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「地方自治行政等の調査研究」の報告書

 事業名 地方自治行政等の調査研究
 団体名 自治研修協会 注目度注目度5


■事業の内容

A 行政の社会的効果と行政機能の限界に関する研究
[1] 公共サービスの料金負担決定に対する合意形成システムの研究
事業の実施内容
[1] 料金負担決定過程の実態調査
 全国の都市からサンプリングした約200市を対象として、保育サービス事業および公営住宅サービス事業における料金負担決定過程の実態を調査分析し、その決定の方法、基準、決定への参加主体と影響力、決定における住民参加と情報提供等について考察した。
[2] 住民の受益と負担の関連性を推計するための情報収集・処理システムの整備
 前年度のシステムにしたがって、保育コストの計算、各種保育サービスの受益と負担バランス等について算定し、システムの整備を図った。
[3] 合意形成シミュレーションの試み
 与野市をモデル市として、保育父母とそれ以外の一般の住民を一堂に集めて保育料金に関する情報提供と合意形成のあり方を分析するための小グループの実験を行ない、上記の情報を提供することによって、各々のグループがいかなる判断を示すかを合意形成の視点から分析した。
B 行政の経営効率改善に関する研究
B-[1] 管理監督者昇任方法についての研究
事業の実施内容
1. 自己診断チェックリストの作成
 昭和55、56年度の調査によって設定された管理行動評価の枠組みを使い、100項目から成るチェックリストを作成した。664名の市役所課長に対して、このチェックリストを試用し、管理行動の評価尺度を作成するとともに尺度の信頼性をテストした。また、管理行動とキャリア選好、モラールとの関係を分析し、自治体課長用の総合的な自己診断法を作成した。
2.インバスケット・ゲームの作成
 第3者による客観的な管理行動評価の手法として、インバスケット・ゲームを自治体用に改良し、高度な管理能力の評価に用いることを検討した。市役所の総務課長をモデルとし、ヒヤリング調査により現実の課長の意思決定事例を収集して具体的なゲームを試作した。またこのゲームを使って管理行動を評価する方法を検討した。
3. 評価手法の利用法の研究
 自己診断チェックリスト、インバスケット・ゲームなどの評価手法の実用化の方法を検討し、研修における活用法を研究した。
B-[2] 地方自治体の定数管理研究
事業の実施内容
[1] 職員定数モデル化方式の検討
 昭和56年度の研究において、埼玉県内36市を対象に業務別の定数管理モデルを検討したが、本年度はこの成果をふまえて、対象市を全国から51市選定してモデル化を図った。対象業務には、住民税、固定資産税、住民窓口、会計の4業務を取り上げた。
[2] モデル式の推定と検証
 対象市の調査データに基づき、定数管理のモデル式(業務出力モデル、生産性モデル、標準定数モデル、費用効率性モデル、単一要因影響力モデル等)を推定し、その適用可能性について検証を行った。
[3] 定数モデルによる各種指標の作成
 上記モデルにしたがって、対象各市の業務出力指標、生産性、標準定数、費用効率性等を算定し、これらに基づいて各市の現状を診断した。また、定数に対して影響力を持つ各種要因について、その業務効率化に及ぼす効果を指標化して提示した。
C 地方公務員に対する研修用の事例開発
 事例開発を進めるにあたり、今日、地方自治体が重要な行政分野において具体的に経験し、あるいは現に対応している生きた行政事例を研修の素材として、また、地方行政の資料として提供するということを念頭に置いた。
 そのため、これまでに開発した事例内容等を考慮し、新しい地方行政の動向といった観点も加味しながら、次の4事例を開発した。
(1) 行政改革と自治体行政(共通事例)
(2) 高齢化社会への対応(共通事例)
(3) 地域産業振興(共通事例)
(4) 空きかん対策(共通事例)
 これらの事例作成にあたっては、各種文献の調査及び自治体関係者等を対象とした実地調査を行い、正確な事実の中から、教材として、また資料として必要な部分を取捨選択した。
 なお、演習を行う際に必要とされる指導者用の「指導の手引き」もあわせて作成した。
D 地方自治に関する資料の収集整理調査及び刊行。
[1] 国内資料の収集整理及び目録の作成
 収集した資料の内訳は次の通りである。
ア) 図書館等の所蔵目録     26冊
イ) レファレンス・ブック    162冊
ウ) 図書・雑誌類        337冊
エ) 団体・個人の有料寄贈図書  自治省(内務省)
 先輩より以下3件の寄贈があり謝礼を支払った。
 荻田 保氏       1,211部
 長野 士郎氏       340部
オ) 洋書類           90冊
[2] 備品の購入  本年度の購入計画に従って下記の備品を購入した。
 組合せカードケースの10引出部  2台
 木製標準カウンター用いす    1台
[3] 外国図書の購入と日本の地方自治制度等の海外への紹介
{1}) 外国へ日本の地方自治制度の紹介及び諸外国における地方自治制の調査研究及び資料収集の実施。
ア) 最近における我が国の地方自治制度を海外に紹介するため英訳「ローカルガバメントレビューインジャパン」を計500部作成し、うち254部を海外、47部を国内に送付、残りを自治省等関係機関に配布した。
イ) 米国国内政府間関係諮問委員会(ACIR)より入手した英文資料を翻訳し「アメリカ合衆国連邦制度とその動態」として500部印刷した。
{2}) 外国の地方自治制度及びその運営についての資料収集と実態調査を行った。
ア) 欧州(西ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スイス)  19日間
出張者 1名 自治大学校 部長教授  清水 隆司
用務  OECD会議出席及び諸外国における地方制度等の調査並びに資料収集。
イ) 欧州(西ドイツ、イギリス、フランス、イタリア)      19日間
出張者 1名 自治大学校 研究部長  大山 昭夫
用務  OECD会議出席及び諸外国における地方制度、職員研修の調査並びに資料収集。
ウ) アジア(シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド)
13日間
出張者 2名 管理部長      松浦 信勝
自治大学校 教授  滝沢 忠徳
用務  EROPA参加諸国等における地方制度等調査及び資料収集
エ) 米国
出張者 1名 自治大学校 副校長 井上 孝男
用務  アメリカにおける地方制度等調査及び資料収集。
■事業の成果

A 行政の社会的効果と行政機能の限界に関する研究
[1] 公共サービスの料金負担決定に対する合意形成システムの研究
1. 代表的な公共サービスである保育サービスと公営住宅サービスにおける料金決定過程の現状を全国にわたる都市で調査することにより、各市でどのような方法やルールで、どのような基準を用いて、どのような検討過程を経て、料金が決定されているのか、また、その中で、住民の参加はどのような方法によりどの程度実行されているか、についての全般的な状況が明らかになった。したがって、今後、各市が決定過程の改善を進めるうえで有益な情報を整備することができた。
2. 与野市をモデル市とする保育料金負担に関する、合意形成実験においては、保育コストや料金体系、住民世帯の受益と負担の関連性など、行政サービスの守備範囲を考えるうえで必要な情報を、保育サービスの受益対象世帯を含む広範な住民各層に提供することにより、住民間の合意形成が確実に進展することが明らかとなった。
 また、単に行政情報を提供するにとどまらず、住民各層の意見や判断についても情報として提供することが、安定した合意を形成する上で不可欠であることが明らかとなった。
B 行政の経営効率改善に関する研究
B-[1] 管理監督者昇任方法についての研究
1. 地方自治体の管理者(課長)が、自分自身の管理行動を診断する「管理者自己診断チェックリスト」を作成した。これを用いることによって、管理者は自分の管理特性、長所短所を知ることができる。この評価法を利用すると、具体的にどのような管理行動に関して弱点があるかが明らかになるので、管理改善、能力開発の指針とすることができる。
2. 地方自治体の管理者に対し「行動評価」(能力の有無でなく行動を実際にとるかどうかの評定)を行う際の基礎的、汎用的な評価次元を提示することができた。8次元で構成されるこの評価のわく組みは、各種の行動評価技法に援用することができる。
3. 地方自治体用としては初めてのインバスケット・ゲームが作られた。当面は研修の用具として、管理者の能力開発、管理行動の改善に活用することができ、また数多くの試行を重ねることによって、昇任人事等における選抜テストの用具として利用することができる。
B-[2] 地方自治体の定数管理研究
1. 定型化された大量作業事務について、全国の51市を対象に生産性と費用効率性を算定して、相互比較分析を行った結果、昨年度の埼玉県内各市と同様に、各市の間ではきわめて大きな格差が存在するという実態が明らかとなった。また、これらの指標が行政の業務処理の効率性を測定し分析する上できわめて有効な手段となることが確認できた。
2. 生産性あるいは定数に対する各種要因の影響力モデルを構成し、それによって、業務効率化のためにいかなる方策が有効とされ、その場合にどれだけの人的削減効果が期待できるかを推定した。その結果は昨年度と比較して大きな差異はなく、モデルとして安定し実用に耐えうることが確認できた。
3. 対象各市の各業務別にみた処理効率や定数のあり方について数量的に診断評価を行い、各市の定数管理に具体的に貢献するシステム化を図ることができた。
C 地方公務員に対する研修用の事例開発
 複雑多様化した現代社会における地方行政の役割は、ますます重要性を増し、地方公務員の資質と能力の向上の必要性が強く要請されている。
 本研究は、このような視点に立って、行政問題をいかに発見し、それにどのように対応して、的確に解決するか等を演習や自己研修を通じて効果的に研究できるよう配慮して事例を開発した。
 本研究により、開発作成された事例は、各地方自治体の研修機関、その他の教育機関等において活用され、地方公務員の研修教材や資料の充実、ひいては、地方公務員の資質向上に大いに貢献するものと考える。
D 地方自治に関する資料の収集、整理、調査及び刊行
[1] 地方自治に関する図書・資料の収集・整理については、昨年度同様、自治省各課、関係省庁、各地方公共団体、自治省諸先輩等から多量の寄贈を受け、また資料の購入によってセンターの蔵書がより一層充実してきた。
[2] 自治省各課発行の逐次刊行物は、今年度発行資料を従来どおり収集するとともに、自治省の逐次刊行物に欠号がないようしたいため、特に欠号補充に力をいれて収集し、多数の欠号補充ができた。
[3] 地方公共団体発行資料については、2年前から行っている一括寄贈依頼状による成果が定着しつつあり、資料の送付が多数あった。その結果最近のものについては、大分充実してきた。
[4] 自治省関係諸先輩からの寄贈資料については、今年度新たに故三好重夫氏より、第三次寄贈、長野士郎(岡山県知事)、荻田保氏(地方財務協会会長)、久世公堯氏(元自治大学校長)より、多量かつ内容のある資料を頂き、個人寄贈資料が名実ともに充実してきた。
[5] 米国国内政府間関係諮問委員会(ACIR)の1980年報告並びに勧告書のうち特に重要と思われる部分について完訳した「アメリカ合衆国の連邦制度とその動態-AICRレポートを中心として-」を刊行したので、地方自治関係者等にとって非常に有益な資料となるであろうと思われる。

3. 事業の成果
 第二次臨時行政調査会の第一次答申にみられるように、国・地方を通じて行政の体質改善、その経営管理能力の向上は、現在における最も緊急な課題となっている。このような状況に対処するため、地方自治体の経営能率の向上、公正性の確保および管理者研修の充実強化等を研究するとともにわが国の地方自治に関する資料の収集、整理しこれを地方自治に関する研究者等の閲覧に供することとしたことは、地方自治の発展に寄与することと思われる。





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更新日: 2022年12月3日

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