■事業の内容
(1) 生産システムの高度化に関する調査研究 工場における生産活動の大きな要素の1つである設計部門及び生産管理に関する近代化・合理化を図るため、コンピュータ利用によるCAD/CAMシステムの造船関連工業への適用についての調査研究を行った。 本年度は、CAD/CAMの各産業分野における導入状況についての実態を調査し、その利用状況、適用にあたっての問題点等についての解析を行い、導入に伴う企業側の適用上の課題について検討した。 [1] CAD/CAMシステムの導入状況の実態調査 a. 調査対象 当会々員企業 360事業所 他産業 570事業所 b. 調査方法 アンケート及びヒアリング c. 有効回答数及び回収率 当会々員 214(59.4%) 他産業 223(39.1%) d. 主な調査内容 (a) 会社規模等一般的事項 (b) 設計とその関連業務 (c) 導入・適用にあたっての問題点 (d) 導入したハード及びソフト (e) 適用業務の範囲と評価 [2] 適用上の問題点と導入に伴う課題の検討 [1]の実態調査の結果にもとづき、 a. 導入企業の形態と導入機器 b. 適用業務と利用方法 c. 評価と問題点 などについての検討を行い、導入にあたっての企業側の課題について調査研究を行った。 [2] 調査研究結果のとりまとめ 前述の調査研究結果をとりまとめ、また、現在市販されている各種のCAD/CAMソフトウェア、百数十件を整理して報告書にまとめた。 (2) 生産技術の近代化への転換促進 造船関連工業において当面する情勢に応じて生産設備の改善、作業工程の自動化、システム化など生産技術の近代化への転換を希望する企業に対して、専門コンサルタントの指導により、改善方策についての調査研究を行った。 [1] 転換課題及び対象工場の選択 本年度は次の3工場を対象とした。 兵神機械工業(株)本社工場……ポンプ製造・組立工程の自動化・合理化 (株)タクマ京都工場……………CAD/CAMシステムの導入と関連業務処理 (株)丸上製作所本社工場………新工場での自動化機械導入に伴うラインのレイアウト [2] 近代化転換のための調査研究 選択されたモデル工場について、専門コンサルタントによって現場において、生産技術、設備などを近代化するために必要な転換方策について具体的な調査研究を行った。 コンサルタント 中沢 弘 早稲田大学教授 寺田 利邦 早稲田大学教授 本村 貢 早稲田大学教授 藤川 亮吉 大阪府立大学講師 [3] 指針の作成 モデル工場における転換方策についての調査研究結果をとりまとめ、業界の近代化転換の指針を作成した。
■事業の成果
最近のマイクロエレクトロニクス等の目覚ましい進歩は、工場の生産技術に革命的な変化をもたらしており、造船関連工業の近代化への転換のためにはこれらの導入を推進することが是非とも必要である。 よって本事業では、当業界の現状を把握し、また他産業の動向を踏まえ、業界の置かれている状況を認識したうえで、設計及びその関連業務に対するCAD/CAMシステムの適用及び当面の生産技術の改善について検討したものであり、当業界が今後の発展をめざすうえで生産システムの改善、或は将来計画の立案上寄与するところ大なるものがある。
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