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■事業の内容

地域住民を対象とする医療チームによる生活指導と健康増進の効果的方法の研究---健康生活処方の研究---
[1] 栄養(食生活)の実態調査
 東京大学豊川裕之博士を中心に服部栄養専門学校の協力で神奈川県足柄上郡中井町の主婦300名を対象に食生活の実態調査を昨年にひきつづき行った。この調査は、中井町役場・足柄上保健所の全面的な協力のもとに行われた。
第1回調査  7月14日〜18日
第2回調査  7月21日〜25日
 調査は指導員の指示のもとに、栄養士が個別面接する方式で行われ、調査結果は栄養士が整理集計したデータをコンピューターで処理し「中井町食生活実態調査」報告にまとめられた。
[2] 生活習慣調査
 健康づくりを推進してゆく上で地域住民の生活習慣を知り、栄養調査と併せて健康指導をしてゆくため、中井町全世帯(2,000世帯)の主婦を対象に行った。調査は1月末から2月上旬にかけて行われ、アンケート方式で全戸に調査用紙を配布・回収する方法がとられた。
 調査結果を整理集計したものをコンピューターで処理し「生活習慣の調査」の報告書にまとめられた。
[3] 住民への保健指導と教育
 9月26日、27日の両日に食生活の実態調査の結果を、調査を担当した栄養士が各人の家庭を訪問し結果説明と食事指導を行った。
 栄養調査、生活習慣調査と併せて地域住民の塩分摂取量を知るための24時間蓄尿調査を約700人を対象に行った。この結果は住民の塩分摂取量を知る指標として大変関心をもたれ、健康教育をする動機づけに役立ち、このデータをもとに地区座談会がもたれ、日野原理事長も積極的に参加して地域住民の教育に努めた。
[4] 指導教育の方法及びその効果についての研究
 生活指導の効果は短期間にはあらわれないが、地域住民の食事、運動等に関する関心はかなりたかまっている。
 健康診断・栄養調査・生活習慣調査・24時間蓄尿調査等の結果を各人にフィードバックすることは、各人の参加意欲、改善努力への動機づけとなるため極めて重要であり、昨年度との比較、各種調査データの相関関係などは指導のための資料に大いに役立っている。
 また、健康問題の中心的役割を果たす保健推進員(現在約50名)に対する教育も機会をとらえてひき続き実施している。
[5] 委員会
 本事業の実施にあたっては次の委員会を設置し計画・実施の方法を検討した。
イ 中井町プロジェクト委員会         5月8日
ロ 中井町食生活(栄養)調査委員会  4月22日、7月5日
ハ 中井町生活習慣調査委員会    8月 5日、9月12日
参考 食生活実態調査報告書(その3)、生活習慣調査報告書
■事業の成果

健康人及び有疾者の快適な社会生活・社会的活動を増進させ、地域住民の健康増進を図るため、本事業により、最適環境の研究、正しい生活習慣についての実践的研究、すなわち、運動、食事、精神衛生等の生活処方を見出し、それにもとづく教育指導方法の研究と実地指導の成果による効果の測定を実施したことは、実践的・効果的な生活処法を見出し、もって国民の健康増進に資するところ大なるものがある。





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