■事業の内容
(1) 海洋油濁防止装置の性能評価基準に関する調査研究 [1] 油回収装置の性能に及ぼす尺度影響に関する調査研究 A 油回収装置の作動原理模型による水槽試験 a 供試模型:サクションタイプ(吸引部は吸込ベルマウス形状、ψ540mm)模型1/1、1/2、1/3の3寸法 b 試験水槽:角水槽(静水中) 回流水槽(平水中) c 試験内容:角水槽試験 ○ 吸引部のみの縮尺模型 (1/1、1/2、1/3)の水および油回収性能試験(吸引部の深さを変化) ○ 1/1模型による油層厚さを変化させた油回収性能試験 回流水槽試験 ○ 全体縮尺模型の水および油回収性能試験 ○ 油層厚と吸引部深さを同一にした油回収性能試験 ○ 油層厚と吸引部深さを変えた油回収性能試験 d 試験油 :B重油相当潤滑油 B 尺度影響に関する理論的解析 上記、角水槽、回流水槽試験結果の尺度影響に関する理論的解析 a 単位時間当りの回収量 静水中(角水槽):吸引部の尺度、深さ、重力加送度、流量係数の関係 流水中(回流水槽):静水要因の外、流速との関係 b 回収油量・回収効率 静水中(角水槽):回収効率と油層厚/吸引部深さの関係 流水中(回流水槽):フルード数(速度長比)との関係 [2] 軽質油の海上における物性変化に関する研究 A 実験室内実験 a 試験油 :軽油、灯油、自動車ガソリン、工業用ガソリン、調合ナフサNo.1試験油(B重油相当) b 油量 :各0.66l c 試験条件:室温30℃、20℃、10℃、に変化 d 計測項目:物性 蒸発量(経時計測) 比重、粘度、表面張力(以上最終計測時) 周囲状況…室温、水温(連続計測) B 屋外実験 a 日照場所における試験 (a) 試験油 :軽油、灯油、自動車ガソリン、工業用ガソリン、調合ナフサ、No.1試験油 (b) 油量 :各10l (c) 試験条件:日照場所(3日間) 気温、水温はなりゆき (d) 計測項目:物性 蒸発量(経時計測) 比重、粘度、表面張力 周囲状況…気温、水温、風力 b 油量変化試験 (a) 試験油:灯油、自動車ガソリン、工業用ガソリン、調合ナフサ (b) 油量:10l、20l、30l (c) 試験条件:日照場所、気温、水温なりゆき (d) 計測項目:物性 蒸発量(経時計測) 比重、粘度、表面張力 周囲状況…気温、水温、風力 c 日陰場所における試験 (a) 試験油 :軽油、灯油、自動車ガソリン、調合ナフサNo.1試験油 (b) 油量 :各10l (c) 試験条件:日陰場所、気温、水温なりゆき (d) 計測項目:物性 蒸発量(経時計測) 比重、粘度、表面張力 周囲状況…気温、水温、風力 d 日陰場所での降雨状態における試験 (a) 試験油 :灯油、自動車ガソリン、工業用ガソリン、調合ナフサ (b) 油量 :各10l (c) 試験条件:日陰+降雨状態350l/hm3、気温、水温なりゆき (d) 計測項目:物性 蒸発量(経時計測) 比重、粘度、表面張力 周囲状況…気温、水温、風力、降雨量 [3] 小型回流水槽試験 a 試験油 :灯油、自動車ガソリン、工業用ガソリン、調合ナフサ b 油量 :各2l c 試験条件:波浪中(風1m/s、3m/s) d 計測項目:物性 蒸発量(経時計測) 比重、粘度、表面張力 周囲状況…気温、水温 油濁防止装置に対する試験油の挙動観測 (委員会開催 4回 (うち地方開催) (1))
■事業の成果
本調査研究は昭和50年度に発足し、4ケ年にわたり、油回収装置およびオイルフェンスに関する基礎的研究、海外調査、大型水槽による本格的模型実験等の調査を行ない、海洋油濁防止装置の評価試験法が作成された。しかしながら上記調査だけでは十分とはいえず、多岐にわたる問題点も残されている。そこで本年度は昨年に引続き、油回収装置の性能に及ぼす尺度影響に関する調査として、回収作動原理模型(本年度は吸引型)による油回収試験と理論解析を行ない、縮尺模型の試験結果から実機の油回収量を推定する場合の試験条件を把握した。 また、軽質油については、近い将来IMCO条約により、軽質油に対する規制が実施されるのに対処して、軽質油の海上における物性変化について、諸環境条件下における試験を行ない、その物性を把握し、従来重質油を対象に作成された評価試験法の軽質油に対する適用性の検討資料を得た。 これらの成果は海洋油濁防止装置の性能評価基準確立のための貴重な資料であり、又、油流出事故における災害の拡大防止対策および軽質油の海上流出時における防除システムの確立に寄与するものである。
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