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■事業の内容

[1] 計測機器の整備
a. 購入により次の機器を整備した。
氷温測定装置         1式
チェーンソー         3台
アイスオーガ         1式
応力頻度計          1式
ポータブルレコーダ      1式
カセットレコーダ       1式
ビデオシステム        2式
8ミリカメラ、35ミリカメラ 各1式
加速度変換器         5台
加速度変換器用動歪アンプ   5台
スライダック         5台
直流増巾器          8台
シンクロコンバータ      1式
(ポンプマーク指示計)
トランシーバ         8台
シンクロスコープ       1台
ファンクションジェネレータ  1台
ユニバーサルカウンタ     1式
基準電圧発生器        1式
ディジタルマルチメータ    1式
静歪測定器          1台
等価歪発生器         1式
乾燥器            1台
b. リースにより次の機器を整備した
塩分濃度計        1式
特殊チェーンソー     1台
ジャイロシステム     1式
ドップラレーダ      1式
アナログデータレコーダ  4台
ペンレコーダ       2台
結晶写真撮影装置     1式
ローパスフィルタ     1台
直流定電圧装置      1台
[2] 実船試験
a. 自然環境状態の観測及び計測
 南極海域を航行する砕氷船にとって、砕氷性能を評価する上で海氷のデータは大きな要因となるため次の項目について計測を行った。
氷厚  :氷壁に孔をあけ巻尺で測定。
氷温  :採取した試料にドリルで孔をあけ、その孔に温度計を差込んで測定。
塩分濃度:採取試料を融かして電気伝導度を測定し、塩分濃度へ換算。
比重  :採取試料を比重が既知の溶液へ浮べて重量を測り、沈めて体積を測って氷の比重を求めた。
結晶  :採取試料から5mm位の薄片を作成し、これをガラス板上で融かして0.5〜1mmの薄片に整形し、偏光板により写真撮影した。
圧縮強度:試料を採取。帰国後試験する。
曲げ強度:採取試料により三点曲げ試験を行って曲げ強度を求めた。
 このほかに天候、風向、風速、気圧、外気温度、水温等の観測記録を行った。
b. 航行性能の計測
(a) 平水中推進性能試験
 静穏海域において直進試験を行い、主機出力1/4、2/4、3/4及び4/4における船速、馬力等を計測した。また、試験時の気象、海象状況を記録した。
(b) 波浪中運動性能試験
 荒天海域において主機出力、航行方位を一定とし、その時の船速、馬力、船体動揺、加速度等を計測した。また、試験時の気象、海象状況を記録した。
(c) 氷海中及び流氷中航行性能試験
イ. 氷海域直進試験
 主機出力及び航行方位を一定とし、その時の船速、馬力等を計測するとともに気象、氷象状況を記録した。
ロ. 氷海域旋回試験
 主機出力一定、舵角を±20°で旋回試験を行い、船速、馬力、船体動揺、加速度等を計測した。また、その時の気象、氷象状況を記録した。
■事業の成果

近年、カナダ北極圏における石油開発は急速に進展しており、わが国石油公団の参加しているドーム・プロジェクトにおいては、昭和60年頃の商業生産開始を想定しており、このような状況において北方資源を輸送するための氷海可航型商船の開発は急務であるが、わが国氷海船舶の建造及び運航の実績が乏しいため氷海航海の実船試験が切望されている。
 本事業は、昭和58年度「しらせ」の南極観測航行の機会を利用して、氷海船舶の研究開発に必要な各種の実験を行い、設計、建造及び運航に必要なデータを得たもので、今後の氷海技術の発展に寄与するところ大である。





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