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■事業の内容

スターリング機関に関する研究
(1) サイクルシミュレーションの研究
[1] 第1次実験機関特性実験値に基づくサイクルシミュレーション計算方式の最終評価
 熱交換器を多数の小空間に分割した精密計算モデル及び簡易計算モデルをそれぞれ改良の上、第1次実験機関の各種実験条件と同様の計算条件でシミュレーション計算を行い実験結果と比較検討して計算方式を最終評価。
 また、作動流体の圧力制御による機関の出力制御プログラムを作成しシミュレーション計算を実施。プログラムの実用性を確認。
[2] 計算方式改良に必要な諸係数を求めるシミュレーション実験
A 加熱器の伝熱性能試験
 加熱器の伝熱性能向上のための小型実験装置による空気・フロン混合気体を用いた伝熱性能測定。伝熱性能が空気の場合の約10倍であることを確認。
B 変動ガス温度計測の応答性改善試験
 小型実験装置を用いた超音波パルス温度計測法による作動流体の変動ガス温度計測及び熱電対の応答計算法の作成。計測法及び計算法の精度を確認。
C 非定常管内流動損失の測定実験
 円管内における往復流動時の作動流体の流動損失と伝熱性能測定。流動損失計算法と伝熱性能計算法の精度を確認。
D 側壁熱伝達の測定実験
 改良した側壁伝熱型の小型実験装置による直接伝熱効果測定実験。装置の改良結果を確認。
E 再生器の流動損失・伝熱性能試験
 金網積層型マトリックス使用の再生器内の流動損失及び伝熱性能の非定常流中測定試験。高性能マトリックスの選定方法を確立。
(2) 実験機関による総合研究
[1] 第1次実験機関の改良構成要素の設計製作
 54年度の研究成果に基づき改良した下記の構成要素機器を設計製作。
A 燃焼器    1種
B 加熱器    2種
C 再生器    2種(マトリックス種類 6種)
D 冷却器    2種
E シール装置  1式
ピストンリング 3種
ロードシール  3種
[2] 第1次実験機関による構成要素評価適応試験及び総合評価
 上記の構成要素供試体の組合せによる20種の仕様について構成要素適応試験。
A シール装置洩れ試験
 ピストンリングについて3ピースリング、金属環入りエンドレスリング、合口リングの3種の洩れ試験。
 ロッドシールについて油上り対策ロッドシール、板バネ付きシール、液体シールの3種の洩れ試験。
B 運動性能試験
 構成要素の仕様を各種変更した性能試験。最高性能図示出力89ps図示効率30%、総効率20%。
C 変動温度測定試験
 機関性能に大きく影響する再生器前後の作動ガス温度をクランク角度に対応して精密計測。
D 位相角変更試験
 90°、100°、110°、120°の位相角で実験。
E 再生器マトリックス変更試験
 再生器マトリックスを6種変更した場合の再生器効率試験。
F 総合評価
 第1次実験機関による構成要素評価適応試験の結果を次の項目について総合評価。
実験評価及び性能予測:
図示効率・図示出力、機械損失、反作動室損失仕事について実験結果の解析による機関性能予測評価。
第1次実験機関と多気筒複動機関との比較:
2気筒単動機関と多気筒複動機関を比較検討し両者の特長・問題点を解析。
研究成果の確認と今後の課題:
各種構成要素ごとの成果確認と残された課題の検討確認。
(第173研究部会  5回(1回)
(うち地方開催))
■事業の成果

スターリング機関についてその基礎的段階に位置づけられる研究開発を実施し将来の製品開発に際しての技術的問題点を明らかにするため本研究は昭和52年度より開始されたが、その最終年度である本年度に行われたサイクルシミュレーションの研究及び実験機関による総合研究の結果、機関構成要素が機関性能に与える影響、サイクルシミュレーション計算方式の妥当性、低公害機関としての優位性等が確認されるとともにスターリング機関開発上の問題点の所在が十分明らかとなった、さらに、これら問題点もわが国の技術レベルをもってすれば今後克服し得ないものではないという見通しを得た。本研究の成果は今後の省エネルギー実用舶用スターリング機関開発の基礎となり、その開発促進に大いに役立つきわめて貴重なものである。





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