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■事業の内容

(1) 海洋開発関連の国際会議・展示会への出席
[1] ROV'85(Remotely Operated Vehicle Conference & Exposition)への出席
 ROV'85は無人潜水機に関する会議及び展示会で、無人潜水機の開発、航法装置、マニピュレータ等その構成機器に関する論文の発表と関連機器の展示が行われたもので、この会議に出席したものである。
a. 開催期間  昭和60年4月2日〜4月4日
b. 開催地   サンディエゴ(アメリカ)
c. 会議及び調査内容
(a) ROV'85会議・展示会
 12セッション、53論文の発表
 展示 約100社
(b) 当センターから発表した論文名
 Present Status of ROV in JAMSTEC
 発表者  青木 太郎
(c) 海洋開発関連機関等の訪問調査
イ. ハイドロ プロダクツ社(ROVのメーカー)
 同社で開発し製造しているROVについて、実物のプールでの試験等の視察及び同社の技術開発動向の調査を行った。
ロ. 米国海軍NOSC(ROV等の研究開発機関)
 同センターでのROVの開発状況と保有しているROV及び支援母船について実物を見学するとともに、意見交換を行った。
ハ. 米国海軍NOSCハワイ支所(ROV等の運用機関)
 同センターで開発中の光ファイバーケーブル及びステレオカメラシステムについて調査した。
ニ. HURL(Hawaii Underwater Research Laboratory)
 ハワイ大学と密接な関係のもとに、海中で使用する作業機器の評価と研究開発、ダイバーの養成訓練を行っている機関である。
 これらの研究開発の実施状況等について調査を行った。
d. 派遣期間及び派遣員
(a) 派遣期間  昭和60年4月1日〜4月8日
(b) 派遣員   海洋開発研究部長  石井 進一
深海開発技術部   青木 太郎
[2] OTC'85(Offshore Technology Conference)への出席
 OTC'85は石油開発のための海洋開発技術を中心として、幅広く海洋開発全般にわたる技術についての会議及び展示会で、技術分野は、石油開発のための海底探査、航法システム、海洋構造物、氷海技術、通信技術、材料力学等についての論文発表と展示がおこなわれたもので、この会議に出席したものである。
a. 開催期間  昭和60年5月6日〜5月9日
b. 開催地   ヒューストン(アメリカ)
c. 会議及び調査内容
(a) OTC'85会議・展示会
○ 42セッション、232論文の発表
○ 展示 約2000社
○ 参加登録者数 約5700名
(b) 海洋開発関連機構の調査
イ. NASA
 海事衛星についての研究開発状況と今後の計画等について調査を行った。
ロ. ベントス社(深海カメラのメーカー)
 深海用カメラ及び音響測位装置の開発状況について調査した。
 特に、音響測位装置については、LBL方式による高精度のものが開発済みであり、当センターの今後の深海用機器システムの開発に参考となった。
ハ. ウッズホール海洋研究所
 深海潜水調査船「アルビン」を保有し、1979年にメキシコ東海岸で「熱水鉱床」を発見したことで知られる研究所である。
 深海潜水調査船システムを用いた深海調査研究についての同所の実績、運営方法等について調査した。
ニ. ウエスチングハウス社
 各種水中音響機器の開発、製造を行っているメーカーで、特に、ソーナー、水中用の各種ビークル、流速計、ソノブイ等について調査した。
ホ. 米国海軍デビッド・テーラー艦船研究所
 一般の艦船の他、特に、深海用の船に関する研究を行っている機関で、世界最大級の高圧実験水槽を保有している。当センターで計画している6000m級潜水調査船の実物の耐圧殻の試験もこの水槽を借用して行う可能性があるので、その仕様、性能、使用条件等について詳細に調査した。
d. 派遣期間及び派遣員
(a) 派遣期間  昭和60年5月4日〜5月12日
(b) 派遣員   理事       関  厚
深海開発研究部  磯谷 実
[3] OCEANS'85への出席
 OCEANS'85は海洋工学に関する基礎的、共通的技術に関する会議及び展示会で海洋観測システム、水中音響技術、航法システム、海洋データの収集・収録・検索等に関する論文発表と関連機器の展示が行われたもので、この会議に出席したものである。
a. 開催期間  昭和60年11月12日〜11月14日
b. 開催地   サンディエゴ(アメリカ)
c. 会議及び調査内容
(a) OCEANS'85会議・展示会
56セッション、260論文の発表
展示 約120社
(b) 海洋開発関連機関等の訪問調査
イ. ワシントン大学海洋学部
 同大学における深海調査研究の現状について、次の項目について調査した。
(イ) 熱水鉱床付近に棲息する、高温環境でかつ光に依存しないバクテリアの生態調査
(ロ) 海底地質の年代を測定するマススペクトロメーターの開発状況
(ハ) 海洋調査に関するコンピュータの導入
ロ. NOAA太平洋海洋センター(NOAA-PMC)
 NOAA(National Oceanic & Atomospheric Searvice〜海洋気象局)は米国商務省の付属機関であり、太平洋海洋センターは、太平洋の海域の同局の活動の中心であり、大気と海洋に関する広範囲の科学技術研究やこれに対する行政を行っている。
 特に、同センターでは、海洋調査船(計9隻)の運航等も行っており、太平洋海域の海洋観測事業の現状について調査を行った。
ハ. メキシコ石油公団(PEMEX)
 同公団は、メキシコ国内のすべての石油及びガスの生産、販売、輸送を独占している国営企業である。
 同公団での海洋石油開発の現状を中心に、調査を行った。
 また、シュダ・デル・カルメンにおいて、海洋石油生産プラットホーム、貯蔵船、オイルリグ等を海上までヘリコプターにより視察し、石油生産の現状や関連機器類の現場での使用状況について調査を行った。
ニ. ベラクルス造船所
 同造船所は、メキシコの代表的な造船所の一つであり、資本の大半を国が出資している。同所での造船の現状と将来計画等について調査を行った。
ホ. スクリップス海洋研究所
 米国の代表的な海洋研究所であり、カリフォルニア大学の一部門として海洋分野の研究と大学院教育を行っている。同研究所の担当である太平洋及びインド洋の海洋調査観測の現状、観測機器の研究開発状況及び運用状況について調査を行った。
ヘ. ロッキード社海洋事業部
 同社では、潜水船システム、潜水船サポートシステム、電源及びエレクトロニクスの事業を行っている。
 同社で開発建造を行ったDSRV(潜水艦救難艦)や潜水調査船「タートル」の開発状況等について調査を行った。
d. 派遣期間及び派遣員
(a) 派遣期間  昭和60年11月10日〜11月16日
(b) 派遣員   当センター理事  間山  隆
深海開発研究部  荻原 廣治
(2) 海外の研究者・技術者の招へい
[1] 深海調査研究者の招へい
 当センターの深海潜水調査船「しんかい2000」による深海調査研究ならびに本年完成予定の海中作業実験船「かいよう」に搭載のマルチナロービーム測深器等の各種調査機器による深海調査研究の推進に際し、この分野に豊富な経験を持つフランスIFREMERから研究者を招へいし、意見交換を行った。
a. 招へい先   フランス国立海洋開発研究所(IFREMER)
(フランス・ブレスト)
b. 招へい期間  昭和61年2月14日〜2月22日
c. 招へい者   Mr.Gerad Rior(主任研究員)
d. 招へいの内容(指導、助言を受け、意見交換を行ったテーマ)
(a) IFREMERの組織及びフランスの海洋開発について
(b) シービームのデータ処理技術について
(c) サイドスキャンソーナーの画像データ処理技術について
(d) フランスの深海潜水調査船システムについて

■事業の成果

近年、エネルギー資源問題をはじめとして、海洋科学技術の研究開発の重要性は一段と増してきた。
 これらの技術は、わが国でも未知の分野の先端技術が多く、研究開発事業をより効率的かつ安全に推進してゆくためには海洋開発先進諸国の技術情報の入手、交換を行い、効果的な事業の推進を図る必要がある。
 本事業はこれらをふまえ海洋開発関連機関の訪問調査、海外での海洋開発関連の国際会議・展示会への参加、海外の研究者の招へいを実施したものでわが国の海洋科学技術の開発の促進に寄与するところ大なるものがある。





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