(5) 海上交通環境の整備に関する調査 (5)-1 来島海峡における航法に関する調査研究 a. 強潮下における船舶操縦性能実験結果の検討 b. 操船者の意識に関するアンケート結果の検討 c. 航行安全対策に関する総合的研究 [1] 委員会を開催し、来島海峡における航行及び安全対策全般について総合的に検討した。 [2] 作業部会を開催し、次の項目について検討した。 a. 現在の航法とその沿革 b. 船舶通航の実態 c. 潮流の現況 d. 強潮流下での航行船の挙動(船舶操縦性能実験の結果の検討及び神戸海難防止研究会の通行シミュレーションの検討) e. 航行の実態と問題点の検討(アンケート結果の分析・検討及び航法の検討) (5)-2 電光表示方式による航行情報提供システムに関する調査研究 a. 実験結果のつき合せ等による検討 b. 電光表示方式の有効性、実用性の総合的研究 [1] 委員会を開催し、室内実験についての実施要領及び実験結果の解析方針を決め、昭和56年度、57年度も合わせ各実験により得たデータを検討しながら、電光表示方式の有効性、装置の実用化にあたっての総合的な研究をし、概念設計を行った。 [2] 電光表示方式の実用化に関する研究を委託した小糸工業(株)から提出された概念設計の具体的試案について審議した。 (5)-3 狭水道における船舶交通の特性に関する調査研究 a. 通航船舶の実態観測 b. 観測結果の解析及び評価 c. 海域における船舶航行の特性の抽出及び解析 [1] 次の2海域において、レーダー及び目視により船舶交通の実態を観測した。 a. 備讃瀬戸西部(3日間) b. 関門港中央部東海域(3日間) [2] 委員会を開催し、次のような作業及び検討を行った。 a. 観測にあたってのレーダー設置場所、観測範囲、目視線の位置等を選定するとともに、観測上の重点事項を検討した。 b. 観測によって得られた資料を整理したうえ、両海域ごとに通航船舶の航跡、隻数、速力、密度の各分布状況について解析した。 [3] 備讃瀬戸西部海域に関しては、当海域における船舶交通が、本州四国連絡橋の橋脚工事開始以前と比較して、本格的工事が行われている現在、どのような影響を受けているかを、昭和53年度、54年度の観測結果と対比させながら、本年度のデータの検討を行った。 [4] 本調査研究の基礎的な事項として、本年度は次の3つを取り上げて検討した。 a. 海上交通実態調査の自動化への試み b. レーダー解析処理の流れ(手順) c. 実航跡による乗揚げの危険性を評価する方法 (5)-4 国際浮標式の導入に関する調査研究 [1] 委員会を開催し、次の[2]、[3]に係る調査研究の方針及び問題点の検討を行った。 [2] 多用形象式標体海上視認実験 a. 予備模型実験 b. 海上視認実験 ○ 標体塗色の識別距離の測定 ○ 形象物の識別距離の測定 ○ 頭標の識別距離の測定 ○ 変更実施済の灯浮標の現状認識 ○ 見回り作業員による保守作業実験による問題点の検討 [3] 浮標式変更に係るアンケート調査 我が国に於ては、昭和58年7月から7年間にわたる、IALA方式による浮標式の変更作業が開始され、この変更が当初の目的を達成出来ているかどうかを調査したものである。 この分析結果により、IALA方式の変更計画が有効に機能されていることが判明し、今後の変更作業に資するところ大なるものがある。 a. 実施時間 昭和58年10月〜昭和59年1月 b. 配布部数 和文 1,481部 英文 470部 c. 回収部数 和文 314部 英文 50部 (5)-5 関門海域における海上交通安全システムに関する調査研究 [1] 委員会を開催し、調査研究の方針として現状の分析、問題点の把握及び対策並びに海上交通安全システムの検討の三段階によることとし、詳細な現状分析を行うとともに、問題点及びシステムの検討の大要について検討した。 [2] 作業部会を開催し、現状分析、航行安全上の問題点、関門海域における航行管理上の基本的事項を検討した。 [3] 作業部会委員による現地調査を行った。 [4] アンケート調査票(2,000部)を配布、回収し分析を開始した。 アンケート調査は、関門海域を航行する船舶、操業漁船を対象として、航行上の現状の問題点及び海上交通安全システムに対する要望等を把握するために実施したものである。 本年度は基礎的な解析及び計算機への入力作業を行ったもので、今後必要とする相関解析が可能となった。
■事業の成果