(1) 海洋情報の整備ならびに利用方法に関する調査研究 [1] 海洋情報の需要調査 A. 調査項目の決定 a. 海洋資料の種類:水質、海象、地質、地球物理、生物の5分類し、その中を7〜9の細目に分類した。 b. 利用分野:海運、造船等31分類した。 c. 資料に対する不満の理由:aの各分類に対して1.データの所在が分らず入手できない。2.所在を知っていても入手が困難であったり、入手の費用がかかりすぎる等第13項目を設定した。 d. 海洋情報の処理・提供サービス:9項目を設定した。 B. アンケート資料の発送 調査対象機関1,500箇所にaの調査項目他の設問を含むB5版18頁の調査票を発送した。 C. ヒヤリング調査 調査票の設計に際して各方面の専門家の意見を求めるとともに、調査票入手後不明の箇所につき直接担当者から情報を得た。 D. データ分析 集計した調査票記載の内容を分析し、 a. 海洋情報利用者の属性 b. 海洋情報利用の現状 c. 海洋情報利用者の意識を集約するとともに海洋情報の需要分析として d. 需要分析 e. 需要のある海洋情報とその属性を集約し f. 海洋情報整備の指針を得、調査結果を「海洋情報の需要調査」報告書にまとめ、最終委員会の承認を得た。 [2] 海洋調査機器の実態調査 A. 調査項目の決定 a. 海洋調査機関の保有する機器の種別:位置計測、地形・地質計測海象計測の3分類とし、その中に該当する機器35種を選定した。 b. 機器全般についての事項 イ 機器の取扱等:来歴簿の作成およびその内容、精度チェックの方法 ロ 機器の検定:検定の必要性の程度他今迄受けた検定についての設問 c. 使用状況の調査:使用頻度、耐用年数、修理状況 d. 使用目的:潮流調査他17分類とした。 B. アンケート資料の発送 調査対象機関を調査し421社にB5版14頁の調査票を発送した。 C. 現地調査 調査票入手後更に詳細な情報を得るため現地調査を行った。 D. データ分析 集計した調査票記載の内容を分析し、実態調査のまとめとして a. 保有・使用・検定状況 b. 保有企業数(台数)比率・使用頻度・検定の必要度との関連 c. 機器検定の必要優先順位の設定 d. 今後の課題を得、これ等の成果を「海洋機器の実態調査」報告書にまとめ、最終委員会の承認を得た。 [3] 海洋情報管理システムの調査 A. 調査項目および場所 米、英、仏、カナダの国立海洋資料センターにおいて各機関が実施している情報の収集、処理方式および設備の実態について調査した。 B. 調査人員および期間 昭和55年9月20日から同年10月4日まで三洋水路測量(株)社長彦坂繁雄、日本水路協会常務理事長谷寛の2名が調査を行った。 C. 調査報告 Aに記した機関の詳細な現状につき「海洋情報管理システムの調査」として報告書を作成した。 [4] 海洋情報数値化の研究 海洋情報を数値化し、磁気テープへの入力方式を検討し a. 海洋における諸情報の位置ぎめに必要な双曲線格子(ロランC、ロランA) b. 情報を海図に組込む際、その投影法によって異なる図式に必要な格線・輪郭線描画 c. 測量原図内の水深他諸情報を図化装置により再現し情報の検定に有効な方式 d. 水深の断面図描画 のプロゲラムを行った。 なお、研究の過程については「海洋情報の数値化ならびに提供方法の研究」として報告書を作成した。 [5] 海洋情報の提供方法の研究 海洋情報中海洋の水深、海底の性質、海岸線等水路測量原図を基に、これ等の情報を数値化し磁気テープに入力しデジタル表示および図化に必要な方法を究明した。 提供方式の実験例として駿河湾北部水深図(海地242)他特質を有する4図を実際に数値化し、提供方式を検討した。 なお、研究の過程については「海洋情報の数値化ならびに提供方法の研究」として報告書を作成した。 (2) 流況測定方式に関する研究 [1] 基礎研究 超音波パルス波のドプラー検出方式 a. 船舶の動揺による測定誤差の検討:4ビームおよび2ビーム方式について動揺による測定誤差を理論的に考察し、上下動による測定誤差は2ビーム4ビーム方式とも消去され、ローリング、ピッチングによる誤差は4ビーム方式の場合2ビーム方式に比べて極めて小さくない15°の動揺に対して数%にとどまることが解った。 b. 送受波器の小型軽量化:本研究では測定器の送受波器が可搬型であることを求めているので、この可能性について検討した。結果として送受波器ユニットは外筐を含み32Kg程度とすることが可能となり、取付ロッドを含めて約52Kg程度に納まり、人力による船体への取付けが可能となる見込みである。 [2] 器材整備 実験(次年度)に必要な粗材を準備した。 (3) 海図の最新維持作業の能率化に関する研究 [1] 外国の実態調査 a. アメリカ内務省地質調査所:システムの特長として、1枚の図を何枚かに切断してスキャンし、それを再び1枚の図にプロットすることが可能である。原稿のアナログからスキャンして、このシステムを利用して、その後の情報による部分修正の能率化がはかられる。 b. サイテックスヨーロッパ支社デモンストレーション・センター(STEDC):(a)ブラウン管上で電子ペンにより点、または曲線を指示すること、および色を指定して図柄を記憶、および再生、修生が可能である。(b)地名、構造物のような文字(ただし、現在はローマ字のみ)の図画内の任意の場所へ所望の大きさで指定できる。 (c)図面を前記の方向で修正した場合、修正部分を色を変えてブラウン管上に表現でき、修正の有無、適否の判断が容易であった。 [2] 調査・解析 a. ポジフィルムの寸法・精度 歪みおよび寸法・精度を測定し、誤差は許容限度内であった。誤差を大きくする要因は原稿の装着方法による要素が大きいことが判った。 b. 再現性の検討 レスポンス250で出力した墨、燈色、地色、水色の原稿として印刷した4色の校正刷を作り、50倍に拡大した陽画焼による解像度の検査を行った。 結果として細線部分に切れや漢字等に肥大が生じているので40画素/mm以上を向いて画質の向上を図る必要がある。 c. 部分修正方法の検討 a) 試験用図のそう入については問題は殆んどない。 b) 修正版下のそう入には新たなソフト・ウエアの開発が必要である。 d. 製版効果の検討 色ネガフィルムと部分そう入ネガフィルムからクロマリン多色校正刷を作成してスポンスシステム250で作制される製版原稿の品質を調査し、要求する製版結果をあげていることを確認した。
■事業の成果