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著者: 曽野 綾子  
記事タイトル: 日本男性?世界で最も甘やかされた怠け者  
コラム名: 自分の顔相手の顔 517  
出版物名: 大阪新聞  
出版社名: 大阪新聞社  
発行日: 2002/03/28  
※この記事は、著者と大阪新聞社の許諾を得て転載したものです。
大阪新聞社に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど大阪新聞社の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。  
   日本の男性の中には、まだ妻がいなくなると、1人で食事を作ることもできない人がたくさんいる。それで私は夫に料理をするように仕向けている話を先日書いたら、おっかけておもしろい話が出た。

 世界でもっとも大規模な大学の調査研究機関であるミシガン大学の社会科学研究所の調査によると、日本の男性は世界で最も家事をしない怠け者、という結果が出たという。私が勝手に「怠け者」という言葉を使ったのではない。彼らが「レイジェスト」と言っているのである。一番の働き者はスウェーデン人の男性で、1週間に24時間も家事をする。しかるに日本人男性は、料理、洗濯、掃除ほかの家庭の雑事のために、スウェーデン男性の6分の1、1週間にたった4時間しか働かない。

 一方アメリカ人の男性は、1965年には、週12時間しか働いていなかったのだが、今では16時間を家事のために費やすようになった。

 もし男女同権なら、男ももっと家事をすべきだということは当然だと言える。日本の男性は世界でもっとも家事をしない怠け者、というより、もっとも男女同権を拒否している存在だ、ということになる。

 日本人は働き者だ、という、過去の光栄や自信は、全くの幻影になった。なぜなら調査でも、日本人、スウェーデン人、アメリカ人が、男女を問わず最長の暇な時間を持っている人々という。

 恥ずべきことには、日本人の、殊に女性が、世界にずば抜けてテレビの視聴時間が長いという結果も出ている。ということは、釣りをしたり、自転車に乗ったり、家の修理をしたりする実質的な時間は少なくて、テレビをただ漫然と眺めて虚構体験を楽しむ時間が世界で最も長い暮らしをしているということになる。

 男女同権を認めるなら、男も家事を手伝わねばならない。昔の母親たちは、男子は厨房になど入るべきものではない、と言った。そういう考えが通ったのは、男たちが危急存亡の時には、身を挺して祖国や家族を守るために死をも容認する気概があった時代だけである。

 しかし今の男性たちは、甘やかされて育ち、万が一の時には女性や子供たちを安全にするために、自分が進んで重荷を負い危険を負担するものが当然だということを必ずしも承認しない。そういう男たちは、文字通り男女同権を実行しているわけだから、家事の負担も半分半分で当然だという論理になるのかもしれない。
 



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