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■事業の内容

(1) 実船試験結果の調査・整理
[1] 調査対象
 海上災害防止センター所属油回収船5隻(ちよなみ、すづなみ、よどなみ、せとなみ、さちなみ)
[2] 調査内容
 重心査定試験結果(主要目、横メタセンター位置、重心位置、浮心位置動揺試験結果など)
[3] 整理項目
 GM、KG、慣動半径その他を一覧表に作成。
(2) 油回収船型模型による耐航性能試験
[1] 船型の選定
 (1)の請査結果から「ちよなみ」を選定。
[2] 模型船による耐航性能試験
a. 模型
 「ちよなみ」木製模型(双胴) 長さ約3m、幅約1m、縮率1/7.4
b. 使用水槽
 角水槽、回流水槽
c. 使用計測システム
 今年度製作した次の諸装置からなるシステム
模型船操縦装置、模型船動揺計測装置、模型船慣性能率測定装置、抵抗計測装置、データ記録装置
d. 試験条件
(a) 角水槽
イ. 出航状態の実験条件-出会角、波高、プロペラ回転数と規則波、不規則波の組合せ約200ケース
ロ. 油回収作業状態の実験条件-出会角、波長、波高、プロペラ回転数と規則波の組合せ約60ケース
(b) 回流水槽
 出航状態・油回収作業状態-出会角、波周期、波高、風速と平水、規則波の組合せ約15ケース
e. 計測項目
(a) 角水槽
 縦揺れ、横揺れ、船首揺れ、上下加速度、波長、波高、プロペラ回転数、船速
(b) 回流水槽  横揺れ角、上下加速度、波長、波高
(c) 検討内容  油回収船の耐航性能、上部構造物の風圧影響
■事業の成果

油回収船はL/Bが小さく、上部構造物が船全体に比べて大きく、双胴またはセミ双胴型が多い。漏油事故が発生すると法律に基づき回収作業に出動するが、現状では安全性に関する規程が十分完備していない。特に荒天時には二次災害発生の恐れもある。このような事情を背景として、今年度から4カ年計画で荒天時の安全運航確保を狙って研究が開始された。
 今年度は、実験研究に必要な計測機器類の製作と計測システムを整備すると共に、現在活動中の油回収船の中の1隻について、模型船を製作して風の中の耐航性を中心に実験を行い、波浪中の動揺性、加速度の変化状況などを把握した。これらの成果は、今後この種船舶を設計する際の基礎資料となり、また運航上の制約を規程する根拠となることが期待される。





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