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■事業の内容

(1) G.P.S.受信機の試作
 2点同時観測用として、G.P.S.衛星電波受信機2台を試作した。それぞれ擬似距離及び軌道データを最大4個の衛星について取得し、データレコーダに収録が可能な出力形式と接続形式を有し、屋外観測が可能なアンテナの構造である。観測場所の変化に対応できるようアンテナケーブルは最長50m現場での作動確認が可能なよう概略な位置を出力するほか、データの良否が判断できるフォーマットを採用した。
(2) 試験観測
 陸上の2固定点においての同時観測を実施した。これは、
[1] 試験受信機の性能確認
[2] 取得データの性質把握
[3] データの解析の方針の決定
[4] 位置決定プログラムの概略設計に役立てる
意味を持ち、海上保安庁水路部、東京天文台、下田の白浜及び那智勝浦の下里各水路観測所で、延15日間の試験観測を実施し、データ整理を行った結果、受信機の性能及びデータの性質の把握ができた。
(3) 位置決定計算プログラムの開発
 同時観測データを解析する4方法を検討した結果、放送される衛星の軌道情報が将来故意に精度を低下される可能性があること、電離層補正の公式も忠実でないこと、衛星の軌道を補正しないと位置決定精度が向上しないこと、などに対応できるよう暦改良方式を採用することとした。
 プログラム開発については、概要設計を行い、全体の流れを決め、取得観測データの解読と編集に必要となるプログラムを試作した。
■事業の成果

沖合海上及び離島周辺海域における測量・調査に適する高精度かつ、小型軽量な自動測位装置の開発が望まれており、この要望に応えるため、本研究を進め、3年計画の初年度として、受信装置の試作、陸上2固定点における試験観測を行い、位置決定計算プログラムの開発について検討し、概要設計と一部プログラムを試作し、観測データの評価を行った。
 今年度の成果としては、
 試作受信装置が、4衛星それぞれの擬似距離及び軌道データを取得し、収録できる性能を確認するとともに、試験観測の結果により、受信データの性質を把握でき、位置決定計算プログラムの開発に役立てることができた。
 又、上記成果を利用し、データ解析方針の決定、プログラムの流れを含む概要設計を行い、受信データの解読、編集のプログラムを試作することができた。
 以上の成果を基礎にして当初目的が実を結ぶことにより海難防止に寄与するところ大なるものがある。





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