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著者: 菅 みずき  
記事タイトル: 日系社会と日本財団 ?日系社会に対する支援で思うこと?  
コラム名: 日系社会と日本財団 ?日系社会に対する支援で思うこと?  
出版物名: 海外日系人協会  
出版社名: 海外日系人協会  
発行日: 2005/09  
※この記事は、著者と海外日系人協会の許諾を得て転載したものです。
海外日系人協会に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど海外日系人協会の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。  
   我々の日系社会に対する支援の開始は三〇年程前に遡る。それから今日に至るまで、日本財団の重要な柱の一つであり続けている。
 日本財団 (設立一九六二年) は、競艇の売上げの三・三%を受けて、日本国内外の公益活動に対し助成金を拠出する民間の財団である。このうち、海外協力援助事業 (二〇〇五年度三八億円) では、ハンセン病の制圧活動、アフリカの農業開発、アジアにおける障害者支援のほか、日系社会への支援に重点を置いている。

 日系社会に対する支援は、日系団体が運営する病院や老人ホームなどの社会福祉施設や文化施設の整備など、いわゆるハード面での支援がその主たる支援事業であった。海外協力援助事業ではハード面の支援の優先順位は極めて低いが、日系社会において多くの施設整備に支援してきたのは、ひとえに日系社会に対する信頼感と発展への期待からであった。
 多くの国において、日本や日本人に対するイメージは、いまだに電気製品や車といった日本製品から想起されるものであり、そこに人間の顔は見えてこない。一方、中南米において浸透している「正直」、「勤勉」、

「誠実」といった評価は、じかに接した移住先駆者とその後継者達の顔や行動から想起され定着したものではないかと思う。日本や日本人に対する信頼や尊敬のまなざしは、まさしく先達の絶えざる献身と努力の賜物である。
 一世、二世の高齢化、世代交代や出稼ぎによる日系社会の空洞化や日本の文化の伝承が、各国日系社会の共通の課題となっている。我々は、日本と移住国との懸け橋として、そして、移住国の発展に対し、長年にわたり寄与されてきた移住先駆者の努力と労苦に報い、出来る限りの感謝の気持ちを形にしていきたいと考えている。

若い日系世代の育成も支援

 一方、若い日系世代の育成に対する支援にも、近年積極的に取り組んでいる。二〇〇三年からは、日系人の若者の日本留学のための奨学金事業「日本財団スカラーシップ 夢の実現プロジェクト」を (財)海外日系人協会の協力を得て実施している。
 「夢の実現プロジェクト」はその名の通り、日系人の若者がその夢を実現するために、日本で勉学に励む機会を提供する奨学金である。「出身国・地域の発展のために貢献しようとする高い志と熱意」を持ち、「出身国と日本の架け橋として活躍する夢と具体的な計画」を持つ若者を対象としている。より多くの若者に門戸を広げ、彼らの多様な夢の実現に応えるため、専攻分野、留学先、留学期間などの制限は、可能な限り緩やかにしている。例えば、現在一二名の若者が日本に留学中であるが、鍼灸、医学から木工やファッション関係まで幅広い分野で専門学校、大学や大学院で学んでいる。

 本事業の立ち上げから三年目、今日思うことは、異なる夢を持ち、様々な分野に挑戦する若者達が、自分自身の夢の実現のみならず、お互いの夢の実現のために協力し、各自の専門性を超え共通の課題に取り組もうとする意識が醸成されてきたことである。夢の実現のために遠く日本まで来たという決意、自ら道を切り開こうとする意欲。それらを同じくする彼らの結束は固く、助け合い、切磋琢磨する素晴らしいチームが出来上がりつつある。これは、事業開始当初の想定を超えたことであった。今後、この奨学生やOBの絆づくりを大切にし、バックアップしていきたいと思う。多彩な面々が集まったこのネットワークから、将来、国や分野を越え、新しい力が生み出されていくことを期待している。

 次にもう一つの事業を紹介したい。全米日系人博物館 (米国、ロサンゼルス) が行う日系人とその社会の歴史の保存と共有を目的としたプロジェクトである。本プロジェクトは、北米・南米各国及び日本の日系移民資料館、博物館、大学の研究者や専門家の協力を得て、日系社会の歴史を広範に調査し、現存の資料のデータベースを作成する。そして、日系人の経験を生の声を通して伝えるビデオインタビュー記録を製作し、ウェブサイト「Discover Nikkei」(http://www.discovernikkei.org/en/)を通じて広く情報を提供するものである。さらに、このウェブサイトには、「日系」に関心ある人々の双方向の意見交換の場 (フォーラム)や「日系」 に関連する最新ニュースの紹介など、様々なコンテンツが含まれているほか、国、地域、言語を越えて共有できるように、日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語の四カ国語での情報発信を行っている。




 我々は、日系人の経験や日系社会の歩みを後世に伝えるという役割に加え、移住、民族間の対立、異文化理解、アイデンティティーの形成といった今日的な社会的課題に取り組む際のヒントや学校での学習教材として、これらの情報資料を非日本人、非日系人にも幅広く利用してもらうことを期待している。
 このように我々は、日系人の若者の育成と絆作り、日系社会の歴史や経験の共有と発信といった国を超え、未来に向けた、そして、現地社会の発展に向けた取り組みを支援している。いずれにしても、我々は、各国の日系社会の熱い思いに共感し、日系社会を盛り上げるパートナーとして、共に歩んでいきたいと思う。そのためには、日系社会が一丸となり、総意をもって新しいコミュニティを切り開いていくことを切に願う。


【国/年度】 【助成先】 【事業内容】 【助成金額:千円】

■米国■■■■■
【1997】 【シアトル敬老一世コンサーンズ】 【養護ホームの建設】 【29,510】
【1979】 【桑港日米会】 【サンフランシスコ日米文化会館の建設】 【36,525】
【1980】 【ロサンゼルス日米文化会館】 【体育館の建設】 【105,500】
【1992】 【シカゴ定住者会】 【運営基金の設置】 【123,400】
【1997?2001】 【全米日系人博物館】 【日系人社会と文化に関する国際共同研究プロジェクトの推進】 【189,654】
【2002?2004】 【全米日系人博物館】 【日系人の歴史保存プロジェクトの推進】 【551,512】

■アルゼンチン■■■■■
【1980】 【在アルゼンチン日本人会】 【日ア文化センターの建設】 【112,100】

■コロンビア■■■■■
【2002?2003】 【コロンビア日系人協会】 【日系人に対する日本留学の機会の提供】 【7,614】

■日本■■■■■
【2003?2004】 【(財)海外日系人協会】 【日系人に対する日本留学の機会の提供】 【109,060】

■ブラジル■■■■■
【1977】 【ブラジル日本文化協会】 【ブラジル日系移民資料館の運営】 【64,000】
【1977】 【サンパウロ日伯援護協会】 【老移民救護事業の運営】 【100,000】
【1977】 【アマゾニア日伯援護協会】 【アマゾニア病院別棟の建設】 【100,000】
【1986】 【ブラジル日本文化協会】 【体育館及び文化センターの建設】 【30,000】
【1994】 【ブラジル日本文化協会】 【シンポジウム報告書の出版】 【3,118】
【1999】 【アマゾニア日伯援護協会】 【アマゾン日系人病院の増築】 【130,256】
【2001】 【サンパウロ日伯援護協会】 【スザノ老人ホームの建設】 【56,595】
【2003】 【サンパウロ日伯援護協会】 【ブラジルにおける日系老人ホームの施設設備の実施】 【6,790】
【2004】 【ブラジル太鼓協会】 【ブラジルのジュニア日本太鼓チームの日本招聘】 【8,500】
【2005】 【ブラジル太鼓協会】 【ブラジルのジュニア太鼓チームの日本招聘と日本太鼓の指導者のブラジルへの派遣】 【13,500】

■ペルー■■■■■
【1978】 【ペルー日系人協会】 【ペルー日系移民資料館の建設及び運営】 【100,000】
【1984】 【ペルー日系人協会】 【日秘診療所の増築】 【95,775】
【1994】 【ペルー日系人協会】 【日秘診療所検査施設の増設】 【44,264】
【2000】 【ペルー日系人協会】 【日本人移住百周年記念病院の建設】 【275,472】
【2000】 【エンマヌエル協会】 【老人ホーム事務所棟の建設】 【9,945】

■ボリビア■■■■■
【1974】 【ラパス日本人会】 【日本庭園の造園】 【15,000】
【1996】 【サンタクルス中央日本人会】 【日本ボリビア交流会館の建設】 【21,390】
【2003】 【ラパス日本人会】 【ボリビア日本庭園の改修工事の実施】 【2,923】

【合計】 【2,342,403】
 



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