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■事業の内容

(1) 立体視手法の研究
[1] 曳航方法の研究
 音響写真的立体画像を作成するための最も有効かつ効率的なデータ取得についての同方向立体視の場合、トウフイッシュの深度別による曳航方法を研究した。
[2] 画像・画質の最適補正方式の研究
 立体視表現のため画像・画質の最適な補正方式について昨年度実施した底質分類手法を発展させ45種の画質補正、画像強調の方法を考案して、そのうち比較的良好な5種による方式を研究した。
[3] 位置精度の研究
 計測時の精度に影響を及ぼす画素の位置精度の向上をはかるための誤差の消去法について航跡の函数表現と写真測量の原理に基づく標定との関係から共線条件式を用いて研究した。
[4] 立体視画像作成方法の研究
 立体視して高さが計測可能な画像を作成する方式について、写真測量による立体視の方法を導入することとし、地上座標とソナー座標系との関係と画像座標の変換による幾何歪の補正法及び誤差の起る要因について研究した。
[5] 総合プログラムの開発
 海底音響データから立体視可能な音響写真的画像を作成する総合プログラムを開発した。

(2) 海上実験
 センサーの曳航方式の確認と画像作成用海底音響データの収集のために海上実験を実施した。
■事業の成果

今までにサイドスキャンソナー画像を利用して立体視を行った例は、Denbign(1975)により試験的に作成されている。しかし、これは、2枚の画像を用いるのではなく、1枚の画像を用いて、1枚の画像はそのままに、他の1枚に高さの情報を加えて画像を作り直したものを立体的に見るようにしたものであり、実際に物体の高さを計測したものではなかった。
 本研究は、2枚のサイドスキャンソナー画像を用いて写真測量の原理に基づいて共線条件式の概念を拡張して時間の関数として与えられる位置及び姿勢の標定要素を解くことにより、実際に海底に存在するものの高さを計測する技術を開発したもので、現在までにサイドスキャンソナー画像を用いたこのような研究が行われた報告はない。
 この研究の成果は、今までの海底調査においては高さ(水深)の情報が調査線の航跡に沿った線上でしか把握できなかったものが、サイドスキャンソナーの取得範囲内であり、左右の画像中に同一地点であると確認することができれば、その位置の座標(X,Y,Z)がわかり、面的な情報として得られるようになったことである。
 この結果、正確な海底地形図の作成、海底ケーブル、海底配管のルート設置、漁場の有効利用等の海底調査における能率と精度の向上が期待され、海難の防止に大いに寄与するものである。





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