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■事業の内容

イ. 行政の社会的効果と行政機能の限界に関する研究
(1) 公共サービスの料金負担決定に対する合意形成システムの研究
[1] 料金負担決定過程の実態調査
 習志野市をモデルとして、保育サービス事業における料金負担決定過程の実態を調査分析し、その決定の参加主体と役割・影響力、決定に使用される情報等について考察を行った。
[2] 「住民の受益と負担の総合的関連性システム」による料金負担のシミュレーション計算
 前年度の研究によって設定したシステムにしたがい、保育コストの計算、住民世帯間での受益と負担のバランス、各種保育サービスの受益と負担のバランス等について算定し分析を行った。
[3] 提供情報に対する反応と効果の調査分析
 保育科金と保育内容について、保育父母、幼稚園父母、地域会議メンバー、公民館利用者、有識者を対象として調査を実施し、上記の算定結果について各々のグループがいかなる判断を示すかを合意形成の視点から分析した。
ロ. 行政の経営効率改善に関する研究
(1) 管理監督者昇任方法についての研究
[1] 委員会の設置
 組織心理学、経営学の専門家、および自治体人事担当者から成る研究委員会を設置
[2] 自治体用ヒューマン・アセスメント手法の開発
 企業で導入されているヒューマンアセスメントによる評価手法を作成するため、管理者の意思決定行動の事例を収集・分析しインバスケット法等に用いる課題の作成を行った。
[3] 管理行動チェックリストの作成
 自治体課長向けに、管理特性の自己診断用チェックリストを作成した。
[4] 係長に対する管理行動調査
 3市の係長(計252名)を対象とし、管理行動についての他者(人事当局)評価を行い、これらの間の関係について集計分析を行った。また55年度の課長行動に関する集計結果との比較分析を行った。
(2) 地方自治体の定数管理研究
[1] 職務分析
 自治体業務のなかで、大量作業事務を伴う定型業務を抽出し、これらの実態調査を埼玉県内の10市について実施した。
[2] 人的資源の指標開発
 住民税、固定資産税、住民窓口、保育、会計の各業務について、勤務状況、給与、等を埼玉県内36市を対象に調査し、業務費を表わす業務出力指標(生産性指標)を開発した。
[3] 人的資源の必要量を規定する要因の分析
 上記の指標を説明する要因として、サービスの質、実施形態、組織形態等を調査し、これらの間の関係について分析を行った。
[4] 標準定数の分析
 5業務について埼玉県内36市の調査結果に基づき、標準的定数の算定を試みた。
 また、業務の生産性に係る各種要因がどの程度定数に対し影響力を持つかを定量的に明らかにした。
ハ. 研修用の事例開発
 生涯教育・生涯学習(共通事例)、職場の活性化(共通事例)及び産業振興と雇用対策(共通事例)をとりあげたほか、課題研究用補完事例として、昭和55年度でとりあげたテーマのうち、高齢化社会への対応及びごみ対策について具体的な事例を開発した。
 なお、演習を行う際に必要とされる指導者用の「指導の手引き」もあわせて作成した。
ニ. 地方自治に関する資料の収集・整理・調査及び刊行
[1] 国内資料の収集・整理及び目録の作成
 収集した資料の内訳は次の通りである。
 図書館等の所蔵目録       30冊
 レファレンス・ブック      165冊
 図書・雑誌類          414冊
 団体・個人の有料寄贈図書   1,015冊
 洋書類             92部
 「新資料目録補遺版<1>」の作成   500部
[2] 備品の購入  本年度の購入計画に従って下記の備品を購入した。
 カード・ケース引出部       5台
 カード・ケース引棚        1台
[3] 外国図書の購入と日本の地方自治制度等の海外への紹介
1) 外国へ日本の地方自治制度の紹介及び諸外国における地方自治制度の調査研究及び資料収集の実施
○ 最近における我が国の地方自治制度を海外に紹介するため、英訳「ローカルカバメント レビュー イン ジャパン」を計300部(大学90、研究機関120、個人90)作成送付する。
○ 国立国会図書館所蔵のSCAP文書より入手した英文資料を翻訳し「連合国司令部民生局資料における地方公務員法制定の経緯」として500部印刷した。
2) 外国の地方自治制度及びその運営についての資料収集と実態調査を行った。
○ アジア(フィリピン、インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシア)  13日間
 出張者 2名  自治大学校長    久世公尭
自治大学研究部長  吉田雅彦
 用務  EROPA会議出席及び諸外国の資料収集及び実態調査
○ 欧州(西ドイツ、オーストラリア、イタリア、イギリス、フランス)  19日間
 出張者 2名  自治大学校副校長   緒方信一郎
自治大学校庶務課長  道用好司
 用務  OECD会議出席及び諸外国における地方制度並びに地方団体の職員研修の実態調査資料収集
○ 欧州(イギリス、フランス)  19日間
 出張者 1名  研究員  北大路信郷
 用務  OECD会議出席並びに諸外国の地方制度調査及び資料収集
■事業の成果

社会経済の発展に伴い、地方公共団体においては、多種多様の行政施施策が要求され、行政の質的変化が生じつつある。このような状況に対処するため、本事業により、地方公共団体に要請される行政のあり方、方向等を研究するとともに、わが国の地方自治に関する資料の収集・整理し、これが地方自治に関する研究者等の閲覧に供することができたことは、地方自治の発展に寄与するところ大なるものがあると思われる





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