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■事業の内容

(1) 斜め波中のスラミング発生条件の研究
[1] 角水槽における模型実験
斜め規則波中でのスラミング発生条件を調べる実験を実施。
対象船 :大型バルクキャリア(55.000DWT)
模型船 :弾性模型、木製模型(長さ4.5m)
試験内容:船体運動、相対水位、船体水圧、船体歪を計測
試験条件:満載状態で斜め規則波中自航波高12mまで・船速12ノットまで(何れも実船換算)
試験場所:船研角水槽
(2) 斜め波中の船体構造応答の研究
[1] 弾性模型による実験
 弾性模型を使用した水槽試験により、斜め波中の船体構造応答を把握するための実験を実施。
イ. 対象船 :大型バルクキャリア
(55000DWT)
模型船 :弾性模型(長さ3.5m)
試験内容:船体歪、船体運動、相対水位を計測
試験条件:満載状態で斜め規則波中自航、波高12m・船速12ノットまで(何れも実船換算)
試験場所:東大航海性能水槽(千葉)
ロ. 対象船 :大型鉱石運搬船(120,000DWT)
模型船 :弾性模型(長さ4.2m)
試験内容:弾性模型船の検定試験、波浪中自航予備試験、造波法の検討を実施。
試験場所:三菱長研耐航性能水槽
ハ. 対象船 :コンテナ船(716T.E.U.)
模型船 :弾性模型(既製、長さ3m)
試験内容:船体運動、船体歪、船首部水圧を計測
試験条件:満載状態で斜め波中曳航、波中12mまで、船速12ノットまで(何れも実船換算)
試験場所:石播横浜技研水槽
ニ. 対象船 :ハと同じ
模型船 :木製分割模型(長さ3m、4分割)
試験内容:模型製作のみ
試験場所:ハと同じ
[2] 船体断面模型による強制落下試験
イ. 船主部断面模型による強制落下試験
対象模型:大型バルクキャリアSS9の断面形状を持つ長さ1mの木製二次元模型
試験内容:落下塔より水槽(平水、波浪中)へ強制落下して船底衝撃水圧を計測
試験条件:落下速度、波高、位相関を変化
試験場所:船研
ロ. 平板の水平水面衝撃実験
 別途実施の実権及び計算結果を本項研究の資料とした。
[3] 船体応答推定計算法の研究
 船体応答推定計算プログラム作成検討のため、(2)[1]各実験と同一条件で下記計算法又は既製プログラムにより、船体縦曲げモーメント、船体運動について解析計算を実施、実験結果との比較検討を行った。
(2)[1]イ. O.S.M計算法、TSLAMプログラム
(2)[1]ロ. TSLAMプログラム
(2)[1]ハ. TSLAMプログラム

■事業の成果

船舶が外洋航行中に受ける波浪外力の大きさ及びその性状を知ることは、船舶の安全運航を考える上で重要であるが、荒天下、船底が海面から露出したり、甲板上に青波が打込まれるような大波高時、船体に働く波浪外力を推定することは、これまでの造船工事関係者の多大な努力にもかかわらず理論的には不十分であり、経験的な要素が多く含まれていた。本事業は、昭和56年度に実施した「大型ばら積貨物船事故に係る調査解析」において最近の理論を適用して大波高時に船体に働く波浪外のモデル解析により得られた新しい船体構造応答解析は技術の基礎的知見を基礎として弾性模型を使用する水模試験法を確立した上で、最も基礎になる正面斜波中の船体挙動についての実験と、スラミングの基礎としての落下衝撃実験を行い、波浪中の船体応答推定計算法の確立のため、貴重な資料を得ることが出きたものである。





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