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■事業の内容

(1) 海上防災訓練
 当センターと排出油防除等の作業の実施に関する契約を締結している契約防災措置実施者及び傘下の関係者に油防除に必要な知識及び技術を修得させるため次のとおり訓練を実施した。
[1] 函館地区
a. 海上防災訓練講習会
 函館港湾福利厚生会館会議室において、次の海上防災講習会を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年8月21日
(b) 講習内容
イ. 事故事例と教訓について
(函館海上保安部 警備救難課長)
ロ. 油回収船について
(海上保安庁 警備救難部 海上防災課 専門官)
ハ. 海上災害防止センター業務概要説明及び防災資機材使用について
(海上災害防止センター 防災部長)
ニ. 質疑応答
b. 海上防災訓練
 函館海上保安部指導のもとに、函館港中央埠頭、万代埠頭及び前面海域において、流出油事故等の災害が発生した場合を想定して、迅速、円滑な災害応急対策、関係機関相互の協力体制の確立のため、官民一体となった防災訓練を次の項目により実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年8月22日
(b) 訓練項目
イ. 流出油防除訓練
(イ) 情報伝達
(ロ) 流出油停止装置
(ハ) 現場指揮所設置
(ニ) 対策本部設置
(ホ) 流出油防除
ロ. 火災船消火訓練
(イ) 火災消火
(ロ) 火災船曳航離岸、水膜放水
(ハ) 注入消火
ハ. 海中転落者救助訓練
(イ) 航空機による吊上げ救助
(ロ) 負傷者応急手当、救急軍への移送
c. 海上防災訓練研究会
 函館港湾福利厚生会館会議室において、函館海上保安部訓練指導官から講評を縁、訓練時の問題点の検討を行い事故発生時の留意事項等の確認を行った。
(a) 開催年月日  昭和60年8月22日
d. 参加船艇等
船艇        16隻
車両        4台
航空機       1機
人員       184名
オイルフェンス  720m
[2] 三池地区
a. 海上防災訓練講習会
 三池港湾労働者福祉センター会議室において、次の海上防災講習会を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年9月18日
(b) 講習内容
イ. 有害危険物に関する今後の法体制
(海上保安庁 警備救難部 海上防災課 防災係長)
ロ. 事故事例と教訓、防災資機材使用等、及び海上災害防止センター業務概要説明ついて
(海上災害防止センター 防災部 業務課長)
ハ. 質疑応答
b. 海上防災訓練
 三池海上保安部の指導のもとに、三池港第1区ゼネラル石油桟橋前面海域及び周辺海域において、タンカーによる大量油流出及び火災発生時を想定し、災害の局限を図るため、官民一体の応急諸作業を演練し海上防災体制の改善を図り、流出油対策等を充実化するため、次の項目により防災訓練を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年9月19日
(b) 訓練項目
イ. 流出油防除訓練
(イ) 情報伝達
(ロ) 応急措置
(ハ) 人員資機材動員・輸送
(ニ) 船舶交通、沿岸住民等への安全措置
(ホ) 流出油防除措置
ロ. 船舶火災消火訓練
(イ) 火災消火
(ロ) 火災船舶曳航沖出し
c. 海上防災訓練研究会
 三池港湾労働者福祉センター会議室において、三池海上保安部訓練指導官から講評を得、訓練時の問題点、事故発生時の留意事項等の検討、確認を行った。
(a) 開催年月日  昭和60年9月19日
d. 参加船艇等
(イ) 船艇        14隻
(ロ) 車両         8台
(ハ) 人員        191名
(ニ) オイルフェンス  1,040m
[3] 田子の浦地区
a. 海上防災訓練講習会
 富士地区貨物運送事業協同組合会議室において、次の海上防災講習会を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年9月26日
(b) 講習内容
イ. 事故事例と教訓について
(清水海上保安部 警備救難課長)
ロ. 防災資機材の性能及び取扱い
(海上災害防止センター 防災部 業務課長)
ハ. 海上災害防止センター業務概要
(同上)
ニ. 質疑応答
b. 海上防災訓練
 清水海上保安部、田子の浦海上保安署の指導のもとに、田子の浦港石油埠頭第3号桟橋及び周辺海域において突発的石油災害に対処するため官民一体となった、実践的かつ迅速なる海上災害応急体制の確立を図るため、防災訓練を次の項目により実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年9月27日
(b) 訓練項目
イ. 流出油防除訓練
(イ) 情報伝達
(ロ) 対策本部設置
(ハ) 応急措置
(ニ) 流出油防除
(ホ) 船舶、沿岸住民等への安全措置
ロ. 火災船消火訓練
(イ) 船舶火災消火
c. 海上防災訓練研究会
 富士地区貨物運送事業協同組合会議室において、清水海上保安部、田子の浦海上保安署訓練指導宮から講評を得、訓練時の問題点の検討を行い事故発生時の留意事項等の研究、確認を行った。
(a) 開催年月日  昭和60年9月27日
d. 参加船艇等
(a) 船艇        4隻
(b) 車両        6台
(c) 人員        81人
(d) オイルフェンス  600m
[4] 油津地区
a. 海上防災訓練講習会
 サンプラザ天照閣において、次の海上防災講習会を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年10月14日
(b) 講習会内容
イ. 事故事例と教訓について
(海上災害防止センター 防災部長)
ロ. 排出油防除資機材の取扱い及び性能について
(海上災害防止センター 防災部長)
ハ. 海上災害防止センター業務概要説明
(海上災害防止センター 業務課)
ニ. 質疑応答
b. 海上防災訓練
 油津海上保安部指導のもとに、油津港東岸壁及び前面海域において、タンカーによる海上災害が発生した場合を想定し、災害の局限を図るため官民一体となって流出油の防除、消火等応急的諸作業の演練、関係機関との協力体制の充実強化を目的とし、次の項目により防災訓練を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年10月15日
(b) 訓練項目
イ. 流出油防除訓練
(イ) 情報伝達
(ロ) 応急措置
(ハ) 出動機関相互の連絡調整
(ニ) 周辺地域における安全措置
(ホ) 流出油防除措置
ロ. 火災船消火訓練
(イ) 火災消化作業
(ロ) 事故船の沖出し曳航
(ハ) 負傷者救出
c. 海上防災訓練研究会
 油津港湾合同庁舎会議室において、油津海上保安部指導官の講評を得て、訓練時の問題点の検討を行い事故発生時の留意事項等の確認調整を行ったが、地元初の総合流出油処理訓練という事もあり、活発な意見交換が行われ有意義であった。
(a) 開催年月日  昭和60年10月15日
d. 参加勢力
(a) 船艇         10隻
(b) 車両         6両
(c) 航空機        1機
(d) 人員        120名
(e) オイルフェンス  1,000m
[5] 新居浜地区
a. 海上防災訓練講習会
 住友化学工業(株)愛媛工場会議室において、次のとおり海上防災講習会を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年11月5日
(b) 講習会内容
イ. 事故事例と教訓
(今治海上保安部 警備救難課長)
ロ. 有害液体物質にともなう法改正の動き
(海上保安庁 警備救難部 海上防災課)
ハ. 有害液体物質について
(海上災害防止センター 主任調査研究員)
ニ. 排出油防除資機材の取扱い及び海上災害防止センターについて
(海上災害防止センター 業務課)
ホ. 質疑応答
b. 海上防災訓練
 今治海上保安部新居浜海上保安署の指導のもとに、新居浜港住友化学工業(株)愛媛工場新居浜12岸壁付近において、海上災害の発生を想定し、防災関係機関及び関係企業が協力し、総合的な防災活動を演練し、防災体制の充実強化及び防災意識高揚を図るため、次の項目により防災訓練を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年11月6日
(b) 訓練項目
イ. 流出油防除訓練
(イ) 情報伝達
(ロ) 応急措置
(ハ) 災害対策調整本部設置
(ニ) 防災資機材輸送
(ホ) 排出油調査防除措置
ロ. 船舶火災消火訓練
(イ) 火災消火
(ロ) 延焼防止
(ハ) 曳航沖出し
(ニ) 負傷者救出、輸送
c. 海上防災訓練研究会
 住友化学工業(株)愛媛工場会議室において、今治海上保安部指導官から講評を得て、訓練経過説明及び問題点の検討、事故発生時の留意事項等の確認を行い、現体制の強化等多数の意見が出された。
(a) 開催年月日  昭和60年11月6日
d. 参加勢力
(a) 船艇        12隻
(b) 車両        5両
(c) 航空機       1機
(d) 人員       138名
(e) オイルフェンス  800m
[6] 福山地区
a. 海上防災訓練講習会
 日本鋼管(株)福山製鉄所別館会議室において、次のとおり海上防災講習会を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年11月24日
(b) 講習会内容
イ. 事故事例と教訓
(尾道海上保安部 警備救難課長)
ロ. 防災資機材の性能及び取扱い
(海上災害防止センター 防災部)
ハ. 海上災害防止センターの業務について
(海上災害防止センター 防災部)
ニ. 質疑応答
b. 海上防災訓練
 尾道海上保安部福山海上保安署の指導のもとに、福山港日本鋼管(株)福山製鉄所Hバース付近海域において、タンカーによる海上災害が発生した場合を想定し災害を局限するため、関係機関が協力して船舶からの流出油の防除、火災の消火等応急諸作業を演練し、海上防災体制の充実強化を目的とし、次の項目により防災訓練を実施した。
(a) 開催年月日  昭和60年11月25日
(b) 訓練項目
イ. 情報伝達
ロ. 人員資機材動員、輸送訓練
ハ. 流出油拡散防止訓練
ニ. 流出油回収処理訓練
ホ. 火災消火
へ. 火災船の移動
ト. 消火訓練
チ. 放水操練
c. 海上防災訓練研究会
 日本鋼管(株)福山製鉄所別館会議室において、尾道海上保安部指導宮から講評を得た後、訓練内容の検討、今後の対応等について、積極的な質疑応答がなされ、夜間発生事故等の問題が指摘された。
(a) 開催年月日 昭和60年11月25日
d. 参加勢力
(a) 船艇         19隻
(b) 車両         5両
(c) 航空機        1機
(d) 人員        106人
(e) オイルフェンス  1,200m

(2) 訓練施設等の整備
[1] 消防ポンプの代替
a. 仕様  125φ×1.320l/分×80m、インペラーBC、シャフトSUS304、200V、30KW、フレキシブル吸込管、フート弁弁座BCストレーナ付、(付属ディーゼルエンジン)定格出力43PS/1,500r.p.m4サイクル水冷6気筒直列、その他付属品付
[2] 研修所ボイラーの代替
a. 給湯ボイラー  発熱量150,00OKcal/H. 40Kg/cm2
b. 暖房ボイラー  発熱量190,000Kcal/H. 40Kg/cm2
[3] 16ミリ映画の製作
a. 仕様     カラー約20分
b. 題名     「船舶火災(粉末消火剤と用法)」
c. 映画の内容  船舶用粉末消火装置(消火装置の種類、LNG船の消火装置)、粉末消火剤の種類と性能(薬剤の種類、製造工程、消火機構)、粉末消火装置の用法(各種粉末消火器の操作方法、LNG船での消火訓練、泡消火剤との併用)
第二海堡消火演習場での消火実習
編集、題名決定、録音、仕上げ(大峠プロダクション)
[4] ビデオプロジェクター(データービューアー共)の設置
 書籍、写真、図面等を拡大してスクリーンに投影する。視聴覚器材として研修所に設置した。
a. 仕様  ビデオプロジェクター  TH-1055 1台
データービューアー   WE9080  1台
反射ミラー、本体取付け架台付
■事業の成果

(1) 海上防災訓練
 講習会及び実施訓練には、各地区の契約防災措置実施者は勿論、地方公共団体、石油関連企業等地元関係者が多数参加したことにより、地域全体の防災能力の向上及び防災意識の高揚を図ることができた。
 又、研究会においては、疑問点の質疑応答が行われ、各地とも地区の特殊性に応じた工夫が必要であることを理解するとともに訓練結果を踏まえて、防災体制確立のため参加機関が資機材の整備強化、資機材使用上の応用技術習得等、将来の改善についての努力を続けてゆくことが約束される等、今後海上災害防止センターが実際の事故で出動する際、各関係機関との協力体制等が確立することができたことは、海難防止に資するところ大なるものがある。
(2) 訓練施設等の整備
 横須賀の研修所及び東京湾第二海堡にある当センターの消防演習場の施設は昭和52年に建設したもので毎年整備保守点検に努めてきたが、STCW条約関連の訓練回数の増加に加え、諸設備とも経年劣化による故障等により訓練の完全実施が困難であったが、本事業によりこれらの問題が解決されるとともに、ビデオプロジェクターの新設及び防火訓練用映画の製作により、従来にも増して訓練等教育内容の資質の向上が図られるものと期待される。





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