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■事業の内容

下記の国際会議に合計7名の代表者を出席させ、わが国の造船各専門分野における技術を紹介し、あわせて海外の最新の情報を収集し、報告を行った。
(1) 国際試験水槽会議・理事会出席
[1] 出席者   乾  崇夫(玉川大学教授)
[2] 開催場所  ノーフォーク(アメリカ)
[3] 開催期日  昭和60年5月20・21日
[4] 主要議事  出席者は理事会メンバー8名に特に議長より出席を招請した3名を加え、計11名で、下記の件を討議した。
○ Infomation Committee(情報委員会)後処理の件
○ Advisory Councilに関する件
○ 第18回国際試験水槽会議本会議(1987年10月、神戸)に関する件
○ 第18期各Committeeの作業スケジュール
○ 新規メンバー加入に関する件
(2) 国際試験水槽会議・耐航性技術委員会出席
[1] 出席者   大楠  丹(九州大学教授)
[2] 開催場所  エテボリ(スウェーデン)
[3] 開催期日  昭和60年5月21・22日
[4] 主要議事  出席者は9名で、下記の件を審議した。
○ 議長の推薦するSecretaryの承認
○ 第18回国際試験水槽会議の理事会に対する議長の返信の紹介
○ 第17回国際試験水槽会議における耐航性技術委員会の勧告についての討論
○ あらかじめ議長から指示されていた話題について、持ち寄った資料により討論を行った
○ 各委員の担当分野の割り当て
○ 会合の日程と委員会報告の作業日程
○ 他技術委員会との連絡
(3) 国際船体構造会議本会議・理事会出席
[1] 出席者   秋田 好雄(日本海事協会)
[2] 開催場所  ゼノア(イタリア)
[3] 開催期日  昭和60年9月23日〜27日
[4] 主要議事  理事会は前後3回開催され、下記の事項が審議された。
○ 理事および部会委員の辞任と新任
○ 理事国に中国と韓国を加える
○ 次回の開催地をデンマークのコペンハーゲンとする
○ 技術委員会の改組:設計委員会(8分科会)および専門分野委員会(8分科会)とする
○ 技術委員会の委員の変更
(4) 国際船体構造会議本会議・線型応答技術委員会出席
[1] 出席者   山本 善之(東京電機大学教授)
[2] 開催場所  ゼノア(イタリア)
[3] 開催期日  昭和60年9月23日〜27日
[4] 主要議事  出席者は委員長以下7名、本委員会は今期限りでなくなるのでこれに関連した研究テーマを今後どこで扱うかを審議した。
本委員会報告に関係して以下の話題が論ぜられた。
○ 座屈の日本における実験が理論からのズレが大きい
○ Design-Inspection-Redundancyの重要性の強調
○ Reliabilityはwhole lifeからのmax.profitの見地から論ずべきである
○ 疲労には一点における最大応力値だけでなく、その近傍の応力分布が関連する
○ SL7のmonitoring実験は積荷のデータがないので、有用性に劣る
○ ジャッキアップリグの脚と甲板の接合部のdynamic responseが問題である
○ 海洋構造物重量の60%を対座屈強度の部材が占める
(5) 国際船体構造会議本会議・工作法技術委員会出席
[1] 出席者   藤田  譲(東京理科大学教授)
[2] 開催場所  ゼノア(イタリア)
[3] 開催期日  昭和60年9月23日〜27日
[4] 主要議事  出席者は藤田委員長以下8名であった。
本委員会は次回より材料・工作法技術委員会と発展的に改組されることとなっているので、新委員会の研究方針・委員構成等の審議が主となり、以下の件について討論を行った。
○ 従来は材料の加工影響に関する研究を主としたが、新委員会においては材料そのものの性質に関する研究に主体性を置き、研究領域を拡大する
○ 腐食に関する研究も主要項目として取り上げる
○ 不整量に関する研究をすすめることとする
○ 藤田委員長は退任し、後任として東京大学野本敏治助教授を推薦する
(6) 国際船体構造会議本会議・数値解析技術委員会出席
[1] 出席者   川井忠彦(東京大学生産技術研究所教授)
[2] 開催場所  ゼノア(イタリア)
[3] 開催期日  昭和60年9月23日〜27日
[4] 主要議事  出席委員は6名で、冒頭委員長より次回本会議では技術委員会組織の大幅な変更が行われる旨の報告があり、各委員の所属希望委員会について質疑応答がなされた。
ついで本会議で討論される委員会報告について意見聴取ならびに討論が行われた。主な議題は以下のとおりである。
○ 船体振動試験結果より固有モードを推定する実用的方法
○ 計算機科学に関する基礎的講習会計画の必要性
○ 経営規模に応じた造船所設計システムのCAD化推進の指針の提案
○ 海底基礎と海洋構造物や氷海問題またコンクリート構造解析の重要性の拡大
(7) 国際船体構造会議本会議・非線型応答技術委員会出席
[1] 出席者   上田 幸雄(大阪大学教授)
[2] 開催場所  ゼノア(イタリア)
[3] 開催期日  昭和60年9月23日〜27日
[4] 主要議事  出席委員は11名中9名であった。まず次回から技術委員会の構成が大きく変るのでその対応について議論した。次いで委員会報告に対する質疑応答が行われた。主な問題は以下のとおりである。
○ ジャッキアップ・リグの最終強度解析法に対する質疑応答
○ 沖合構造物ではケーブルの挙動解析が必要だが、これは土木ではなく造船海洋の分野である
○ 補強板の理論的研究にはもっと実験を行うべきである。
○ 船体の衝突研究には衝突物あるいは被衝突物の両者の変形を考慮すべきである
○ 衝突の問題はスクラップする船などで実船試験などすべきで、しかも公表して欲しい
○ 氷荷重の研究を促進して欲しい
○ 実設計の応用のため、平板および補強板の座屈および最終強度の設計式とか図表を作成して欲しい
○ 非線型解析に用いられたプログラムの精度を是非検討して欲しい

■事業の成果

本年度は国際船体構造会議の本会議開催の時に当り、その理事会および技術委員会に計5名、国際試験水槽会議の理事会および技術委員会に計2名、合計7名を本会代表として派遣することができた。
 これらの国際会議は既に長い歴史を有し、それぞれの時代の最新技術および研究成果を集大成してきたが、最近では船舶のみならず海洋工学の方面にもその領域が拡大してきている。特に国際船体構造会議は時代の趨勢に応じ、今回委員会の構成を大幅に変更した。その最新情報はわが国の研究者・技術者を刺激し、常にこの方面の世界に対する指導的立場を確保するに役立ち、ひいては日本造船界の進歩に貢献するものと考えられる。





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