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著者: 笹川 陽平  
記事タイトル: ペルー フジモリ大統領 4)  
コラム名: 地球巷談 8  
出版物名: 産経新聞  
出版社名: 産経新聞社  
発行日: 1997/02/23  
※この記事は、著者と産経新聞社の許諾を得て転載したものです。
産経新聞社に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど産経新聞社の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。  
  「自己の信念」を貫く姿勢
 フジモリ大統領の政治手法が強権的であるという批判があります。とくに人権問題をからめ米国に根強いようです。憲法の一時停止を発動したことなどからくるのでしよう。
 ペルーは数百年もの間、一部白人の特権階級に国富を独占され、貧困にあえぐ人々は労働意欲を失ってきました。そして、貧困が過激なテロを生み、捕らえられたテロリストは、裏金を使って裁判官を買収、簡単に釈放されてきたのです。貧困、そして買収がまん延していたのです。
 フジモリ大統領は、グランドデザインを持って、こうした旧体制を破壊しようとしているのです。憲法の一時停止や議会機能のはく奪が国際世論の反発を招くことは百も承知のはずです。数百年のあいだに固まった政治社会システムを変えようとすれば、時には上意下達の策をとらざるをえなかったということです。今日、フジモリ大統領が行っていることは革命なのですから。
 私ははじめに信念ありきが一国のリーダーにとっての要諦であり、強固に自己の信念を貫くその姿勢に民衆がなびき、コンセンサスが生まれるものと考えています。
 フジモリ大統領は信念の人です。大統領の政治姿勢に、いまの日本の政治家は学ぶペきことが多々あるのではないでしょうか。
 今回の日本大使公邸占拠事件について、当初日本のマスコミはフジモリ大統領が日系人であることから、今日の平和ボケした日本人の一般的メンタリティーを物差しにして、大統領の事件対応を期待していた面があります。日本政府も同じ期待を抱いていたはずです。私は、これは大変礼を失した考え方だと思っています。
 たしかに大統領は日系人ではありますが、紛れもないペルー人です。しかも、誇り高きペルー人です。私は、過去幾度も大統領自身の口から「ペルーとしての誇り」、あるいは「未来を志向する輝けるペルー」という言葉を耳にしてきました。
 今後、日本大使公邸占拠事件がどのような展開を見せるにしろ、大統領の胸中には、ふつふつとした「ペルーの誇り」が存在することを知っておくべきでしょう。
 日系大統領誕生が南米一の日本からのODAとなり、その結果が今回の日本大使公邸占拠事件の遠因となった、とする見方があります。私はこうした見方にはくみしません。
 フジモリ大統領は両国関係を次のように話しています。「二十一世紀は環太平洋諸国の結び付きがますます強まります。ペルーには末開発の諸資源があります。ペルーは日本になくてはならない国になるはずです。いま、日本は未来に向かっての先行投資をしているのです」
 



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