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■事業の内容

(1) 船体構造部材の許容応力に関する研究のとりまとめ
[1] 船体縦強度部材の許容応力の研究のとりまとめ
 就航中のタンカーおよびコンテナ船について積荷変動にもとづく静水中船体縦曲げ応力の統計量を調査し、その標準値を求めた。つぎに第134研究部会において実施した既存船23隻(タンカー、コンテナ船、バルクキャリヤ、貨物船)についての船体縦強度トータルシステム解析プログラムによる波浪変動応力の計算結果を整理し、就航期間中に発生すると予想される波浪変動についての基準値を求めた。さらに、縦曲げモーメントおよび水平曲げモーメントについての略算式を提案し、今後の設計に利用できるようにした。なお、本調査と平行して船体に作用する静水荷重分布の問題、波浪変動応力の長期予測ならびに数値計算誤差の問題の検討を行い船体縦強度部材許容応力算定の基礎資料を得た。
[2] 船体横強度部材の許容応力の研究のとりまとめ
 第134研究部会において実施されたタンカー4隻について船体横強度トータルシステム解析プログラムによる波浪中強度解析結果を整備し、就航期間中にトランスリングフェースプレートに発生すると予想される圧縮直応力の最大予測値を求めた。また、タンカー以外の船型として一般貨物船の横肋骨に生ずる応力を、平面骨組横強度トータルシステムを用いて解析した。
 なお、本調査と平行して、船体に作用する波浪変動水圧の問題として、航路別長期予測、速力低下との関連、設計波の考え方、設計値推定、ならびに外板損傷対策を検討し、船体横強度部材許容応力算定の基礎資料を得た。
(2) 肥厚船の推進性能に関する研究のとりまとめ
[1] 昭和30年代以降における船型計画の経緯の調査
 過去20年余りの大型肥大船の推進性能面における進歩と技術向上の足跡を表にまとめると共に本会がこれまでに実施した肥大船関係研究の概要とりまとめの際、どのような事情により船型が計画されたかその背景を各節の冒頭にとりまとめた。
[2] 本会が実施した肥大船関係研究の概要とりまとめ
 昨年度大ざっぱにまとめたSR41、61、98、107及び159の概要を見直して整理すると共に、現状の技術レベルをべ一スとしてそれぞれの研究結果の簡単な評価を行なった。
[3] 肥大船関係研究の文献名調査
 昨年度まとめた文献を見直すと共に昭和55年度刊行された文献を調査し、それらの文献名を追加した。
(3) 幅広船型の開発に関する研究のとりまとめ
[1] L/Bシリーズ2隻の水槽試験結果の整理、解析
L/B=4.5、CB=0.55及びL/B=6.0、CB=0.55の4.5m模型船による水槽試験結果について下記の解析を行なった。
 抵抗係数、自航要素、後流及び船尾波高、理論解析との比較
[2] L/B、CBシリーズ9隻の水槽試験結果の総合解析、とりまとめ
 次の図に示す9隻の模型船について、船型計画、試験概要、総合解析、水槽試験結果の船型学への応用、波形解析の船型学への応用等をまとめた。

 また参考のため造波成分に関する模型実験結果及び参考文献リストを添付した。
(4) 1軸中型船船尾形状の開発に関する研究のとりまとめ
[1] 船型改良の水槽試験結果の総合解析、とりまとめ
 SR174で実施したA-1、A-2、B-1、B-4及びB-4H実用船型の水槽試験結果及び特殊船型としてP-T、BV、TBV-T、BV改及びTVB改型の試験結果を総合的に解析し設計に便利な形にまとめた。
[2] プロペラに関する諸研究結果の総合解析、とりまとめ
 SR174で実施したA-1、A-2、B-1、B-4、B-4H船型のベアリングフォースの計算、船尾変動圧力やキャビテーション試験、エロージョン試験等の結果を総合的に解析しとりまとめた。
(第200研究部会 15回)

■事業の成果

2.事業成果
 船舶の性能、構造、材料等に関し、年々内外の研究成果が発表されているが、これらを船舶の設計改善に直接役立てるためには、これらの諸資料を検討評価し、体系的にとりまとめる必要がある。また、日本造船研究協会で実施した研究において多くの貴重な実験データを得ながら、諸般の事情からこれらの最終とりまとめが不十分のまゝ終了したものがある。本研究はこれらのうちから当面とりまとめが急がれ、かつ船舶の設計改善への効果が大きいと考えられる船体構造部材の許容応力、肥厚船の推進性能、幅広船型の開発、1軸中型船船尾形状の開発の4項目についてとりまとめを行なったものであるが、これらの成果は船舶設計の上で直接利用できる資料であり、造船技術の向上に資するところが極めて大きいと考える。





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