■事業の内容
(1) 中・長距離海上旅客輸送おける高速艇投入の可能性調査 [1] 輸送需要の特性の把握 瀬戸内海地域における自然的、社会的概要及び交通機関の整備状況並びに地域開発動向を既存資料により整理するとともに、調査対象地域に就航している定期航路の状況及び同航路区間における競合輸送手段の関係を整理した。 [2] 旅客需要の予測 既存資料により、国内旅客輸送及び海上旅客輸送の動向を整理し、また、将来の輸送機関別旅客輸送の推移を考慮し、検討対象航路として設定した7つの航路について旅客需要量を推定した。 [3] 輸送体系に適応した船舶の検討 高速艇利用者アンケート調査並びに造船事業者等関係者に対するヒアリング調査を実施し、各種高速艇の一般的特性及び技術的開発動向等を踏まえて望ましい船種船型の検討をした。 [4] 船舶運航システムの策定 関係者ヒアリング調査及び既存資科等から、上記[2]で設定したモデル航路7ルートについて、現在西日本地区で就航している高速艇4船種における船舶運航システムを検討した。 [5] 高速艇事業の採算性の検討 採算性の判断基準は、基本的には損益分岐料金によるものとし、投入船舶、運航条件をもとに設定した運航計画に基づく運航に伴う経費から損益分岐料金を算出することにより採算性を検討した。 (2) 関西国際空港海上アクセスの詳細設計 [1] 航空旅客需要予測調査 「三点セット」(運輸省)及び「関西国際空港建設事業に係わる環境評価書」(関西国際空港(株))を基に航空旅客需要を把握するとともに、既存の海上アクセス調査資料を参考に海上アクセス需要を想定し、検討対象航路を設定した。 [2] 空港関連施設整備計画の把握 関西国際空港及び海上アクセス側の空港関達施設整備計画について、既存資料により整理した。 [3] 輸送条件に適合した船舶の検討 検討対象航路における気象・海象及び海上交通の実態等の環境条件を把握し、海上アクセス船に求められる機能(安全性・迅速性・利便性等)について検討することによって海上アクセス船として現在就航している船種の中から望ましい船種船型の検討を行った。 [4] 船舶運航システムの策定 上記(1)で設定したルート別船種別航海時間及び海上アクセス料金の設定をし、船種別にみた海上アクセス需要量の算定を行った。 同時に前述の検討条件、運航条件に基づき検討対象航路における運航計画を想定し、運航スケジュールを策定した。 [5] 事業の採算性の検討 上記で検討した海上アクセス需要、投入船舶、運航条件等をもとに設定した運航計画に基づく運航に伴う経費から損益分岐料金を算出することにより、採算性を検討した。 [6] 海上アクセスに求められる支援体制 海上アクセス船の欠航時における支援体制を、利用者の信頼性の面からみて、具体的にその対策を整理した (3) 報告書の作成 200部 A4版 配布先:運輸省、地方公共団体、関係団体他
■事業の成果
近年における高速道路網の整備、本四備讃線の開通、空港のジェット化工事の進展は、国内交通体系を大きく変革させており、このような中にあって、旅客船事業は、旅客ニーズの高度化とともにその対応に迫られている。 本調査は、このような背景のもとに、瀬戸内海における高速艇投入の可能性と、関西国際空港海上アクセスサービスの提供の詳細設計を行ったもので、この調査結果が、初年度に実施した瀬戸内海におけるクルーズ船調査結果とともに、利用者のニーズの高度化時代に対応した今後の旅客船事業の発展に寄与するものと思料する。
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