■事業の内容
(1) 概要 本事業は海外における国産膨脹式救命いかだ整備事業場の実態を調査し、昭和61年6月に策定された「海外における膨脹式救命いかだサービス・ステーションの承認要領」の基準に対する適合度について評価を行い、船舶の海外検査を合理化するため、これら事業場の体制強化策を樹立させる参考資料とするもので、次の内容により実施した。 (2) 調査対象地域及び事業場 調査対象地域はわが国の船舶検査官が短期駐在又は巡回検査を実施しているカナダ、ニュージランド・オーストラリア、地中海の3地域とし、海外いかだ調査委員会の選定により同地域に所在する次の事業場を対象とした。 [1] カナダ a. セントジョーンズ ○ Sea pro Services(N.B.)Ltd. b. ダートマス ○ Sea pro Services(1983)Ltd. c. セントダビッド ○ G&A Bourque Marine Inc. d. リッチモンド ○ Dunlop-Beaufort Canada Ltd. ○ Fitz Wright Survival Systems Inc. [2] ニュージランド・オーストラリア a. オークランド ○ Air New Zealand Ltd. b. ポート・アデレイド ○ Hugh Quin pty, Ltd. [3] 地中海 a. ピレエフス ○ Marita Hellas Ltd. ○ Star Maritime Co. ○ Niotechnic(Safety)Co. b. ジェノバ ○ Jonassohn S.R.L. c. マルセイユ ○ Servaux Services Auxiliarires De L' Armement (3) 調査内容等 [1] 各事業場の実情を把握するため調査員を派遣して次の事項を主要項目とする調査を行った。 a. 設備・器具 作業場、洗滌場所、点検用器具、修理用器具、試験用器具の状況 b. 管理状況 作業管理、材料部品管理、図書、書類管理、整備用器具管理、試験用器具管理の状況 c. 技術者 ライセンス取得者数、教育状況 d. 整備技術 整備マニュアル理解度、整備実施状況 [2] 現地調査は、上記調査項目を内容とする現地調査表を作成し、これに基づいて実施した。 [3] 調査員は下記のとおりである。(運輸省海上技術安全局調査員発令) (カナダ) 当会指導技師 鈴木和夫 調査期間 昭和62年9月5日〜昭和62年9月21日 (ニュージーランド・オーストラリア) 当会指導技師 薄井正憲 調査期間 昭和62年10月19日〜昭和62年10月27日 (地中海) 当会業務部長 戸田和男 調査期間 昭和62年11月2日〜昭和62年11月19日 [4] その他 海外における膨脹式救命いかだサービス・ステーションの承認要領(英訳)及び海外いかだ委員会で作成した資料(英訳)(日本船舶品質管理協会概要)を各事業場に配布、概略説明を行った。 (4) 調査結果の解析 現地調査表は集計解析した。その主な集計解析項目は次のとおりである。 [1] 企業内容 資本金、従業員、事業内容、いかだ整備能力等 [2] 整備事業内容 外国政府機関の承認関係、主要国いかだメーカーのライセンス供与状況等、過去5ケ年間の整備実績 [3] 施設・設備等 施設、設備、器具及び整備技術者の現状及び整備実施状況等 [4] 諸管理 材料及び部品、設備の較正、書類の管理等 [5] その他 部品及び艤装品の補給状況等、火工品類保管倉庫、炭酸ガスシリンダーの再充てん等の状況、進水装置用膨脹いかだの整備実績及び試験設備の状況等 (5) 現地調査の結果は、各事業場の施設、設備、諸管理、技術者及び整備技術等について現状分析を行ない、問題点を指摘し、委員会の決定した評価要領に基づいて各事業場の評価を次のとおり行った。 [1] 総合評価 C(多少問題がある) 9事業場 [2] 〃 D(問題が多い) 3事業場
■事業の成果
(海外における膨脹式救命いかだ整備事業場の調査と評価) 本事業における海外の整備事業場の現地調査と評価の結果次の成果が得られ、今後海外の整備事業場に対する体制強化策樹立の参考資料となり、もってこれら事業場の首席承認事業場化が推進され、わが国の海外検査の合理化に多大に寄与するものと確信する。 (1) 海外3地区におけるいかだ整備事業場の実態を詳細に解明することができた。 (2) 調査対象12の事業場について、施設、設備、管理、技術者等の実態調査の結果、委員会により各事業場の評価が得られた。 (3) 3地区における国産いかだの整備実績は年々増加していることを知ることができた。 (4) いかだの部品及び艤装品の補給等の実状について知ることができた。
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