■事業の内容
(1) 判別方式の研究 昭和60、61年度に実施した海上実験の音響データから、海底地質を判別する方式について音圧分布、周波数解析、減衰解析等をより詳細に検討したところ、画像解析及び周波数差分解析と波形処理解析が有効であり、このうち、波形処理方式をもって判別方式とすることと決定した。 (2) 処理手法の研究 波形処理方式による処理手法について、試作機としての音響信号の送受信方式、送信間隔、受信データの取り込み時間とデータ数、信号の変更、表示等の処理制御方式を研究した。 また、各ユニットが持つべき機能と仕様を検討して次のように決定した。 送波出力 150、300、450W(内部切替) 送波方式 パルス出力 送波パルス幅 1-3msec(内部切替) 送波中心周波数 3.5KHz 受波素子 ハイドロフォン 受波プリアンプ 20dB(内部調整可) 受波フィルタ 2-7KHz バンドパスフィルタ 受波アンプ ディジタルゲイン設定型アンプ(0-60dB 6dBステップ) A/Dコンバータ 12ビット(1符号+11データ) 50KHz(20μsec) 1024ポイントサンプル*2 メモリ タイミング制御 8ビットμCPUを用いたプログラム制御 高速演算部 32ビットμCPUを用いたプログラム制御 グラフィックス機能 640*400ドット 8色カラー表示 14インチ CRT 操作パネル機能 電源 ON-OFF CRT 輝度調整 表示切替(音圧、音響インピーダンス、底質) 水深レベル調整(ボトムトラッキングレベル) 表示レンジ切替(1画面 10m表示) 喫水補正値入力 磁気テープコントロールスイッチ リワインド、記録、停止、再生 所要電源 AC 100V 消費電力 350W (3) 処理ソフトの試作・評価 海底地質判別装置の処理システム全体の調整について取りまとめ波形処理方式の処理手法による海底からの音響反射波をパルス化するための処理計算、理論反射波形による音響反射波インピーダンス計算、波形処理計算を行う演算用ソフトウェアを試作した。 また、判別結界をCRTディスプレイにカラー表示する制御・演算プログラムを試作し、61年度実施した土質試験結果と対比させその適合性を評価したところ海底下3.5m程度まではほぼ一致するものと確認された。
■事業の成果
今年度は4か年計画の3年目に当たり、過去2年間の研究結果を踏まえ、海底下4〜5mの海底地質判別について研究を進めてきた結果、波形処理解析が最も有効であり、3.5m程度までは地質試験結果と良い適合度を示していることが確認された。船舶の錨泊に必要な海底下の地質は、通常3mぐらいとされている現状から十分実用性を発揮するものと考える。この判別方式の確定により試作機としてのシステム設計、演算処理ソフトウェアの試作へと発展し得たことは評価でき、次年度に実施する試作機による海上評価実験が期待される。
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