■事業の内容
(1) 新制御圧延(非水冷)型降伏点36Kg/mm2級鋼板の諸特性把握 [1] 基本特性の把握検討 (a) 母材特性 化学成分チェック分析、引張試験、V-ノッチシャルピ-試験、COD曲げ試験、中央切欠大形引張試験、二重試験、大形混成二重引張試験、落重試験、歪時効V-ノッチシャルピ-衝撃試験。 (b) 溶接継手特性 組織調査・硬さ分布測定、継手引張試験、熱影響部引張試験、曲げ試験、V-ノッチシャルピ-衝撃試験、COD曲げ試験、中央切欠大形引張試験。 [2] 溶接性ならびに大入熱溶接特性の把握・検討 斜めY型溶接部の割れ試験、すみ内溶接部の拘束割れ試験、溶接部の窓枠拘束割れ試験、溶接部の最高硬さ試験、溶接ビードの曲げ試験。 [3] 熱加工性の把握検討 検討対象鋼板について熱間加工性、冷間加工性および線状加熱による歪取り作業の影響調査。 (2) 評価 [1] 船殻材としての検討・評価 新高張力鋼板の強度特性・溶接性・加工性を総合的に整理・把握、溶接工作や熱加工に関する実用可能な条件を調査。
■事業の成果
近年、船舶の軽量化に伴い船体用鋼材に高張力鋼板を大幅に採用した船舶の建造が多数計画されている。とりわけ降伏点が36Kg/mm2級の50キロ級高張力鋼を採用するケースが増加しており、今後、この傾向はますます増加すると思われる。 本事業は、非水冷型の新制御圧延(新CR型)50キロ級高張力鋼板を対象に母材及び溶接継手の破壊靱性を中心とした強度特性の把握・検討、また、水冷型・非水冷型の新CR型50キロ級高張力鋼板と従来圧延型50キロ級高張力鋼板を対象に、耐溶接割れ特性を把握・検討し、さらに線状加熱加工に関する調査・調査結果の整理・検討も実施したことにより、新鋼材の材質に適した新しい施工法、新鋼材と新施工法を用いた船体構造の破壊に対する安全性の確立並びに新鋼材と新施工法の規格体系の整備に対する問題点の解決に有益な基礎資料を得ることができたことは、今後の継続研究により造船、海運関連業界への多大の成果が期待されるものである。
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