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■事業の内容

(1) 原油洗浄面積率計算法の基本計画の作成
 洗浄機器の特性、配置、タンク構造物およびパイプ等の有効噴射面積率に及ぼす影響を調査し下記洗浄面積率計算のための計算条件、計算方法等の基本計画を作成した。
[1] 計算条件:タンク数(30)、タンク内部材数(150枚)、部材の点列数(70)、パイプ数(20本)、パイプ点列数(15)、ノズル配置ケース(5ケース)、各配置ケースのノズル(10コ)、タンク部のフレーム数(100)、円の直線近似(16角形)
[2] 計算方法:ノズルを1つの点光源とみなし、ノズルから放射をされる洗浄油を光とみなして、幾何学的に、タンク内構造物によってできる影を求める方式と洗浄対象面を単位面積に分割し、それぞれの単位ごとに遮蔽物の存在や洗浄機からの有効射程をチェックする方式について検討し、前者を採用。
(2) 機能設計用洗浄面積率計算法の研究
 新船受注時のラフ設計および詳細設計時両用の洗浄面積率計算プログラムについて上記の基本計画に従ったプログラム機能仕様書を決定。
[1] 入力前処理部
A 入力部 :基準座標、データ入力における原則、入力データ、入力データシート等を決定、データチェック及びエラメッセージ方法を決める。
B 前処理部:SECTION形状から部材及び囲壁を作成するアルゴリズムの決定
外形と囲壁とのチェック、特殊構造の処理方法および洗浄機の位置決め方法の決定
入力前処理の出力:入力データのプリント及びファイル
入力データのチェックライト
演算用データのプリント及びファイル等を決定
[2] 演算及び演算出力部:演算用入力データ、データの制限値
入力データ構造及びフォーマット、および4段階に分けた計算サブルーチンの決定
[3] 作画部:ノズル・プレート・影のプロット、全体図のプロット、プロット図の中心位置決め、プレートのプロット、プレートの影のプロット、ノズル位置のプロットおよび座標変換の各ルーチンの決定
フレームNo.をプロットするサブルーチンの決定
■事業の成果

IMCOの新タンカー規則は、1978年の「タンカー安全および海洋汚染防止に関する国際会議」において、1974年の海上人命安全条約に関する議定書ならびに1973年の船舶からの海洋汚染防止条約に関する議定書の形でInert Gas System(I.G.S)、Segregate Ballast Tank(S.B.T)Crude Oil Washing(C.O.W)等を含む大巾なタンカー規制が実施されることになった。しかもその施行にあたっては、事の重要性に鑑み、議定書の発効を待つことなく会議決定によりその実施期日が事実上義務づけられ、その目標期日は1981年6月1日となっており、施行に当っての具体的対応策が急がれている。
 C.O.Wについては、前議定書により、既存船の海洋汚染防止策の一環として、S.B.Tと同等の防止効果が認められることになったこと、更には改装工事等の経済的比較においてもC.O.Wの優位性が大きいことから、C.O.W改装工事の施行は今後極めて多くなると予想される。
 C.O.W改装工事は、既存タンク洗浄機の全機換装を含め、配管系統の改装、漏油に対する安全対策等より成るが、これらにより所定の洗浄効果を達成するには、各船、各タンク毎に効果的な洗浄機の配置および台数を考える必要がある。又、新造船については、その受注時にラフ設計を行ない、より効果的な洗浄効果を得るためのタンク構造、骨組み、骨の大小、洗浄機の配置、台数を検討する。これらの作業は、多大な時間と労力および費用をかけて各船、各タンク毎に繰返し手計算を行なっている現状であり、C.O.W適用船としての承認用図面もまた手書きである。
 本事業で開発中の洗浄面積率計算プログラムは、上記計算、作図作業の電算化をねらいとし、計算は、豊富なタンク形状、洗浄機配置ケース、各配置ケースのノズル数等のデータにより、各船に応じた洗浄面積率計算ができるようになっており、計算結果は各船、各タンク毎に表および洗浄機の配置、台数、洗浄不能面積(位置)を示した図が出力されるようになっている。
 本年度は研究の一年目であり、プログラムの機能仕様書の作成だけに終ったが、次年度本プログラムが完成されれば、多大な時間と費用をかけた手計算の必要がなくなり、経済性の効果は極めて大きいものである。又、本プログラムは、完成後他機種へのコンバートも計られ、政府および船級協会等の承認機関からオーソライズされたプログラムとして日本国内において統一的に使用されるものとなるよう考慮されており、業界に及ぼす効果は極めて大きいものである。





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