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■事業の内容

[1] 船舶の防食防汚に関する調査研究
(1) 長期防汚塗料の開発と促進試験法の研究
A ロータリー試験及び浸漬試験による防汚塗料評価法ならびに促進試験法の研究
供試塗料
塩化ゴム系A/F(亜酸化銅・有機錫併用型)
ビニル系A/F (    〃      )
有機錫共重合樹脂系A/F
ロータリー試験
ロータ回転速度  10m/sec(約20ノット)
試験期間  1、2、3、5、7ケ月
試験項目  防汚剤溶出速度、防汚剤消耗量、残存防汚剤分布、表面粗度、防汚性
海中浸漬試験
促進溶出試験
標準防汚塗料(16種)の浸漬試験及び溶出試験
浸漬場所  横須賀、鳥羽、由良、宮島等13ケ所
 以上の各試験により防汚塗料の有効防汚寿命の推算と日本近海の付着生物の汚損度合、防汚限界濃度の算定を行い防汚塗料の評価及び促進試験法を開発
B 実船試験
試験船(ビルジキール上面に試験板取付)
船名    あめりか丸
船種    コンテナ船 15,196D.W.T
航路    日本←→北アメリカ
速度    20ノット
試験期間  3、5、7ケ月
 ロータリー試験、海中浸漬試験、促進溶出試験との相関を明らかにし促進試験法を開発
(2) 公害対策用塗料の実用化に関する研究
A 層間付着性の検討
供試塗料
船底外板用
 低溶剤型エポキシ塗料、低溶剤型コールタールエポキシ塗料、現用溶剤型タールエポキシ塗料および現用溶剤型タール代替物質含有エポキシ塗料
タンク用
 低溶剤型エポキシ塗料、低溶剤型コールタールエポキシ塗料、低溶剤型タール代替物質含有エポキシ塗料、非光化学反応性溶剤型タール代替物質含有エポキシ塗料
船底外板用塗料試験
同一塗料の付着性試験
A/F塗料との付着性試験
タンク用塗料試験
付着性試験
上記試験により層間付着性を明らかにし実用化塗料を開発
B 溶接部及び焼損部の防食性との関連
供試塗料
供試ショッププライマ……無機ジンクプライマ
供試上塗塗料
 非光化反応性溶剤型塩化ゴム塗料
低溶剤型エポキシ樹脂塗料
非光化学反応性溶剤型コールタール削減タールエポキシ塗料
低溶剤型瀝青質タールエポキシ塗料
溶剤型変性エポキシ塗料
溶剤型タールエポキシ塗料
塗膜性能試験
耐食性試験(40℃加温人工海水浸漬試験)
付着性試験(引張付着力試験)
上記試験により溶接部及び焼損部の防食性を評価し実用化塗料を開発
C 塗装系と流電陽極併用に関する研究
供試塗料
溶剤変更型塩化ゴム塗料
  〃  塩化ビニール塗料
現用溶剤型変性エポキシ塗料
低溶剤型タールエポキシ塗料
無溶剤型タールエポキシ塗料
現用溶剤型タールエポキシ塗料
 IM3モデルタンクおよび同タンク内試験板の乾湿交番、常時没水条件における電気防食性の総合評価を行い実船への適用化を確認
D 実船調査
 第172研究部会に参加の塗料メーカー9社及び造船会社7社計16社についてアンケートにより公害対策用塗料の実船への適用性を調査
(3) 海外調査
5月14日〜17日  第18回COIPM出席
5月19日〜23日  第5回防食防汚国際会議出席
派遣人員  1名 三好 貢委員
場所    バルセロナ(スペイン)
(第172研究部会 12回)
■事業の成果

(1) 船舶の防食防汚に関する調査研究
 本研究は、3ケ年計画の最終年度として、バラストタンク防食基準の設定に関する調査のとりまとめ、長期防汚塗料の開発と促進試験法の研究および公害対策用塗料の実用化に関する研究を実施した。
 本研究により、バラストタンク防食設計基準が実験室的には明らかとなったが実船試験による今後の成果が望まれる。また、長期防汚塗料の開発と促進試験法の研究は船体表面粗度と船体抵抗との関連もあり、今後、なお一層の開発が期待される。なお、公害対策用塗料として炭化水素規制対策塗料および特化則対策塗料(コールタールおよびクロム)に関し、各種塗料の試作、塗料の性状、塗膜の耐食性および塗装作業性について検討を行い、実船への適用の可能性を明らかにし、防食防汚技術の高度化、塗装作業の安全確保に有益な資料を得た。





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