市
○ 上海市調査人口-496,500人(65歳以上人口87,610人)
[4] 研究分析方法
○東京都社会福祉基礎調査(昭和60年調査)との比較分析
[5] 収集分析データ
○ 上海市高齢化社会実態調査結果の集計及び統計分析
○ 東京都社会福祉基礎調査結果の比較項目(40項目)の集計及び統計分析
[6] 報告書の作成
○ 規格 :B5判 136ぺージ
○ 部数 :1,000部
○ 配布先:関係省庁・専門家・関係機関・自治体行政官
■事業の成果

高齢化社会における世帯構造の地域差に関する調査研究は、わが国の高齢化現象を人口高齢化と世帯形成の変化として地域別・時系列にとらえており、研究成果の分析結果と基礎データを地方自治体および関係者並びに関係機関に提供することは、今後の高齢化社会対策の推進に役立つものと思われる。
 また、高齢化社会の諸問題はわが国のみならず国際社会においても、その緊急性が現実的問題となっている。とくに中国においては人口抑制と都市化がもたらす社会的影響として高齢化社会問題が顕著であり、上海市の高齢化社会実態調査を実施し、わが国との比較研究を行うことは、今後の中国社会の社会発展に大きく貢献するものと思われる。
 また、この調査研究は、わが国の国際的立場を高めるとともに、今後高齢化社会を経験する中進各国および開発途上国にとっても極めて有効な資料を提供することとなり、併せてわが国の新たな高齢化社会対策推進の参考資料となるものと思われる。





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