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■事業の内容

[1] 生産システムの高度化に関する調査研究
 舶用工業における生産性の向上、競争力の強化等を図るため、企業内の生産活動の各部会でコンピュータ利用による自動化、合理化が推進されてきている。
 本事業では、これら部門のシステムLANのようにさらに有機的に統一化された情報、通信システムを導入し、生産システムのより効率的な運行を図ることについて2カ年にわたり調査研究することとした。
 初年度である本年度は、次の調査研究を行った。
a LAN利用の実態調査
 企業内及び関連会社間でのLANとコンピュータの結びつきに関しての実態ならびに将来構想等について、文献、他産業及び工業及び工業会会員企業に対してアンケート(他産業101社送付→55社回答、舶用180社送付→78社回答)、ヒアリング調査を行った。
b 舶用工業としての導入上の問題点等の摘出
 aの調査結果に基づき、舶用工業としてのLAN導入の必要条件等あきらかにした。
c とりまとめ
 上述までの調査結果をとりまとめ、舶用工業としてのLAN導入のための課題等を明らかにした。
[2] 生産技術の近代化への転換促進
 舶用工業において当面する情報に応じて生産設備の改善、作業工程の自動化、システム化など生産技術の近代化への転換を希望する企業に対して専門コンサルタントの指導等により改善策について調査、検討した。
a 転換指導対象工場の選出
会員企業の中から近代化転換指導を希望する次の4企業を選出した。
北川工業   ………多品種少量生産における自動化
新興金属工業所………CAD/CAMの有効的導入策
森尾電機   ………工場レイアウト改善による納期短縮策
松井鉄工所  ………1) 鋳物生産工程の分析、改善
2) 切削加工技術向上の施策
b 近代化転換のための調査研究
 転換指導対象の4企業に専門コンサルタントを派遣し、現地において生産技術、設備などの近代化に必要な転換方策について具体的な調査・検討を行った。
コンサルタント
寺田 利邦  早稲田大学・教授
吉本 一穂  早稲田大学・講師
木村 哲郎  木村コンサルタント事務所・技術士
荒木  勉  東京都立商科短期大学・助教授
朝比奈奎一  東京都立工業技術センター・主任研究員
c 指針の作成
 4企業の転換方策について調査、検討の結果をとりまとめ、業界の近代化転換の指針を作成した。
■事業の成果

今後の舶用工業は、生産体制を技術集約的で高度な競争力を持つ近代化への転換促進が必要とされている。
 このためには、生産設備、設計、製造工程、生産管理など、生産活動における自動化、システム化に関しての導入策について調査研究し、業界の活性化を図らなければならない。
 本事業の今後の舶用工業企業が有機的に統一された情報、通信システム(LAN)を導入し、企業内各生産システムのより効率的な運用を図るうえでの貴重なアドバイス資料であり、「[2]生産技術の近代化への転換促進」では、調査、指導成果を指針としてとりまとめており、転換指導対象工場の現状分析、改善目標など、コンサルタントによる転換促進の指導が具体的に示されている。
 これらの成果は、会員企業が自社の生産性を向上させるために生産システムの改善あるいは将来計画を立案するうえで寄与するところが大きく、当業界が今後の発展をめざすうえで多くの示唆を得ることができる。





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