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■事業の内容

(1) 自動水路測量システム実用化の研究
a. 海上実験
 犬吠埼付近の海域において、従来方式と同時に自動化システムのデータ集積装置を用いて船位、水深データをカセット磁気テープに収録した。テープ総数は136巻である。
b. データ処理
 自動化システムのデータ処理装置(当協会恵比寿分室設置)を用い、海上実験で得られたカセット磁気テープのデータを処理し、計画図、航跡図、水深素図及び海底地形素図を作成した。
c. 比較研究
 自動化方式と従来方式との成果品の品質特に均一性、図化精度、並びに作業量及び作業能率を比較研究した。
d. 実用基準
 海上実験及びデータ処理を通じて得られた問題点を整理し、自動化システムの実用基準を作成した。

(2) 自動図化の研究
a. 現状調査
 海図作成の自動化に関する国内外の文献及び水路部における海図作成の実態調査を行い、自動図化システム導入のための問題点を検討した。
b. 基本条件の研究
 海図作成の計画及び編集用資料についての種類、形態に応じたデジタル化の基準を定めデータ・ファイル化を研究した。
 データ・ファイル管理システム及びデータ・べース構造について研究した。
 自動化に必要な処理、作図プログラムについて調査し検討した。
 自動化システムが備えるべき入、出力及び編集の基本的機能について調査し検討した。
c. 海上境界の自動作図プログラム開発
 領海及び排他的経済水域を対象とした海上境界を図法を指定して自動描画できる電算機プログラムを開発した。
 使用言語はFORTRAN、使用電算機はACOS650、図化機はDRASTEM3600/912Hである。
■事業の成果

(1) 自動水路測量システム実用化の研究
 自動化システムによる水路測量の実用基準を確立し、手作業を主体とした従来方式に替る自動化方式の優位性を究明した。今後、水路測量全般に今回の成果が活用され、海図作成資料が速やかに収集される体制の整備に寄与することが期待される。
(2) 自動図化の研究
 海図作成の自動化の現状と実態とについて、水路先進各国と我が国とを対比し、自動図化システム導入のための問題点の把握、基本的条件のあり方を究明した。又、緊急性ある領海・排他的経済水域の海上境界を自動作図するための電算機プログラムを開発した。次年度においては、今回の成果を踏まえて自動図化システム及び海図データ・べース構造の設計及びデータ・ファイル並びに優先度の高い順からの描画プログラム開発を行い、海図作成の自動化を推進し、最新情報による速やかな海図提供を可能とし、海難の防止に資することが期待される。





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