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著者: 笹川 陽平  
記事タイトル: 時代のニーズに応え常に変革  
コラム名: TOPIC 笹川陽平理事長インタビュー   
出版物名: 週間レース  
出版社名: (株)週間レース社  
発行日: 1999/05/05  
※この記事は、著者と(株)週間レース社の許諾を得て転載したものです。
(株)週間レース社に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど(株)週間レース社の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。  
   昨今の厳しい国内経済状況下においては、日本財団の果たす役割が、ますます期待高いものとなっている。常に時代のニーズに応え、さらにそのニーズを先取りしながら放つ活動は、日本は元より世界からも注目の的。次ぎに目指すものは何か!?ズバリ、笹川陽平理事長に聞いてみた??。
(聞き手・文責=鈴木輝雄編集部長)
 
 
意識の改革で挽回のチャンス!?
?最初に、国内経済が大変厳しいなかで競艇等の売上も激減し取り巻く環境も悪化してるわけですが、昨今の経済状況などをどのように見て分析してますか!?
「皆さんが何を基準にして景気が良いとか悪いとか言っておられるのか、それに疑問があるわけですが、あのバブルを基準にすれば悪いのは当然です。しかし私は戦争を知っている人間ですから三食お腹一杯食べられれば幸せですし、皆さんも昔と比べれば大変豊かな生活をしているはずです。若い人達を見れば夜中でも遊び回っており、どこが不景気なのか!?と思えるわけです」
?総務庁が先日発表した2月の完全失業率は4.6%(313万人)で、調査開始以来、過去最悪と言われてますが…。
「4%台の数値は諸外国に比べますと完全雇用と一緒です。アメリカはいま景気が良いですから別ですが、欧州などはみんな2ケタ台の失業率です。それに比べれば、日本はまだ元気があると思っていいでしょう」
?挽回のチャンスは十分にあると…。
「日本の経済力というのは大変大きなもので、確かに今はいろいろな歪みが出ているのは事実ですし、戦後54年もたてば新しいシステムも求められます。そういう変革の時期だからこそニュービジネスが生まれたり新しい展開があるわけです。それをチャンスと思って取り組むか、いやもうこれでダメだと思って諦めてしまうか、によって大きな差が出るわけです。景気が良い時は、経営状況が良くても悪くても売上が上がって利益が出るものですが、不景気になると初めてその差が出て実態が明らかになるわけです。ですから、私はわが業界の人達には、現在は“将来性のある希望に満ちた不景気な時期”だと言っており、今は内部体制の再点検とスリム化をしっかりとやって下さいと言ってます」
?希望に満ちた不景気な時期という表現はユニークでわかりやすいですね。そう言えば、日本財団では今年度の事業を計画するにあたって職員からアイディアを募り採用したと聞きますが、その内容は!?
「日本財団の歴史的な発展過程というものがありまして、初めは百%外部からの要請で事業を行っていましたが、世の中がどこに二ーズを求めているのかを深く理解し、行政のできない社会セクターとして公益活動をするように変わってきたわけです。そしてこれまで、そのアイディアをほとんど私が出して、それを職員が実行するという体制でしたが、私もいい年齢になりましたので、これまでのトップダウン方式ではなく、個々人がそれぞれ日本財団という社会セクター的役割を十分に考えて、自ら仕事をプログラムしていくよう意識の改革を図っているところです。財団の社会のなかにおける立場というものを職員一人一人が理解し、そのために何をしなくちゃならないのか、一人一人がしっかりと自覚するための努力を行っているところです」
 
21世紀へ予防外交など積極展開
?日本財団は世界に類のない効率的な財団とも言われてますが、さらに一段と強固な集団となりそうですね…。
「私は今までもずっと言ってますが常に変革していかなければならない、現状維持というのは後退しているのと同じですから、これでまだいいとも思ってません。適材適所に人事異動も積極的に行い、一方で職員の若返り化も図っています。先日も全モ連の4月1日の異動の時に言ったのですが、いついかなる時にでもタイムリーに動けるような柔軟な組織作りを目指す、と…」
?さて今年度の事業計画の特長的なものについてお伺いしたいのですが…。
「先日(4月6日)記者発表しました通りで、交付金の減収を考慮し事業規模を10%程度縮小する一方で、社会的なニーズや高まる期待、事業の先見性などを勘案し引き続き適切な対応をしていきますが、新年度ではあのコソボ難民への支援を始め、マレーシアで発見された日本脳炎に似たウィルス研究のための専門家の派遣、杉の皮を利用した油濁の浄化の研究、さらにボランティアなどで頑張っている人達を表彰する日本財団賞の新設などを実施します。しかし大切なのは、こうした事業をいかに継続するかで、たとえば昭和60年にアフリカの飢餓を救うために発足させたグローバル2000などは、エチオピアをわずか3年程で穀物の輸出国にしました。日本はアフリカに年間1300億円の支援をしてますが、私共の予算は年間8億円、それで12ヵ国の農業指導をしてます。私共ではその国の伝統や習慣をよく見て、それをもとにほんの少しレベルアップしていくという方法でお手伝いをしております」
?それでは最後に日本財団が今後どのようなことに重点を置くのか教えてください。
「海外問題では、日本の政府や外務省のできない事、とくに予防外交に力を入れたいと思っています。紛争が始まる前にいかに予防するか、それが大切な時代になるでしょう。国内では預金が1千万円までしか保証されないペイオフが始まる2001年に、国民の意識が変わると見ています。つまり、自分のことは自分で守らなければ、国は守ってくれない、ということがはっきりするわけです。そこで市民の公益活動への意識は高まり、私共がやることがたくさんでてくる時代になると考えています」
?ありがとうございました。
 



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