(1) 推進性能推定精度向上に関する研究 [1] 伴流中を作動する最適プロペラ設計法の検討 a. プロペラ設計:圧力分布の異なる3個のプロペラを設計。主要目は次のとおり。 翼数…4翼、ピッチ比…1.0 展開面積比…0.55 圧力分布…平担型1種、三角型2種 b. プロペラ製作:上記のプロペラ3個を造技センターで製作 c. プロペラ単独試験:上記3個のプロペラについて、単独性能試験を行い、Kt、Kq及びηoを求めた。 d. キャビテーション試験:プロペラ荷重度2及び0.7の2種について、均一流中のキャビテーション試験を実施した。 e. 解析:実験結果と計算結果とを比較検討し、キャビテーション性能、プロペラ単独効率等を求めた。 [2] プロペラ単独性能の尺度影響に関する試験 a. プロペラ単独性能試験:青雲丸に実用されたプロペラに対して、大小2種のCP及びHSPについて、同一の回転数及び前進常数で単独性能試験を行い、Kt、Kq及びηoを求めた。 b. 油膜によるプロペラ翼面上の流れの可視化:前述の4個のプロペラを用いて、前進常数3状態について、流動パラフィン・オレイン酸・酸化第2クロムをプロペラ翼面上に塗付して、翼面上に現われる典型的な油膜パターンを写真撮影、スケッチ、VTR録画した。 c. プロペラ翼面境界層計測:前述のプロペラの中から、中型のCPを選び、キャビテーション水槽において、レーザドップラ流速計によるプロペラ翼面境界層計測を実施した。 試験条件は次のとおり。 計測位置…0.7R プロペラ回転数…6.63RPS 流速:1,325m/s d. 文献調査:プロペラ単独性能の尺度影響に関する文献のうち、特に回転翼の翼面境界層を理論的に取扱ったもの13件について内容を調べ、要約した。 [3] 実船伴流計測法の開発 a. 実船伴流計測に関する調査:過去の計測例11例について調査し、それらの概要をまとめた。 また、計測における必要精度、計測位置、計測項目に関して、アンケートにより調査を行った。 b. 画像処理による速度測定法に関する調査1過去の文献の中から、流れの可視化画像を画像処理することによって流速分布を測定しているものを選択して、それらの概要を一覧表にまとめた。 c. 画像処理による速度測定法の開発:データ処理装置とパソコンとのデータ受け渡し用プログラム、測定用の基準物等を作成し、これらを用いて物体の空間位置を測定して、その誤差評価を行い、次年度の予備実験として物体の2次元的な移動速度の試計測を行った。 (2) 水中騒音性能に関する研究 [1] 文献調査:プロペラ・キャビテーション騒音に関する文献表題集を作成した。 [2] プロペラ単独性能試験:シドニー・エクスプレスの250mm模型プロペラを製作し、これについて単独性能試験を行った。 [3] 水中騒音計測:ITTC比較試験に準拠し、船所及び造技センターの2箇所で試験を行った。 a. 試験方法及び試験条件…均一流中、前進率3種、キャビテーション数5種 b. 計測方法…プロペラ後方1m及びプロペラ真横を基準 c. 解析 …2箇所での計測結果について、プロペラ回転数の影響、計測距離の影響、騒音のスペクトルレベルでの評価等を行った。