■事業の内容
イ. 写真による保護を要する観光資源の調査 本事業は、昭和52年度以来、3ケ年計画により、歴史的・文化的価値の高い町並み及び集落を対象に、その現況の調査、写真撮影を実施し、およそ100件の調査成果を得たが、当該55年度においては、これら過去3年間における成果を保護施策の中で有効に生かし、広く一般の利用に供せしむるため、斯界の専門家・研究者からなる編集委員会の指導・監修により、従来の調査にもとづく資料・情報に、新たな解説原稿を加えて、以下の刊行物として集大成した。 歴史的町並み保全事典(仮称) 規格 A5判 306頁 発行部数 200部 ロ. 観光資源保護思想の普及高揚 (1) 広報誌「自然と文化」の発行 観光資源に関する基本的問題についてテーマごとに特集し、その調査・研究の成果及びニュース等を掲載する広報誌を作成・配布した。 80年夏季号 特集「道の文化誌」 昭和55年 6月15日発行 80年秋季号 特集「出羽三山」 昭和55年 9月15日発行 81年新春号 特集「食物の文化」 昭和55年12月15日発行 81年春季号 特集「民家と職人たち」 昭和56年 3月15日発行 規格 B5変型判 64頁 発行部数 年4回発行 各3,000部 (2) 「観光資源のしおり」の作成・配布 歴史的・文化的価値が高く、保護を要する文化財又は優れた自然景観等の普及啓蒙資料として、下記観光資源を対象に作成し、広く一般に配布した。 観光資源のしおり 東京湾の自然島・さるしま 規格 B6判 16頁 発行部数 10,000部 ハ.観光資源の保護 (1) 観光資源保護計画の作成 保護を必要とする下記4件の観光資源について、各々の歴史的・社会的条件など現況を調査し、保護・利用計画の構想をまとめた調査報告書を作成した。 1. 調査報告書 大平宿 2. 調査報告書 修験道の里・求菩提山 3. 調査報告書 有田古窯跡群と町並み・第2次町並み編 4. 調査報告書 真木の大堂 規格 B5判 タイプオフ印刷 発行部数 各200部 (2) 観光資源保護整備の実施 1. 環境の整備回復 歴史的・文化的価値が高いにもかかわらず、放置され荒廃して、緊急に保護を必要とする以下の観光資源について、昭和54年度に引き続き、環境整備工事(第3期)を実施することで、景観・環境の維持回復を図った結果、遺跡公園として一応の整備を完了した。 旧日本美術院第一部五浦研究所跡(通称天心遺跡記念公園) 所在地 茨城県北茨城市大津町五浦 2. 解説板及び標柱の製作、設置 歴史的・文化的価値の高い観光資源の起源・沿革、特徴などを解説し、その保護の必要を広く一般に周知せしめるため、下記のとおり解説板及び標柱を製作し、設置した。 美濃古窯跡群(解説板4基、標柱3基) 解説板 所在地 岐阜県多治見市北丘町 北丘古窯跡群 同 土岐市泉町久尻 元屋敷古窯跡 同 土岐市曽木町郷之木 郷之木古窯跡群 同 瑞浪市陶町水上 向古窯跡群 標柱 所在地 岐阜県多治見市小名田3丁目 小名田窯下古窯跡 同 多治見市長瀬町 赤根曽古窯跡 同 土岐市泉町五斗蒔 日向古窯跡 (注) 本事業は昭和56年7月31日完了予定である。
■事業の成果
急激な産業開発・宅地造成等により歴史的・文化的価値の高い観光資源が破壊・損傷され、放置されている場合が多いので、観光資源の実態調査とその保護計画作成を行うとともに、観光資源保護整備の実施により景観の整備回復に着手、特筆すべき文化遺跡の保存を通じて地方文化振興に寄与した。 さらに、観光資源に対する一段の理解と認識を深めるための各種の啓蒙活動、観光資源の保護を図ったことは観光事業の振興に大いに寄与するものと思われる。
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