■事業の内容
(1) 超近代化生産システムの調査研究 [1] サンプル工場における超近代化生産システムの試設計 57年度に実施したサンプル工場における自動化システム導入に必要な課題の検討に基づき、サンプル工場についてコンピューターによるシミュレーションモデルを作成して、超近代化生産システムの試設計を行った。 サンプル工場 ○ 軸物加工(発電動機)……………………大洋電機・群馬工場 ○ 箱物加工(ポンプ)………………………新興金属工業所・府中工場 ○ 仕上組立加工(ディーゼルエンジン)…新潟鉄工所・新潟内燃機工場 [2] 現実的導入方法の具体化 試設計をそのまま実際の工場に応用するには様々の困難が予想されるため、これに技術的、経済的評価を加えて、現実的な導入の方法をいくつかのパス・デザイン(Path Design)により調査研究を行った。 [3] 工場の自動化を図るための一般的指針の作成 前述の調査研究結果をとりまとめ、今後企業が自動化システムの導入による超近代化生産システムヘの転換を図るために活用する次の内容を含む指針を作成した。 a. 造船関連工業近代化の方向 b. FMSのための要素技術開発動向 c. 一般製造業におけるFMS導入のケース d. 造船関連工業におけるシステムの試設計 e. FMSシミュレータの開発 f. 産業用ロボットの導入 g. システム改善パスの選択 h. 今後の課題 (2) 生産技術の近代化への転換促進 [1] モデル工場の選択 57年度に実施した、生産技術の近代化転換課題の検討に基づき、早急に取上げるべき研究課題に適合するモデル工場を選択した。本年度は次の3工場について行った。 (株)タクマ 京都工場 (株)丸上製作所 本社工場 (株)赤阪鉄工所 中港工場 [2] 近代化転換のための調査研究 選択されたモデル工場について、専門家よりなるコンサルタントチームによって現場において、生産技術、設備などを近代化するために必要な転換方策について具体的な調査研究を行った。 コンサルタント 中沢 弘 早稲田大学教授 工学博士 寺田 利邦 早稲田大学教授 木村 貢 早稲田大学教授 工学博士 三好 由記博 早稲田大学助手 [3] 指針の作成 モデル工場における転換方策についての調査研究結果をとりまとめ、業界の近代化転換の指針を作成した。
■事業の成果
造船関連工業が他産業に比し、劣位産業化を防いで今後の発展を期すための方策の一つとして、生産技術の近代化は欠くべからざるものであるが、わけても最近のマイクロエレクトロニクス等の目覚ましい進歩は、工場の生産技術に革命的な変化をもたらしており、近代化への転換のためにはこれらの導入を推進することが是非とも必要である。 よって本事業では、当業界の現状を把握し、また他産業の動向を踏まえ、業界の置かれている状況を認識した上で、「[1]超近代化生産システムの調査研究」においては、具体的にサンプル工場を選定し、将来的な当該工場のFMS化、ロボット化等超近代的な生産システムの導入について検討し、また「[2]生産技術の近代化への転換促進」においては、当面の生産技術の改善について検討した。 これらの成果は会員メーカーが自社の生産性を向上させるために生産システムの改善、或は将来計画を立案するうえで寄与するところが大きく、当業界が魅力ある産業となるための多くの示唆を得ることができる。
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