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■事業の内容

(1) 主機関及び関連機器に対する高粘度油使用の実船実験
 高粘度油対策実施済の内航船舶3隻を本年度入渠時まで運航して調査のうえ、高粘度油対策の指針を取りまとめた。
[1] 調査対象船舶
(a) 高粘度油専焼のディーゼル機関(シリンダ内径 500φ)を搭載する船舶………鶴秀丸
(b) 高粘度油専焼のディーゼル機関(シリンダ内径 400φ)を搭載する船舶………第十一星雲丸
(c) A/Cブレンド油燃焼のディーゼル機関を搭載する船舶………第三清江丸
[2] 運航中、入渠時に下記の調査を行った。
(a) 各タンク、油清浄機、こし器、配管等に加熱するボイラの燃料消費量、各部の温度等を調査した。
(b) ピストンリング、シリンダライナ、吸・排気弁、過給機、油清浄機等を開放し、寸法計測、汚れなどの調査及び燃焼スラッジ分析を行った。
(c) 燃料弁、排気弁、過給機、油清浄機、こし器等の保守点検、交換間隔を調査した。
(d) 改造費、運航費、保守管理費、船内作業環境を調査した。
2. 低質燃料油に対する機関、機器の改善対策に関する実態調査
[1] 燃料弁、排気弁、燃料噴射ポンプ、油清浄機、移送ポンプを対象に調査を行った。
[2] 燃料油性状の制御値、障害例、取扱い・改善対策につき、関係機器メーカーへ調査した。
[3] 前年度までの実態調査、陸上実験で入手した燃料油の性状を整理し、低質化の実態を明らかにした。
[4] 現在までに使用された外航船の燃料油性状を補油地、銘柄等別に整理し、また低質燃料油の許容値を越えた場合の対策をまとめた。
3. 「実船実験」、「実態調査」の成果を“舶用燃料油の低質化に対する機関・機器の調査研究報告書(第3報)”としてとりまとめた。

■事業の成果

船舶用燃料油は世界の石油事情を反映して、今後ますます低質化の傾向にあり、機関及びこれに関連する機器は、その対応がせまられている。
 そこで本事業において、[1]高粘度油対策を施した内航船舶を長期間運航した実船実験のデータを入手し、また、[2]外航船に使用された燃料油性状を整理したことにより、低質燃料油対策をたてる上での参考資料を得ることができ、さらに機関・機器メーカーが許容している性状を越えた燃料油を使用する場合の対策をまとめ、船舶に予期せずに低質燃料油が供給された場合の対応が計れることとなった。
 以上の研究処果により、舶用機関及び関連機器は、新造船舶及び就航船舶の運航に支障を生じないよう保守、信頼性の確保、改善等の諸対策が講ぜられるものと期待され、船舶の安全な運航に寄与するところ大なるものがある。





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