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■事業の内容

イ. がんの基礎的研究
[1] がん細胞より遊離する有効因子の化学的解明
1. 悪性腫瘍に対する白血球輸入療法(免疫監視療法)の臨床基礎的研究
2. 免疫監視療法の臨床基礎的研究
1. 放射線及び化学療法下における血中腫瘍成分様物質の変動
[2] 綱内糸細胞の反応機構の解明
1. 正常脾リンパ球様細胞の抗腫瘍性獲得機構の解析
1. Invitro分析系確立と検討
2. 抗腫瘍免疫情報伝達物質の解析と治療への応用
1. 分析系の確立とその検討
ロ. がんの臨床的研究
[1] 免疫監視療法の確立
1. 局所照射と同種リンパ球様細胞移入の組合せによる固型腫瘍の増殖抑制効果
2. 免疫監視療法患者の病理学的研究
[2] 臓器別治療法の開発
1. 種々の組合せによる免疫監視療法の効果について
[3] 血球保存法とその供給
1. 臨床応用を目的としたヒト末梢血リンパ球及び顆粒球の大量分離法と凍結保存法の研究
2. 研究結果の発表
(1) 54年9月28日第38回日本癌学会において当研究所長佐藤一英同主任研究員佐藤静夫共同研究による免疫監視療法の研究、続報:末期肺がんに対する治療効果について発表を行った。
(2) 54年11月1日シンガポールにおける「第3回アジアオセアニア放射線学会議」へ当研究所長佐藤一英が招待演者として出席「放射線療法と免疫療法について」講演を行った。講演内容は胃がん結腸がん等の末期がんに対する免疫学的導入療法により実例を発表。特に169例中64%に1年以上の生存が認められ11%の患者が5年以上の生存を示したことについて注目を浴びた。
 この学会には世界20数ケ国より約800人が参集し日本からも約100人が参加した。
(3) 54年11月11日第58回西日本整形、災害外科学会へ当研究所主任研究員佐藤静夫が出席し、当研究所で開発したリンパ球製剤を用いた免疫疾患の新しい治療法に関する研究において「関節リウマチのリンパ球注入療法」と題した研究発表を行った。
(4) 54年12月8日当財団主催の第3回対がんシンポジウム「担がん生体の免疫学的研究と臨床応用的研究」において当研究所長および所員が次のとおり研究発表を行った。
1. 正常脾リンパ球様細胞の抗腫瘍性獲得機構の解析
1. Invitro分析系の確立と検討
○ 前之園 純二
早川 幸子
佐藤 静夫
2. 免疫情報伝達物質の解析と治療への応用
1. 3mkel抽出抗原を用いた分析系の確立と検討
○ 佐藤 静夫
田代 果生子
3. 免疫監視療法患者の病理学的検討
○ 小比木 丘
4. 種々の組合せによる免疫監視療法の効果について
○ 佐藤 一英
5. 昭和54年度における「がん免疫監視療法に関する研究報告書」を作成し、各大学および研究機関、厚生省、日本船舶振興会その他、関係機関等へ配付した。
3. 機器の整備
1. 超音波ホモジナイサー(ブロンソン社製モデル200型)    1台
2. パール細胞破砕器(パール社製)             1台
3. ゲルエレクトフォレイシステム(ファルマシヤ社製)    1台
4. 炭酸ガス培養恒温器(池本理化工業K.K.製RKI-1002B型)  1台
5. バリオパーテックス<2>型(LKB社製2120型)         1台
6. ヘマトクリット高速遠心器(クボク社製KH120-A型)     1台
4. 機器の整備場所
東京都大田区大森南1-2-19
財団法人 がん免疫振興財団内
■事業の成果

進行性がん特に外科的、化学的療法及び放射線療法等による治療困難な種類のがんに対して、免疫監視療法は治療へ導く治療法としては可能性が高いことから、生体の対がん調節機構の改善を図るための基礎的、臨床的研究を実施してきたが、その研究結果を当財団主催の第3回対がんシンポジウム、第38回日本癌学会第3回アジア、オセアニア放射線学会議および第58回西日本整形、災害外科学会等において発表したこと及び第3回対がんシンポジウムにおいて各演者が発表した研究内容の論文集ならびに昭和54年度における「がん免疫監視療法に関する研究」報告書を作成し、医学会その他関係機関等へ広く配付したことにより医療福祉の向上に資するところ大なるものがある。





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