日本財団 図書館


■事業の内容

(1) 利用・提供実態の分析
 海上保安庁水路部「海の相談室」における利用・提供実態調査を今後の需要の予測、データの利用促進を図るための資料の取得、事業の採算性を検討するための資料の取得、の3点に焦点を当てて過去5か年間の実績表により分析を行った。
(2) 需要動向調査
 海運・建設・海洋調査・海洋レジャー等の民間企業15社を対象として需要の動向を把握するための訪問調査を実施したところ、必要としているデータ・情報は次のとおり業種毎に異なっていた。
[1] 海洋調査・コンサルタント関係・建設・通信関係
a. 海洋開発プロジェクトが主として沿岸地域に集中しているため、沿岸部のデータを必要としており、各社ともに複数の機関から収集しているため、データ提供窓口の一本化を望んでいる。また、迅速的な提供及び即応性に対する希望もある。
b. 日本水路協会の新規事業として、資料収集事業、オンラインデータ検索事業及びフロッピーディスクによるデータ提供が希望されている。
[2] 海運関係機関
 外洋における航路の選定に必要な情報の提供については、既に市場が確立されており、日本水路協会に対しては、海流推測図の発行頻度の増加及び港湾内部の流れに関する情報提供が望まれている。
[3] ヨット・マリーナ関係機関
 ヨットレース等が多く開催される局所的な海域・マリーナ近傍海域のデータを欲している。また、安全確保のため、「海象・気象予報」の提供が求められている
(3) 情報提供機関の現状調査
 気象・地図・漁業情報等、既に情報提供を行っている10機関について訪問調査を行い、サービス内容・提供体制・提供手段・提供価格等の資料を収集し分析すると次の4種類に分類することができた。
[1] 保有情報をそのままの形で提供する。
[2] 他機関の保有する情報・資料等を含め、検索収集する。
[3] 保有情報の定型加工
[4] 保有情報の非定型加工・コンサルティング・調査研究受託
(4) 提供体制整備の基本方針の検討
[1] 情報流通における日本水路協会の位置付け
[2] 事業内容
[3] 事業化のステップ
[4] 価格設定に関する考え方
[5] 需要開拓方策及び将来ニーズ
(5) 委員会の開催
[1] 委員会   3回
[2] 作業部会  3回
[3] 専門部会  3回
(6) 報告書の作成
[1] 規格    A4判 100頁
[2] 部数    100部
[3] 配付先   関係官庁、関係団体等
■事業の成果

今年度は、本調査研究の初年度であり、調査結果によって海洋情報提供体制の基本方針策定に必要な基礎事項について検討整理した結果、
(1) 情報提供事業に当たっては、情報項目に応じて流通形態を選定する必要があること。
(2) 事業内容としては、資料のコピーといった単純な内容から高度なノウハウを必要とするコンサルティング等までを考慮する必要があること。
(3) 価格の設定に当たっては、さまざまな方式があるが、提供実費等をベースに設定することが妥当であること。
(4) 広報等の需要開拓方策を講ずればニーズが増加すること。
(5) 事業化への整備は、三つの段階に分けて進めればよいこと。
等が明らかになり、事業化への目途が立ったものと考えられる。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION