■事業の内容
イ. ボランティア活動のシステムづくり a) ボランティア講座受講生の募集 4月に第一回医療ボランティア講座を開設するに当り、健康教育サービスセンターで行っている婦人家庭看護大学講座の卒業生に呼びかけると共に、講演会・機関誌「教育医療」等を通じてボランティアの募集を行った。 b) ボランティア活動状況の調査 下記施設でボランティアの活動状況、受入れ体制等を調査した。 ○ 東京都周辺 聖路加国際病院、特別養護老人ホーム 有隣ホーム、特別養護老人ホーム 清風園、軽費老人ホーム 清林ハイツ ○ 関西地区 [1] 聖ヨゼフ整肢園 [2] 淀川キリスト教病院 [3] ミード社会館 ○ 日本病院ボランティア協会総会に参加 他の地域のボランティアにふれ、病院ボランティアの現状と問題点を把握することが出来、ボランティア育成教育の参考とすることが出来た。 c) PR用パンフレット「健康と福祉のボランティアへのおすすめ」 10,000部を作成配布すると共に、講演会、機関誌等を通じて募集PR活動を行った。 ロ. ボランティアの教育 a) 「医療ボランティア講座」を実施した。 期間 ; 4月14日〜6月30日、毎水曜日、11回 参加者; 延419名 b) ボランティア講座卒業生を主体に下記施設の見学会を実施した。 (実施日) (見学場所) (参加人員) 7月 8日 有隣ホーム(老人ホーム) 27名 〃 14、28日 ライフ プランニング クリニック 34名 〃 21日 聖路加国際病院25名 c) 実習活動 ライフ・プランニング・クリニックで9月6日〜29日のうち10日間、ボランティアの実習活動を行った。 参加者 7名 d) 勉強会の実施 ボランティア講座卒業生を対象に勉強会を5回開催し、延46名参加した。 e) 健康教育サービスセンターで行っている「家庭婦人看護大学講座」をボランティアの希望者に無料解放し、自己学習に努めさせている。 ハ. ボランティア活動の実践状況 現在下記のように活動しており、受け入れ施設及び利用者から大変感謝されている。 a) 病院ボランティアの活動状況 聖路加国際病院 7名 有隣ホーム 1名 ライフ・プランニング・クリニック6名 その他(身障者センター、聖隷病院) 3名 b) 血圧師範ボランティアの活動状況 血圧師範ボランティア8名の協力により、長野県中野市、千葉県白浜町で、自己血圧測定方法の出張指導を行った(1泊2日)。 また健康教育サービスセンターで実践女子大学の学生のほか、一般希望者にも自己血圧測定方法を指導。 ニ. 海外研修調査 元聖路加看護大学講師津島優子女史を海外ボランティア活動状況研修調査のため、下記の通り派遣した。 ○ 期間 11月22日〜28日(7日間) ○ 調査場所 アメリカ西海岸にある下記病院・養護施設 イ) U.C.L.A医療センター ロ) ユダヤ系老人ホーム ハ) シダース・サイナイ医療センター ニ) ロスアンゼルス子供病院 ホ) カイザー財団サンセット病院 ヘ) サンフランシスコ子供病院 ト) カイザー財団ヘイワード病院とホスピス この調査により、アメリカは医療の分野に限らずボランティア活動が非常に盛んであり、それは開拓時代以来の助け合いの歴史とキリスト教精神によって裏づけされたものであることを学ぶと共に、医療の分野におけるボランティアの働きは、[1]患者とその家族への直接サービス、[2]病院職員の業務援助、[3]病院当局への資金および物品(絵など)の寄付であって、病院周辺の地域の人達が、これ等のボランティア活動に参加し、病院の機能を支え、患者に対するケアの向上に寄与しているということが、よく理解出来た。 なお、この調査にはボランティアの希望者3名が、自費参加で同行した。
■事業の成果
真の医療は単に医師又は看護婦による医療だけでなしに患者の訴えをよく聞き、患者を慰め、力づけてやる家人や友人の治療援助が必要であるが、現在の日本の医療システムでは医師・看護婦共に多忙のため患者のニードがみたされておらず、もっと患者の側にたった医療がなされるべきである。先進国ではこの問題を見事にボランティアー活動で解決している現状であり、我が国にもこのシステムを導入して、医療のレベルを高めることが望ましい。 本事業により医療看護のボランティアーを養成して、患者や家族のニードに応える運動を展開することにより日本の医療に寄与するところ大なるものがある。
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