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(3)ブルーシー・アンド・グリーンランド財団に対する協賛事業
 モーターボート競走法制定20周年を迎えた1971年、競艇関係者は国民への報恩感謝の意味からも、社会に役立つ20周年事業を行いたいと考え、日本を取り囲む青い海と豊かな緑の大地で、海洋性レクリエーションなどの活動を通じて青少年の健やかな心と身体を育むための「ブルーシー・アンド・グリーンランド」プランを樹立し、このプランを長期にわたって推進する(財)ブルーシー・アンド・グリーンランド財団(B&G財団)が1973年3月に設立された。
 B&G財団は設立以来、地域の健康づくり・コミュニケーションづくりの場となる海洋センターの建設、同センターを拠点とした海洋性レクリエーション・プログラムの提供、自然と触れ合う体験を通して豊かな心を育てる海洋体験学習、マリンスポーツについて正しい知識と技術を持った指導者の育成に取り組んできており、日本財団は、競艇関係団体と一致協力してこれらの活動を継続的に支援している。
 一方、1998年7月には、多様化する海洋性レクリエーションに対応し、地域の海洋センターの拠点となり、環境保全などの学習、体験ができる施設として、沖縄海洋センター(1976年7月開設)を全面改装し、広域型地域海洋センター「マリンピアザオキナワ」として新装オープンさせた。
 オープン後は、世界でも有数の海洋環境を持つ沖縄で、手軽に、そして安全に海と触れ合い、海洋環境学習ができる拠点として注目され、活用されてきた。B&G財団では、同センターが今後とも順調な運営を継続できる目処が立ったことから、他の海洋センター同様、設置の趣旨および運営の実態を把握している沖縄県本部町に、2002年4月無償譲渡した。
 B&G財団は、2002年度から事業展開をハードからソフトへと移行し、全国480カ所の海洋センターのさらなる活性化、各海洋センターネットワーク化などを推進している。
 
B&G財団 知覧海洋センター(鹿児島県)
 
B&G財団 芦屋海洋センター(兵庫県)
 
B&G財団の海洋体験学習
(4)東京財団に対する協賛事業
 四面を海に囲まれ、人や物流の移動を海上交通に依存している日本が、急速にグローバル化する世界において、人類の直面する地球的諸課題を解決し、より良い国際社会を築くために、知的貢献のリーダーシップを取ることを目指し、1997年7月1日、(財)シップ・アンド・オーシャン財団から基本財産30億円、笹川平和財団から基金80億2,000万円を受け入れ、東京財団(1999年5月、国際研究奨学財団から名称を変更)が設立された。日本財団は、東京財団の設立以来、その運営基盤を整備するために、競艇関係団体と協力して継続的に支援を実施している。
 東京財団の事業は、政策研究、人材育成、情報交流の三つを柱とし、民間・非営利・独立型の組織としてグローバルな視野から、人と情報が交流する「場」の創造に取り組んでいる。
 第一の柱である政策研究においては、国際的な知的コアとなる日本で初の民間非営利独立型の政策シンクタンクとして、日本における政策形成過程の多元化を図るべく政策研究を実施し、現代社会が直面する政策課題に関し、アカデミックな実証研究に基づいた政策提言を行っている。また、専門家の交流、共同研究を実施し、国際的な「知」のネットワーク形成に努めている。
 第二の柱である人材育成においては、文化や価値観を異にする人々が、互いの独自性を尊重しながらも地球社会の利益のために共生するには、その多様化する国際社会の形成に貢献できる人材が必要であるという点に着目し、国際感覚あふれ、異なる価値観を尊重し、さまざまな要求に対処できる柔軟な考えを持つ人材の育成を使命としている。具体的には、人文社会科学および運輸・海事分野の大学院修学を目的とする奨学金や各種奨励金プログラムの提供を実施している。
 第三の柱である情報交流においては、先の2つの柱を基盤としながら、既存の価値観にとらわれることなく常に時代を先取りした先見的な視野を持ち、先駆的なアイディア・情報を創造・発信することを目指している。1999年度からは、「海に生きるアジア」「世界都市東京」「国を造る、国を超える」「大衆文化・娯楽産業」という4テーマのもとに、個性的な情報やアイディアが常に生まれるよう、多様な人材の意見交換の場を提供し、そこで得た情報や英知を広く内外に発信している。
 
虎ノ門DOJO<道場>
(5)阪神・淡路大震災の復興支援
 1995年1月17日、淡路島北部を震源とする阪神・淡路大震災が発生した。この直下型地震は、マグニチュード7.2、神戸市の一部では震度7を記録し、5,500人の死者・行方不明者と4万1,500人の負傷者(※1)を出す未曾有の災害となった。
 日本財団は、地震の翌日に兵庫県に3億円の支援を行い、その後、震災関連事業に対し1994年度に6億4,000万円、1995年度に2億400万円の集中的な助成を行った。
 一方、本財団をはじめとする競艇関係団体では、1995年2月に「阪神・淡路大震災復興モーターボート特別競走」の実施を決定し、約71億円の「阪神・淡路大震災復興支援資金」が拠出された。この資金を有効に活用することを目的に、1995年4月に「阪神・淡路大震災復興支援運輸連絡協議会」が設立され、
1)被災市民の生活向上に資する交通網の復興支援
2)罹災地域の地域経済の復興支援
3)被災市民の心身のケアに対する支援
4)地域環境の向上に資する復興支援
に関係する計53事業に支援が行われた。
 これらの支援は、比較的短期間に完了する事業が中心であったが、被災地のボランティア活動に対する支援については中期的視野に立って行うべきであるとの判断から、新たに期限付きの組織を設立し、地域の市民生活に根付いた支援を行うこととなった。
 これを受け、本財団では、新しい組織の設立趣意書および規則の案の策定を進め、1996年5月に東京で「阪神・淡路コミュニティ基金」の設立発起人会が開催された。設立発起人は、今田忠氏、菅波茂氏、祐成善次氏、田中克人氏、矢野真和氏、曽野綾子の6名であった。発起人会においては、今田忠氏、酒井道雄氏、佐野章二氏、溜水義久氏、出口正之氏、中地洌氏、中辻直行氏、安田丑作氏、曽野綾子、笹川陽平の10名が運営委員に選任され、今田忠氏が代表者に選任された。
 「阪神・淡路コミュニティ基金」は、行政やあらゆる機関から独立した組織であるため任意団体として設立し、「阪神・淡路大震災復興支援資金」から2年間で8億円を受け入れ、3年間でボランティア・NPOが行う182事業に対し助成金を拠出した。今後、同様の都市型災害が発生した際には、地域に根ざした支援方法の一つとして検討できる先駆的な実績となった。
※1 参考資料:自治省消防庁「消防白書(平成7年版)」(1999年5月)
 
震災により崩壊した神戸市内
 
情報伝達手段として活用された掲示板
 
震災ボランティアの活動拠点



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