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■事業の内容

(1) 高経済船の設計調査
[1] 設計諸条件の調査研究
 海運及び水産業界並びに中型造船所の需要の中心となる中型貨物船(D.W.1万トン型)及び中型漁船(330G.T.型)を対象とし、試験結果をもとに検討解析を行い高経済船型としての主要目及び安全性等の設計諸条件を調査検討した。
[2] 設計
 高経済船型として最良と考えられる主要目を選定するための概略設計を中型貨物船(D.W.1万トン型、DRY BULK CARRIER)及び中型漁船(330G.T.型TRAWLER)について行った。
(2) 高経済船型の開発
[1] 船体形状の研究
○ 中型貨物船について、昭和57年度に研究開発した船首部形状シリーズ及び昭和58年度に開発した船尾部形状シリーズの成果をもとに、理論による船型解析を行って高経済船型の模型船1隻を製作し、抵抗試験及び自航試験を行い船体形状の変化と抵抗の関係を確認した。
○ また、中型漁船について、模型船1隻を製作し、排水量、幅、喫水をほぼ一定とし、L/B、B/d及びCB等の主要目を系統的に変化させた主要目変化シリーズ水槽試験(抵抗試験及び自航試験)を昭和57年度の試験結果をもとに引き続き行い船体形状の変化と抵抗の関係を確認した。
■事業の成果

近年の燃料費高騰に対処するため、現在就航している同種の船より約10%以上燃料費が節約できるような高経済船型を設計する指針を作成することを目的としている本事業の昭和59年度の成果は概ね次のとおりである。
(1) 高経済船の調査研究
 高経済船型を設計するうえで必要となる主要目及び経済上、安全上のファクター等の相関関係を明らかにする諸データが得られた。
 また、概略設計を行った船舶が実用に供し得ることが確かめられたとともに、設計を行ううえで必要となる運航上、経済上の有益な諸データが得られた。
(2) 高経済船型の開発
 主要目、フレームライン形状、船首尾部形状等が推進、抵抗に及ぼす諸データが得られたとともに、貨物船について馬力計算等を行った結果、BHPで在来船と比較して約20%の燃料費の節減できることが確かめられた。
 本研究は昭和57年度より4ケ年の継続事業であり、来年度で中型貨物船と中型漁船それぞれの高経済船の設計指針を作成することとなっている。
 しかし、本年度の成果単独でも高経済船の設計建造をしようとする中型造船所技術者及び船主にとり有効な指針となるものであり、省エネルギー対策に大きく貢献するものと期待される。





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