日本財団 図書館
 
Top日本財団三十年の歩み 本史>本史詳細
(昭和60年度〜平成3年度)
第4節 国際社会におけるわが国の責任と役割の増大
3.人材育成と女性の地位向上への協力 タイ婦人教育訓練センターの設立
第29回国連総会において1975年(昭和50年)が「国際婦人年」に指定され、1976年からの10年間を「国連婦人の10年」とし、さまざまな啓蒙活動が計画されるなど、国際的に女性の基本的人権の尊重が強く叫ばれるようになった。
世界のなかでもアジアの女性問題は特に深刻である。タイの文盲率は約14%といわれるが、そのほとんどは農村部の若い女性で占められている。彼女たちは正規の教育を受けていないため、適切な職業につくのは容易ではなく、その多くが売春など不適切な生計の道に頼らざるをえない状況にある。婦人の地位向上協会は1982年にタイ政府に登録された非営利法人であり、その目的は女性の権利を守り、教育を通してその地位の向上を図ることにある。同協会はそれ以前の1979年から任意法人として活動しており、81年には貧困に苦しみ住む家もない、また夫による虐待・強制売春等不当な扱いを受けている女性のためにエマーシェンシー・ホームを開設し、これら女性の生活の質の向上に寄与してきた。
1985年に同協会は、恵まれない女性に教育・職業訓練の場を提供し、その経済的・社会的地位を改善することを主目的とする婦人教育訓練センターの設立を計画し、本会に対し資金援助の要請がなされた。
本会は婦人問題という国際的な緊急課題の解決に寄与するため、これに積極的に協力することとなり、昭和61、62年度に同センターの建設資金、平成元年度に完成後の運営のための基金を援助した。
婦人教育訓練センターは、第2次エマージェンシー・ホーム、多目的施設、宿泊施設、多目的体育館、プール、屋外グラウンド、農園、魚・えびの養殖場、鶏・アヒルの飼育場、婦人診療所、教育・職業訓練施設からなり、本会の援助金をもとに1986年に着工し、87年4月に完工した。
訓練プログラムには、識字、洋裁、家政、美容、タイ語・英文タイプ、保育、病人・高齢者介護、ホテルサービス、織物・天然染色、宝石細工、大工、製陶、運転手養成コース等があり、政府の学校外教育局から教員が派遣され、訓練後は就職のあっせんも行われている。
1987年(昭和62年)4月に完工した婦人教育訓練センター

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
 
The Nippon Foundation