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■事業の内容

(1) G.P.S.受信装置の改造
 前年度に試作した2点同時観測用G.P.S.衛星電波受信装置について、受信制御プログラムを改造した。
[1] 衛星電波伝播時間計算に衛星-受信装置間の補正を加える。
[2] 電離層遅延補正は現場モニター用データには補正し、後処理用データには補正しない。
[3] G.P.S.時刻と受信装置内時刻との差を測定し、データとして外部に出力する。
[4] 計測データをG.P.S.時刻での正秒として補間する計算式を1次式から2次式に改める。
この結果、受信データの品質が向上し、点検が容易となった。
(2) 試験観測
 陸上の1固定点と他の1固定点を下記5か所に移動する観測を第1回7月期、第2回10月期に行った。
 固定点は、海上保安庁水路部屋上点、移動した固定点は、東大地震研究所屋上、東大海洋研究所屋上、東大東京天文台工場屋上、国土地理院鹿野山測地センター及び郵政省電波研究所の各基準点で各点と水路部点との距離は6km〜90kmの範囲であった。
 これら試験観測の目的は
[1] 基線長と基線測定精度
[2] 再現性
[3] 時刻精度
を把握し、諸補正量の変化を吟味するためであり、取得したデータを整理、検討した。
 7月期には周囲温度の上昇のため一時受信装置に異常を生じたが、応急措置により回復し、10月期は順調であった。
(3) 位置決定計算プログラムの開発
 前年度に引続き開発を進め、2点で同時観測した擬似距離のデータを解析し、諸補正を加え、1点を既知、地点を未知として位置を決定する固定点用後処理方式で4衛星に対処できるプログラムを開発した。これにより経緯度と高さのいわゆる3次元測位、高さを固定した2次元測位計算が可能となった。また、データを編集、圧縮するプログラム及び軌道要素を改良するシミュレーションプログラムを開発した。
 この結果、単独測位では30〜50mの精度が、2点同時測位では4〜5mと改良された。

■事業の成果

沖合海上および離島周辺海域における測量、調査に適する高精度かつ小型軽量な自動測位装置の開発が望まれており、この要望に応えるため、本研究を進め、3年計画の2年目として受信装置の改造、陸上固定点と他の固定点を移動した試験観測を行い、陸上用後処理方式の位置決定計算プログラムを前年度に続いて開発し、取得データを用いて検討、評価を行った。
 今年度の成果としては、前年度で試作した受信装置の受信制御プログラムの改造により、データ点検が容易となり、データの品質向上が図れたことにより、2受信点間の基線変化と諸補正量の関係が把握でき、また、位置決定計算プログラム開発により、2点同時観測方式の有効性が確認できた。
 以上の成果を基礎にして、当初目的が実を結ぶことにより海難防止に寄与するところ大なるものがある。





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